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千寿丸はあの事件から数週間後、退院した。 側頭部には醜い傷が残った。 養父が投げ飛ばし、ガラスで切れた傷だ。 あの家に戻らなければならないと思うと、千寿丸は恐怖で体が震えた。 (帰ったら、またひどいことされる・・) 千寿丸は、病院の寝間着の裾をめくった。 体に残る無数の痣。 養父母は気に入らないことがあると、千寿丸を殴った。 千寿丸は松浦家のサンドバックみたいな存在だった。 一家がムシャクシャしていると、その捌け口はおのずと千寿丸へと向けられる。 終わりなき虐待の日々。 出口のない暗いトンネル。 光は一体どこにあるのかー 千寿丸は病院からでた時に感じた光の輝きを、一生忘れないだろう。 病院の玄関には、諸兄と魚屋の主人がいた。 「退院おめでとう。これからは私と暮らすことになった。」 諸兄の言葉に、千寿丸は最初、夢だと思った。 だが、諸兄の握った手の感触で、現実だとわかった。 「千寿、よかったな。諸兄様がお前ぇを引き取ってくれるんだとよ。千寿、よかったな、今度こそ幸せになれよ。」 魚屋の主人が大粒の涙を流しながら千寿丸の背中を優しくたたいた。 もう、殴られたりすることはないんだ。 暗い部屋で過ごすこともないんだ。 千寿丸、諸兄さんに引き取られる。 養父母からの虐待に怯えていた日々も、もう終わり。 次回、過去と別れを告げるため、千寿丸は食堂「山猫」へ。 そこに待っていたものとは・・乞うご期待。 書くの遅れますけど、どうぞこんな私をよろしくお願いします。 |