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諸兄は会議室に入る前に、業平と話をした。 「昨夜、千寿が俺に泣きながら帰ってきた。お前が、疫病神と罵ったと。」 「そうか。」 業平はポーカーフェイスで言った。 「何故そんなひどいことを言った?」 「あいつと俺は腹違いの兄弟なんだ。千寿の母親は・・父の初恋の人だ。」 「知っている。阿じゃ梨様から聞いた。」 「そうか、ならいい。」 そう言うと、業平は会議室へと入っていった。 昼休み、イタリアンレストランで、業平は諸兄に胸の内を語った。 「俺は父を憎んでいた。家庭を顧みず、仕事とあの女のことばかりを気にかけている父が・・。」 「高岳さまはお前のことを随分と気にかけている。」 「それは最近のことだろう。彼にとって私は大事な『跡継ぎ』だからな。」 「いいや、昔も今もだ。」 「何も知らないくせに・・わかったようなことを言うな!!」 業平は拳でテーブルを強く叩いた。 客が驚いて諸兄達のテーブルを振り返った。 「あの女のせいで・・家の中はギスギスして、冷たかった。母は父の浮気を知ると、人が変わってしまった。以前は優しくて明るかったのに・・。やがて父はあの女の元に入り浸った。母は堪った苛立ちを俺にぶつけた。暴力は虐待へとエスカレートした。俺が虐待されいる間、父はあの女とベッドで楽しんでいたんだ。」 諸兄は目を丸くした。 「千寿が、父と共に家の玄関に現れ、父が・・千寿が父とあの女との息子だと聞いたとき・・俺は父に対する激しい憎しみと、虐待された記憶が走馬燈のように頭の中を巡った・・」 「お前は千寿を憎んでいるのか?」 「いや、俺は・・千寿を愛している。」 「俺もだ。」 「もうお前とは、これまでだな。」 「残念だな、幼い頃からの友を亡くすとはな。」 「では俺は片付なければならない仕事があるのでな。」 業平が店を出ていったあと、諸兄は食事を終えても席から動けなかった。 千寿丸を巡って、諸兄と業平との関係にヒビが・・。 次回、ドロドロの愛憎劇が幕を開けます。 業平さんのお母様が登場します。 |