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Part1.恋 ここは東京都内にある1軒の家。 この家には、ある宿命を背負った1人の少女がいる。 彼女の名は、渡辺美那子。16歳。 彼女は、安倍晴明の命を受け、鬼を倒すことが仕事である。彼女は父親の仕事の事情で和歌山から東京へ引っ越してきた。和歌山で辛い体験をした彼女は、もう二度と鬼退治はしないと誓った。 (明日は学校かあ・・。) ふう、と彼女はため息をついた。 美那子はこの方、鬼退治の為に各地を転々としていた。東京へと引っ越す前には和歌山、会津若松、京都・・転校して、ようやく落ち着いた頃にはまた転校、という日々を彼女は送っていた。 (また転校するのかしら・・) 美那子の頭の中に、不安がよぎる。 だが、引っ越しはこれで最後だった。人事異動はないのでここで一生暮らせると父親に聞いた。 よかった。 美那子は転校初日の事を思い浮かべながら、眠りに就いた。 転校先の学校は、公立の共学校だった。美那子は、眉をしかめた。 以前通っていた高校は私立の女子校だった。 (男なんて大嫌い。) 美那子はそう思いながら、担任の教師とともに教室へと向かった。 美那子は中央の後ろの席に決まった。美那子の他に、転校生が1人座っている。 名は大江弓月。男子だというのに、華奢な体つきをしていて、天女の様に美しい顔をしていた。髪は黒より、水色に近い色をしていた。 「よろしく。」 美那子は声を掛けた。 「よろしく。」 以外と低い声だった。 この人とならうまくやれる、と美那子は思った。 それから数日が過ぎた。 美那子は誰1人として友達を作らなかった。休み時間は本を読み耽ったり、寝ていたりした。 美那子は水泳部に入ったが、そこでも彼女は1人だった。 弓月は男子から話しかけられるが、弓月の態度は素っ気ない。まるで人と関わりたくないようで、呼びかけられても無視していた。それからは、もう誰も相手にしなかった。 だが、ただ1人弓月が心を許す者がいた。 彼の名は、源遮那王。 屈託のない笑顔で、無邪気な少年だ。 それまで男子を忌み嫌っていた美那子も、遮那王とすぐに仲良くなった。 次第に美那子は、弓月を意識するようになった。 その事に、美那子は気づかなかった。それが恋という物だということを・・。 |