先輩以上恋人未満vol.15(7.8.2004)
15.プール3
 すごーーく不本意そうな助教授に厚かましくもお昼ご飯を奢ってもらうことにした。
決めたのは斎藤先輩なんだけどね。この人はやっぱり侮れない。
行楽日和の今日は溢れんばかりの人手で、やっと見つけた席に二手に分かれて座る。
なぜだか私は助教授組に入り込んでしまった。
それほど落ち込んでないとはいえ、目の前で見せ付けられるのはやっぱり辛い。
なんかねーもうらぶらぶオーラがでてんのよ、二人から。別に取り立ててイチャイチャしてるわけじゃないけどさ、 視線が熱いのよ!お互い見つめあったりしてさー。
ううう、落ち込んできた。

 テーブルの下では今井君がギュッと私の手を握ってくれている。励ましてくれてるんだろうな、きっとこれは。 うん、大丈夫、私そんなに弱い子じゃないし。
沈黙が重いのでとりあえず話し掛けてみる。

「お名前は?私は渡会翼っていいます」
「あ、井川千春です、はじめまして」

ちょっと戸惑いながらも微笑んで返事をしてくれる。かわいい人は声までかわいい。

「今井孝司、学部4年生で翼ちゃんの彼氏、よろしくね」

 つないだ手を二人に見せながらそんなことを宣言する。
いつもなら何てこと言うの!って速攻で抗議するところだけれど、そんなことする気力もない。 どうせ私に彼氏いようがいまいが興味ないだろうし。
それにね、心なしか千春さんがほっとしたような顔をしたんだよね。
やっぱり身近に女の子がいるっていうのは心配するのかな。
私なんてさっぱり相手にされてないけどさ。

「井川さんは歳いくつ?なんか若そうにみえるけど」

今井君が質問する。うーん、こうなりゃトコトン聞き倒しちゃうかな。

「えーっと、19歳です」

 一斉に皆が振り返る。聞いてない振りしていた隣のテーブルの連中も一ノ瀬先生の顔に一点集中。 実は聞き耳立ててたのね、あの人たち。
ますます機嫌が悪くなる先生に、男連中の視線を受け困り果てる彼女。
助け舟を出してあげたいけど、19歳だと?それってそれって

「犯罪やん」

私が口にだしたかと思ったよ。今井君ね、言ったのは。
周囲を見渡しても頷いてるし。
まさか私より年下だとは思わなかった。先生の彼女だよ?31歳の。
あまりの衝撃に失恋したことも忘れてた。

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