紅い華

第37章:告別式の席で


作:千菊丸さん
「阿じゃ梨様、いや、いやぁ!千寿を置いていかないでぇぇ!」
 千寿丸はまだ温かい阿じゃ梨様の手を握りながら、阿じゃ梨様に取りすがって泣いた。
 捨て子として如意輪園の門前に捨てられていた千寿丸にとって、阿じゃ梨様は、父親のような存在であった。幼い頃、病弱であった千寿丸が熱を出すと、一晩中寝ずに傍にいてくれた。
 捨て子と言われ苛められて泣いたときも、優しく抱きしめてくれた。
 そして、業平にレイプされて傷ついた自分を、支えてくれたー。

 もう、阿じゃ梨様はいない。
 優しい微笑みも、見ることができない、もう2度と・・。

 阿じゃ梨様の告別式は、諸兄と千寿丸、如意輪園の子ども達でひっそりと行われた。花琴太夫も駆けつけてくれ、千寿丸と一緒に目が腫れ上がるまで泣いた。
 告別式が終わりにさしかかったころ、業平が会場にやって来た。
 千寿丸は、レイプされた記憶が甦った。泣き叫ぶ千寿丸を拳で何度も殴った業平・・千寿丸の秘所に何度も何度も鉄の塊のようなものを挿入した業平・・
「いやぁぁぁ〜!!!」
 千寿丸は金切り声で叫んだ。
「千寿、落ち着け、千寿!!」
 諸兄が暴れる千寿丸をなだめようとするが、千寿丸は完全に理性を失っていた。
 あのときのように。

 コイツガ阿じゃ梨様ヲコロシタ。

「・・・せ。」
 千寿丸は厨房から包丁を持ってきた。
 そして、業平に倒れかかるように突進してきた。
 包丁の刃が、業平の左腕を切り裂いた。
 鮮血が、噴き出した。
「人殺し!阿じゃ梨様を返せ!人殺し!」
「千寿、やめろ!やめるんだ!」
「お前が殺したんだ!お前のせいで、阿じゃ梨様が死んだだよぉ!」








千寿丸、業平への強い憎しみの余り、刃を向ける。
阿じゃ梨様の死を受け入れられずにいて、その上業平を見て、レイプの記憶がフラッシュバックして強い憎しみを・・。
千寿丸が段々と性格が変わってる・・キレた時の千寿丸は恐い・・。
次回、千鶴子さまが登場します。


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