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Part.30 策略 PART2 「今・・今何と言ったのです?」 「君の授業態度が悪いから2点を引いたのだよ。」 「嘘・・そんなの・・嘘・・」 弓月はその場にしばらく立ちつくした。 確かに俺は授業のノートを取らなかった。 だから・・だからといって 悔しい・・悔しい・・ 返された答案を、手で握りつぶした。 とめどなく涙が溢れた。 「おい、見ろよ。」 「なになに?」 「泣いてるぜ。」 「大江が?」 「気高くて、人前で涙を見せないあの大江が?」 「へぇー、珍しいな。」 どこから聞きつけたのか、野次馬が弓月のまわりに集まってきた。 それでも弓月は嗚咽した。 声が枯れるまで泣いた。 「何見てる。」 弓月は泣きやんだ。目元が腫れている。 だが誰も動かない。 「ふん。」 弓月は野次馬の中から抜き出た。 それから彼は、校舎のはずれにある温室で過ごした。 ここには薔薇が年中咲いている。弓月は薔薇の海の中で甘い香りをかきながら、眠りについた。 ここなら誰にも見つからない。綺麗で、人気のない、1番俺が好きな場所・・。ここなら誰にも邪魔されずに好きなだけ過ごせる・・。 弓月がまどろみ始めた頃、校庭では男子生徒達がおしゃべりをしていた。 「なぁ大江のあの顔見たか?」 「もちろん見たさ!」 「いつもツンと澄ました顔に流れる真珠の涙・・いい思い出になったぜ・・」 「ウゲッ、お前ソノ方だったの?」 「ちげーよ、バカ!」 弓月は深い眠りについていた。 キィ 温室の扉が開いた。 誰? |