紅い華

第44章:嵐の前の静けさ


作:千菊丸さん
 諸兄と千寿丸との生活は、ゆっくりと、そして平和に流れていった。
 千寿丸は、在原家で暮らした暗い日々が、悪夢ではないかと思ったほどであった。
 阿じゃ梨様の遺影を抱いて、布団を頭から被って泣かなくていいと思うと、千寿丸の心は、安らかになるのだった。

 だが、その平和で静かな日々は、嵐の前の静けさでしかなかった・・・

 学校から帰って、諸兄のマンションのドアを開けようとした千寿丸を、千鶴子が待ち伏せしていた。
「逃げられると思ってるのかい、この餓鬼!!」
 千鶴子は千寿丸を階段から突き落とした。
「そんなにあの男がいいのかい?血を分けたお父様よりも、他人のあの男の方が!!」
 傍にあった消火器で千寿丸を殴りながら、千鶴子は怒鳴った。
「やめろ!何をしているんですか千鶴子さん!!」
 千鶴子の本性を見た諸兄が、慌てて千鶴子から千寿丸を引き離した。
「邪魔しないでよ、諸兄さん。あたしはね、黙って出ていったこの子に罰を与えただけなのよ。」
「罰?一方的に暴力を振るうのが罰ですか?これは虐待ですよ!」
 諸兄は千寿丸を抱きしめながら言った。
「あなた方には千寿は渡しません!」
「ふん、威勢のいいガキだ・・あたしを怒らせたらどんなことになるか思い知るがいい!」
 千鶴子はそう捨てぜりふを吐くと、ヒールの音を響かせながら階段を降りていった。








千鶴子がこわい・・最強のいじめ役です。
韓国ドラマ「天国の階段」に出てくる主人公の継母がすごいいじめをしてるので、その継母をモデルにして千鶴子を書いてみました。
千鶴子は黙って引き下がらないですね。諸兄を破滅させようとして、あれこれ計略を考えてそうです・・。


第43章へ戻る / 貰いモノは嬉し!へ戻る