Desire

作:千菊丸さん



Part10.弓月昔話(その1)

ある初夏の夜。
弓月と美那子はまた愛し合った。
「ねぇ、弓月・・」
「?」
「弓月の事、まだ知らない・・小さい頃の話とか・・」
2人がつきあい始めて3ヶ月ー、運命の出会いから愛し合うまでの間までお互いの事を全く知らなかった。
弓月は最初戸惑ったが、やがて語り始めた。
俺は京都の大江山で酒呑童子と巫女との間に生まれた。
母者は、知らない。奥州にいるかもしれない・・兄者がそう言ってた。
父者は・・殺された。人間に・・・他の仲間も・・みんな殺された。
「!」
兄者は、生まれたばかりの俺を連れて大江山を脱出した。
それから俺と兄者は蝦夷地から琉球まで放浪の旅・・どこでも強い者が弱い者をいじめて楽しんでいた。して俺と兄者が大江山の生き残りだと判ると、棒で叩かれ、石を投げられ、唾を吐かれた。時には、焚き火を押しつけられた。腰に今でも火傷の跡がある。
それから俺達は平安末期の京にたどり着いた。兄者はそこで商人の花の井を殺してなりすました。
鬼と人間の混血である俺は、鞍馬寺にある毘沙門天を破壊するよう命じられ、稚児として潜り込んだ。それから毎晩毘沙門天に張り巡らされている結界を少しずつ壊し始めた。誰にも内緒で、誰にも知られず・・・。
俺は兄者の後ろ盾もあってか、最も身分が高い者しか入れない宿坊に入った。けれども俺にしつこく言い寄ってくる僧侶・明円を投げ飛ばした後に、厨(くりゃ)の近くのあばら屋に連れてこられた。
そこには、先客がいた。俺と同い年で、屈託のない性格だった。そいつの名は、遮那王。
のちの、源義経だ。美那子も、知っているだろう。
俺と遮那王は全く正反対のタイプだった。だが、うまくいっていた。
ある夏の日、鞍馬寺の高僧・覚日阿じゃ梨の供で、都に行くことになった。昼に俺は式神に命じて中年女性の死体を借り、遮那王と町に出た。いままで外の世界に触れることのなかった遮那王は、すっかりはしゃいでいた。それから俺達は、遮那王の怪我である館に入った。その館で、陰陽師の天狼に出会った。天狼は最初失せ物探しをしていたが、俺に気づき俺を成敗しようとした。俺は龍になり、そこから逃げ出した。
なんとかその場をしのいだが、秋祭りに、とうとう阿じゃ梨に正体がバレてしまった。
俺は母者に会うために、遮那王と鞍馬寺を出て、白拍子として旅一座に潜り込んだ。
鎌倉で遮那王と別れ、 奥州へと向かった。
「それで、お母さんには会えたの?」
美那子は聞いた。
弓月は、首を横に振った。
母者は、既に病で他界していた。
俺は京に戻るために、母者の村を出た。その時、天狼と偶然会った。
俺は逃げようとしたが、天狼に力を封じられた。
そして俺は岩穴に閉じこめられた・・そして天狼その中では俺を犯した・・



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