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Whereabouts of the passion 00〜プロローグ〜
純が笑わなくなった。
正確に言えば、「俺の前では」笑わなくなった。
と言っても、俺に接する態度があからさまに変わったわけではないから、端から見たらわからないかもしれないけれども。
付き合いが長いせいもあるけれども、それが俺だけに向けられたものであるからこそ、俺にはわかる。
口元では笑顔を装ってはいるけれども、眸がそれを完全に裏切っている。
そして俺は、純の眸を直視することが出来なくなってしまった。
そんな俺に何か言いたげな、或いはどこか挑発的な眸で、純はただじっと見つめている。
まるで俺が眸を逸らすことを咎めるような、まっすぐな視線が胸に刺さる。
俺たちのバンドがメジャーデビューをしてから二年目の夏。
辛うじて踏みとどまっていた何かが、音を立てて崩れようとしている。
その瞬間を、俺はただひたすらに恐れていた。
その奥に息を潜める本当の想いには、気付かないフリをして―――――
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