Desire

作:千菊丸さん



Part16.Cage

羽山かずみが飛び降り自殺してから丸一日。
弓月は食事も取らないでいた。
はずみが・・死んだ?
美那子からはずみが死んだ事を聞き、弓月は戸惑いを隠せなかった。
俺が・・殺した・・
弓月はまた、寝返りを打った。
「どうしてうちの子が死ななきゃならないんです!」
渡辺家の空気は、張りつめていた。
美那子に電話をしたはずみの両親と姉が、渡辺家にやって来たのである。
母親は美那子にまくしたてる。
「あなたが死ねば良かったのよ!お詫びに一家で心中して頂戴よ!」
「まあ、落ち着いて下さいよ。」
肩をいからせる母親に、総司は優しく声を掛ける。
総司は、かずみの母親に紅茶を勧めた。
かずみの母親は言った。
「かずみの葬儀にはご出席なさるの?」
「しません。きっとかずみさんも望んではいませんから。」
「そうですか。」
かずみの父親と姉は納得したようだった。
だが母親の怒りは収まらず、テーブルを叩いた。
「ちょっとそれどういうつもり!あんたは加害者でしょう!被害者の葬儀に出席するのが義務ってもんでしょう!」
かずみの姉は美那子に謝った。
「どうもすいません、母は気性が激しいものですから・・」
「うるさい!怒鳴ってて何が悪いのよ!私は娘を奪われたのよ!」
その後話は依然とかずみの母親による一方的の抗議だけで、平行線をたどった。
結局話し合いは終了し、3人は帰路についた。
「しかしなぁ。」
勇が言った。この家の3男で、弁護士である。
「相手側は訴えるつもりらしいぞ。」
「どうしてわかるんです?」
「母親の気持ちがあのときひしひしと伝わったからさ。まるでこのままじゃ済まない、って言っているようだった。」
美那子は、急に不安になった。
「ん・・・」
弓月は、ようやくベッドから起きあがり、鉛の様な身体を引きずりながら台所へと向かった。
冷蔵庫を開け、飲みかけの「サプリ」を飲む。
途端に気分が悪くなり、トイレで吐いた。
(俺が・・殺した・・俺が・・)



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