Desire

作:千菊丸さん



Part.31 策略 PART3

弓月の胸に、何者かの手が乗せられた。
「ん・・」
弓月が起きあがると、そこには誰もいなかった。
弓月は、不思議に思った。
バンッ
扉が乱暴に開かれ、同級生がなだれ込んできた。
「いよー、どこにいると思ったらここかよ?」
「探してたんだぜー?」
「お前薔薇がよく似合うねー」
彼らは一斉に弓月をはやし立てる。
弓月は真っ赤になった。
「何のようだ!」
「あっ、怒っるところも可愛くねぇ?」
「いい加減にしろ!」
「まあ怒んなよ。」
同級生の1人が弓月の傍に腰掛けた。1−Cの石塚雅夫だ。
すり寄ってくる。
「お前に頼みがあんだけどお」
「?」
「今度の土曜に芝居やるんだけど出てくれない?」
弓月は堅い表情になった。
前の学校で文化祭で芝居に出たときにヤジを飛ばされたからだ。
「断る。」
「まあまあまあ弓月ちゃん。」
弓月の怒りはだんだん鎮まってきた。
「お前、竹宮恵子の『風と木の詩』ってマンガ知ってる?」
弓月はそのマンガを持っていて、もう読破している。
まさか・・
「俺らがそれ芝居すんだけど、もう一人の主役ージルベール役が足りないんだよ。
 だからお前に演らしたいわけ。ジルベールを。」
ああ、やっぱり・・。
「断る!薬中になって馬車にひかれて死ぬ役なんか、まっぴらごめんだ。」
「あーあ、出てくれたらお前の男の事、バラしちゃおうかなぁ?」
弓月は相手を睨んだ。
「俺を脅す気か?受けて立つぞ。」
「まあまあそんなつもりで言ったわけじゃあないんだよ。たかが近くの公民館で中学生のガキや主婦やばーさん集めてやるんだからさ。ほい、台本。」
「ふん、まあいい。」
「ちょっとこれ見せらんねぇってとこは全部カットしてるから、安心しろよ。」
「お前のジルベール、楽しみにしてるぜ。」
「・・・・(怒)」
こうして弓月は、芝居に出ることになった。



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