紅い華

第38章:千鶴子の策略


作:千菊丸さん
 業平は千寿丸に斬りつけられた腕を押さえながら、帰宅した。
「まぁ、業平さん、どうしたの、その傷!」
 千鶴子が慌てて、業平の腕の手当をした。
 業平は、事の次第を説明した。
 聞いている千鶴子の顔が険しくなっていった。
「なんて子なのかしら、実の兄を斬りつけるなんて・・」
 千寿丸が高岳の非嫡出子であることを、千鶴子は知っていた。
「私は・・・千寿をレイプしました・・」
 一瞬、沈黙があった。
 千鶴子はしばらく呆然としていたが、意味深長な笑みを浮かべると言った。
「よくやったわね、誉めてあげるわ。」
「?」
「お前は千寿丸とやらの心と身体をズタボロにしてやったのでしょう。業平、千寿丸を苦しめておやり。もう生きる気力がなくなるまでに、苦しめておやり。」
「母上・・?」
「私は今でもあの女が憎い・・亡くなった今でもね・・。何不自由なく恵まれた家で生まれて生活して、欲しい物を全て手に入れたあの女が・・。私が日本を代表するトップデザイナーとして成功するまで、苦労と屈辱の連続だった。貧しい家に生まれ、働きながら服飾学校へ行き、借金まみれでデザイナーとして成功した。
 お父様の心の中を未だにあの女が住み続けている・・お父様は千寿丸を認知していたのよ。あの子にはびた一文、この家の財産は渡すもんか・・いいかい業平、千寿丸をもっと苦しめておやり。塞がった傷口を、鋭く抉っておやり。私が言ってることがわかるね?」
そこまで言うと、千鶴子はワインを飲み干した。








千鶴子がとうとう動き出した。
彼女は千寿丸を憎んでます。自分から高岳を奪った、あの女の忘れ形見だから。
だんだん彼女の策略が明らかに・・・


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