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Part.42 葛藤 翌朝、美那子と弓月、歳三は黙々と夕食を食べていた。 「あの・・」 重苦しい空気を嫌う弓月が口火を切った。 「何だ?」 歳三が忌々しそうに弓月を見た。 「お兄さん、今日はお仕事は休みですか?」 「お前ぇに“お兄さん”って呼ばれる筋合いはねぇ!」 「すいません・・お兄さん・・」 「・・・・(怒)」 ますます空気が重苦しくなった。まるでアンデス山脈にいるようだ。 「さてと、漢字検定の勉強しなきゃ。」 美那子はいたたまれなくて部屋を出た。 後は弓月と歳三が残された。 (気まずい・・とっても気まずい・・) ピンポーン 「俺が出ます。」 弓月が玄関のドアを開けたらそこには花月がいた。 咄嗟に弓月はドアを閉めた。 「誰だったんだ?」 「兄、兄者が・・」 「お前の兄ちゃんがどうした?」 ガチャリ 花月が無断に家の中に入っていた。 「あっ!」 花月と歳三はにらみ合った。 「お前は・・赤ワインをこよなく愛する男!」 歳三は花月を指さした。 「お前は・・地ビールをこよなく愛する男!」 負けじと花月は歳三を指さした。 「俺は地ビールだけじゃないぜ!ブランデーやリキュールだって飲めるぜ!」 「日本酒も飲めるぞ!」 弓月はその隙に階段を上ろうとした。 だが歳三に足を掴まれ、引きずり下ろされた。 「弓月!」 歳三の股間に花月の回し蹴りが入る。 「〜!てめえ何しやがる!」 「それはこっちの台詞じゃ!」 まもなく花月と歳三の取っ組み合いが始まった。 歳三は花月の美しい顔に拳を使うのを遠慮して、平手を打った。 すると花月は歳三に頭突きを喰らわせた。 歳三は拳を容赦なく花月に使った。花月の目尻は切れた。 花月は長い爪で歳三を引っ掻いた。 しまいには髪をつかみ合った。 「はあ・・これで終わりか?俺はまだまだだぞ・・」 「そっちこそ身をひいた方がよいのではないか?」 第2ラウンド突入、と思ったその時。 「やかまし〜い〜!」 階段の踊り場で仁王立ちをしている美那子が叫んだ。 「あんたら人が勉強してるのがわからんのか!あんたらのせいでちっとも勉強に集中できないじゃないか!」 「すいません・・」 小さくなる2人。 「わかればよし。」 美那子は弓月に向き直った。 弓月は本能的に後ずさった。 「弓月、怪我はどう?」 「・・・・・」 弓月はあまりの怖さに言葉も出なかった。 |