18.告白 |
「こういうこと」 驚きのあまり声も出せずにいる私にさらに畳み掛ける。 「あのね、無防備すぎ。こんなに簡単に男を家に上げたらどうなるかわかってんの?」 どうなるって、だって今井君じゃない。 「俺、翼のこと好きだっていったよね」 「うん。知ってる」 「好きな子と二人きりでいて、理性が押さえられる自信なんてない」 再びキスされる、じっとしているといつのまにか首筋までキスしてくるし。それにその右手ちょっとどこ触ってるの? あまりな出来事にパニックに陥っていると、また唇にキスを落とす。今度はさっきまでと違って深いキス。 動けないでいる私を尻目に貪るように口付けを繰り返す。 なんか思考回路が溶けちゃいそう、そう思った時には私の身体をギュッと抱きしめて彼の膝の上へと座らされていた。 ぼーっとしている私は今井君の膝の上、まだ両腕で抱きしめられている格好だ。 「あのね、俺じゃなかったら食べられてるよ、とっくに」 「そんな物好き他にいないもん」 やっと口がきけるようになってきた。 「どうして翼はそんなに自分に自信がないかな」 「だって、私かわいくないし」 「俺がかわいいっていってるやろ」 うーん、仕方がないじゃない。23年間培ってきたコンプレックスは簡単には消えないもの。 「今だって抱きたいのをこんなに我慢してるのに」 「それは欲望であって愛情じゃないじゃない」 素直じゃないなぁ、と思いながらも憎まれ口を叩く。 「翼以外は抱きたいとも思わんし、こういうのも愛情のうちやと思うよ、俺は」 そう言っておでこにちゅーする。こんなにべたべたする子だったっけ? 「そりゃあ、今までは耐えてたから」 腕の力をこめて再び抱きしめる。 今までどこかまだ冗談じゃないだろうかって思ってたけど、そうじゃなかったのね。 そう思うとなんだか少しだけ嬉しくなってくる。 「私こうされるの嫌じゃないかもしれない」 「それって、好きってこと?」 ものすごく嬉しそうにこちらを見つめ返す。 「どうだろ?」 ちょっとだけ残念そうに苦笑する彼は 「今はそれでもええよ」 そう囁いた。 研究室に戻った私は、なんだか色々な人に目を背けられる。 おかしいなぁ、そう訝しんでいたら、斎藤先輩がこっそり耳打ちしてくれた。 「おまえ、首筋にキスマークついてるぞ」 えええええええええええええええええええええええ!! なんですってーー。 口をパクパクさせて真っ赤になっている私に先輩がさらに追い討ちをかける。 「まあ、仲がいいのもいいけどほどほどにな」 いや、ほどほどって、ほどほどてなにを! 私は無実よーーーー。 そう叫ぶこともできないまま斎藤先輩は笑いながら実験室へと言ってしまった。 あの人話しまくる気だわ。 一瞬目の前が真っ暗になった。 今井君のばかやろーーーう。 絶対好きなんて言ってやるもんか。 |