紅い華

第40章:悲しい別れ


作:千菊丸さん
 千寿丸は在原家の正式な養子になった。
 諸兄と別れることが辛く、住み慣れたこのマンションとを離れなければならないと思うと、身を引き裂かれるような思いだった。
 このマンションには、阿じゃ梨様との思い出がたくさん詰まっている。
 在原家に行く前夜、千寿丸は荷物をまとめた。
「阿じゃ梨様、僕を見守ってください・・」
 阿じゃ梨様の写真を入れると、千寿丸はゆっくりと段ボール箱に入れた。
 別れの朝が来た。
「千寿、大丈夫か?むこうでちゃんとやっていけるか?」
「はい・・でも、諸兄さまと別れとうない・・」
 諸兄は千寿丸を強く抱きしめた。
「また一緒に暮らそう。俺は待っているからな。」

 プップー!!

 高級スポーツカーのクラクションが響き渡った。
「荷物はまとめたのかい?」
車から降りてきた千鶴子は、派手な格好をしていた。
「はい。」
「そうかい。それじゃあ行くよ。ぐずぐずすんじゃないよ。」
 そう言うと、千鶴子は千寿丸の腕を引っ張った。
「諸兄さま!」
「千寿!」
「千寿は・・千寿は・・必ず諸兄さまの処に帰ってきます!だから、その日まで待っていてください!」
「千寿!!」

 千寿丸は、泣きながらスポーツカーに乗り込んだ。
 諸兄が後を追いかけてきたが、その途中で泣き崩れていた。

 住み慣れたマンションが遠ざかると、千寿丸は泣いた。




―第2部 完―




「紅い華」第2部終了です。
長かったです、正直言って。
いろいろと災難が千寿丸と諸兄に降りかかってきましたが、2人は愛の力でそれを乗り越えました。
第3部は41〜50章までです。
諸兄と別れ、あたらしい家族と暮らすこととなった千寿丸。しかし、そこでは想像を絶するほどの激しいいじめが待っていた。
ある事件で、諸兄と千寿丸は追われる身となってしまう。そして、衝撃的な結末が。


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