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千寿丸は在原家の正式な養子になった。 諸兄と別れることが辛く、住み慣れたこのマンションとを離れなければならないと思うと、身を引き裂かれるような思いだった。 このマンションには、阿じゃ梨様との思い出がたくさん詰まっている。 在原家に行く前夜、千寿丸は荷物をまとめた。 「阿じゃ梨様、僕を見守ってください・・」 阿じゃ梨様の写真を入れると、千寿丸はゆっくりと段ボール箱に入れた。 別れの朝が来た。 「千寿、大丈夫か?むこうでちゃんとやっていけるか?」 「はい・・でも、諸兄さまと別れとうない・・」 諸兄は千寿丸を強く抱きしめた。 「また一緒に暮らそう。俺は待っているからな。」 プップー!! 高級スポーツカーのクラクションが響き渡った。 「荷物はまとめたのかい?」 車から降りてきた千鶴子は、派手な格好をしていた。 「はい。」 「そうかい。それじゃあ行くよ。ぐずぐずすんじゃないよ。」 そう言うと、千鶴子は千寿丸の腕を引っ張った。 「諸兄さま!」 「千寿!」 「千寿は・・千寿は・・必ず諸兄さまの処に帰ってきます!だから、その日まで待っていてください!」 「千寿!!」 千寿丸は、泣きながらスポーツカーに乗り込んだ。 諸兄が後を追いかけてきたが、その途中で泣き崩れていた。 住み慣れたマンションが遠ざかると、千寿丸は泣いた。 ―第2部 完―
「紅い華」第2部終了です。 長かったです、正直言って。 いろいろと災難が千寿丸と諸兄に降りかかってきましたが、2人は愛の力でそれを乗り越えました。 第3部は41〜50章までです。 諸兄と別れ、あたらしい家族と暮らすこととなった千寿丸。しかし、そこでは想像を絶するほどの激しいいじめが待っていた。 ある事件で、諸兄と千寿丸は追われる身となってしまう。そして、衝撃的な結末が。 |