紅い華

第7章:暗転


作:千菊丸さん
 千寿丸は諸兄に引き取られることとなった。
 魚屋の主人や商店街の住民の証言で、松浦一家の千寿丸への虐待が明らかとなったのだ。
松浦夫婦は里親の資格を剥奪された。
 千寿丸は諸兄に、商店街に行くと言った。
 千寿丸は過去と決別するため、その日の深夜、食堂「山猫」を訪れた。
 諸兄は戻らなくていいと言ってくれたが、現実から逃げてはいけないと、松浦夫婦と真っ正面からぶつかっていこうと思ったのだ。
「いらっしゃいませー」
 千寿丸の姿を見るなり、松浦夫婦は憎しみに顔を歪ませた。
 それもそのはず。
 40年も続いた店が潰れ、商店街からは追い出されるのだから。
 一家が路頭に迷う羽目になったのは、千寿丸のせいなのだ。
「一体、何しにきやがった!また俺らを陥れようとしてるのか!」
「お話があります。」
 家族全員が居間に集まった。
 千寿丸が口火を切った。
「なぜ、僕を養子にしたんです?」
 養母は狂ったように笑い、言った。
「それが聞きたくてここにきたのかい?決まってるだろ!働き手が欲しかったのさ。それと、鬱憤晴らしの道具にね!!」
 そんなことのために、自分は養子に貰われたか。
「・・さない」
「何だって?」
「許さない!お前らが僕にしたことをそっくりそのまま返してやる!」
強い怒りが渦巻き、千寿丸は完全に理性を失っていた。

 家でも学校でもいじめられて。
 1日中殴られて、体中痣だらけになって。
 食堂でこき使われて、阿じゃ梨様にお手紙も書けなくて。

 千寿丸は倉庫にあるガソリンを持っていって、家中にかけた。
「ひぃっ、やめて、やめてぇぇっ!」
「お、お母さんっ」
「千寿、許してくれ、な、悪かった、だから・・」

 家でも学校でも居場所がなくて。
 毎日、あのくらい部屋で泣いていた。
 誰か、助けて。
 毎日毎日、心で叫んでいた。

 般若のような顔をして、ゆらりと千寿丸は松浦一家に歩み寄った。

 これですべて終わりだ。








幸せな展開から一転してダークな展開に。
養母の一言でいままで虐げられてきた怒りが爆発する。
千寿丸は殺人犯となってしまうのでしょうか?
諸兄は千寿丸を止めることができるのでしょうか?

話は変わりますが、最近寒い日が続きます。
みなさん、風邪をひかないように気をつけてください。

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