先輩以上恋人未満vol.17(7.12.2004)
17.ファーストキス
 鼻歌などを歌いながらパスタを作る。昨日の提案通り今日は私の下宿先で夕食を取ることにした。 食べたら研究室に戻らないといけないんだけどね。私のところは大学から近いし、あんな視線の中で食事するよりよっぽどまし!

「はい、できたよー、おまちどうさま」

鶏肉と梅のパスタ。すっごく簡単で結構おいしい、お気に入りの料理だ。

「いただきます」

テーブルの上に二人分の食事を並べて食べ始める。今日はスープもついてるからちゃんとしたメニューに見える。

「あれ?食べないの?」

昨日から機嫌が悪そうな今井君が座ったまま動かない。なんだろうひょっとして鶏肉が嫌いだとか。

「・・・違うって。いただきます」

 そう言うとやっと食べ始めた。
学食のときとは違う沈黙の食事。普段はうるさいぐらい良く喋るのに、なんだか無口だ。
なーんか調子狂うなぁ。そう思いながらもパスタを絡めとって食べる。
うん、おいしいじゃないの。
自画自賛しつつ食事を終える。今井君は最後まで黙ったままだ。
気を取り直して冷たいお茶のおかわりをだすと、水滴がついたグラスを持ったままじっと一点を見つめている。

「もしかしてまずかったとか」

そんなはずはないと思うけど、念のため聞いてみる。好みがわからないんじゃこれから作りようがないしね。

 返事を促した私に突然今井君の腕が伸びてくる。あれ?って思っている間に我が家の天井が見える。
これってとってもまずい体勢なのでは・・・。
完全に背中が床についてる。今井君は私の首を挟んで両腕を床につく。俗に言う押し倒されるって格好かもしれない。 やばい体勢なのにそんなのんきなことを考えていたら、切羽詰ったような声で訴えかけてきた。

「俺のこと男と思ってないやろ?」
「は?どっからどうみても男じゃないの」
「違うそんな意味じゃない」

そう言うと今井君の顔がどんどん近づいてきた。
ファーストキス。
人生初めてのキスがこんなシチュエーションだなんて、あんまりじゃない?

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