Desire

作:千菊丸さん



Part.26 過去の恋人(前編)

弓月が心を取り戻した。
弓月は、心をなくしていた頃の事は覚えていない。
美那子の家族を襲ったことも。
警察は、捜査を打ち切った。
弓月は内心、ホッとした。
その日は兄と共に家路についた。
人里離れた屋敷に入ろうとすると。
1人の男がモデルスタイルで立っていた。
男は、弓月を見つけてこういった。
「やっと会えた・・」
弓月は訳がわからなかった。
「誰だ?」
「まだわからないのか?」
弓月は男の顔を見て絶句した。
「天狼・・」
そう、その男は安倍晴明のライバルでもあり弓月の天敵、天狼である。
「豪勢な造りだな。」
天狼は皮肉っぽく笑った。
「・・・なんなら納屋で寝るか?」
花月は今日も不機嫌だ。
カップにヒビが・・。怖ぇ・・。
「何か用か?」
「実はな・・」
天狼はマジモードになって話した。
天狼は弓月の手を取った。花月、「マジで殺す5秒前」状態。
「お前と、やり直したい。」
弓月は一瞬ひいた。
「い、嫌だっ!」
天狼は弓月の肩を掴んだ。
そして弓月の唇を塞ごうとした。だが・・
ズガゴーン
ついにキレた花月は天狼に銀の盆をお見舞いした。
「弟に触れるな!弟に触れるな!弟に触れるなー!」
「あ、兄者・・(^^:)」
「いいや、触れてやる!ホレホレホレ!」
天狼は弓月の尻をなで回した。
「もう・・許さぬ・・」
花月はツカツカと暖炉の上にある日本刀を取り、天狼に斬りかかった。
天狼は今度は弓月の胸をまさぐった。目が「犯りたい」と物語っている・・こいつも怖ぇ・・。
「あ・・」
弓月は声を出してしまった。
いつも冷静で厳しい花月が、青筋をこめかみに浮き立たせ、鋭い目つきでこっちを睨んでいる。
やばいことになった・・
「坊っちゃまー、お風呂は?」
婆やの声が、救いの声に聞こえた。
「すぐに入る!」
弓月は天狼を押しのけ、バスルームへと急いだ。
(ったく、天狼の奴・・)
弓月はシャワーを浴びながら、天狼の事を思った。
弓月と天狼が出会ったのは1174年の秋、遮那王に追っ手の手が掛かったとき、弓
月が力を使い助けたものの、体力が消耗し、倒れそうになった時、天狼に会った。
天狼はイヤな奴だった。
一条戻り橋の我が家へ来ないかとナンパし、その上、
「伽の相手ならできるがな。」
とセクハラな発言をした。
挙げ句の果てに弓月が気を失って倒れたとき、天狼は自宅にテイクアウトしようとしたらしい。(花月談)
そしてその後も弓月を執拗につきまとい、ついに弓月は折れ渋々と天狼の恋人となった。
 
結局弓月は、彼と別れた。
今から遡ること800年以上前の事である(因みに弓月は現在900歳)。
なのに今更。
今更、やり直したいと?
「どこまでも勝手な男だ・・。」
弓月は呟いた。
その頃天狼は、弓月のシャワーシーンを覗いていた。
艶やかな髪。端整のとれた顔。美しい肢体・・。
今にも折れそうな細い二の腕、優雅な腰、ひっこんだ下腹、美しく長い脚・・天狼は
弓月の美しさに目を見張った。
何だろう?アソコが熱い・・・。



Part.25へ戻る / 貰いモノは嬉し!へ戻る