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Part.38 苦しみ 弓月は屋敷の中にある泉で水浴びをしていた。 髪には、血の匂いがまだこびりついていた。 自分が何をしたのか覚えていない。 ただ覚えているのは血まみれになった腕だけ。 一体自分は何者なのだろうか? この世のものではないのか。 「誰か、助けて・・」 弓月はその場で嗚咽した。 「全く、あのエロオヤジッ!」 会社帰りの女が、上司の悪口をぶつくさ言っていた。 地下道にさしかかった、その時。 女は異変に気づいた。 だが、もう遅かった。 「きゃぁぁぁー!」 地下道に、女の悲鳴がこだました。 女の肉がむき出しになった屍には、金色の毛髪が1本、落ちていた。 弓月は錯乱していた。 突然頭が痛くなって・・ そして気づいたときには、女の死体が転がってた。 俺は返り血を浴びていた。 一体俺は何をしたんだ。 俺はもう、美那子とは会えない。 会ったら美那子を喰ってしまう。 誰か、助けて、誰か・・。 |