ギリギリまで広げられた関節の軋みも。
噛み付くような激しさで吸い上げられた肌の引き攣るような感覚も。
何度も何度も突き上げられ、疼きが収まらないその場所に、受け止めきれないほどのキミの迸りが滴っていても。
どれもこれも、取るに足りない
――――キミの心の痛みに比べたら。
ひどく思いつめたような顔をしたキミを家に招き入れたそのときから、たぶん、こうなることをボクは知っていた。
だから、キミは気に病むことはない。
すべての罪をひとりで背負い込んだみたいな、そんな顔をする必要は、どこにもないんだ。
ちょっと意地悪をしすぎたかな?
キミをそんなふうに追い詰めるつもりはなかったんだけどね。
いや。そうじゃない。
ボクはたぶん、知りたかったんだ。
キミがどこまでボクに心を傾けてくれるのか。
どこまで切実にボクを欲しがってくれるのか。
そして、キミの世界がボクだけで埋まってしまえばいいと。
そんなふうに思っていたんだ。
それは全部ボクのエゴだ。
驚きだよ。
まさか、ボクがこんなにも欲の深い人間だったとはね。
思えば、キミの視線に囚われたときから、ボクは混乱の中にいた。
まったく………
キミは本当に次から次へとボクの知らなかったボクを引き出してくれるよ。
だけど――――
だけどそれは、相手がキミだったからだ。
キミ以外の誰であっても、ボクはこんなふうにはなり得なかった。
それもこれも、溢れんばかりのキミの想いが、ちゃんとボクに伝わっていたからだよ。
そうだよ、賢斗。
ボクを変えたのはキミだ。
痛いほど真摯で切実なキミの想い。
欠けていたのはボクの覚悟。
意図的にみせようとしなかったボクの気持ち。
極限まで追い詰められた果ての、哀しいまでのキミの暴走が―――――だけどボクは愛おしい。
セーフセックスが常だったキミがこんなにもボクを欲しがってくれていることが、身体中から伝わってくる。
キミの迸りを注ぎこまれて感極まっているボクに、キミはちゃんと気づいてくれているだろうか?
大丈夫。
キミがボクに与えてくれる愛情と、劣情と、独占欲のすべてを受け止めるから。
だから今度は。
ボクがキミにこたえる番だ。
どれだけ心の中で想ってみても、ボクの気持ちはキミにはちっとも届いていないみたいだからね。
ああ。
だけどいまは。
ちょっと勘弁してくれるかな。
もう、指の一本も動かす気になれないんだ。
半分はキミのせいだよ。
だから………明日。
そうだね。
明日、目覚めたら。
キミにとびっきりの言葉を伝えてあげるよ。
キミにとっては百万本の薔薇よりも、たぶん、価値のある言葉を。
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