14.プール2 |
不機嫌な今井君をなだめながらも流れるプールで遊んでいると、お昼ご飯時になってしまった。
さすがに二人で勝手に食べるわけにはいかないかな、と思い、仲間を探すことにする。 「ちゃんと探してる?」 「探してますって」 ほんとかなぁ、怪しいぞ。いかにもやる気がありませんっていう今井君を引きずって先輩方を探す。 あ、いたいた。朝分かれたところにたむろしてるじゃない。意外なほどあっさりみつかった先輩方のほうへ歩き出す。 あれ?先輩の隣に背の高い男性の姿が。なんかあの後姿には見覚えがあるような。 細いのにちゃんと筋肉ついてるし、バランスのいい男の人だなぁ。誰だろ?あの人。 「やだ、翼あっちに行こう」 突然、きびすを返して明後日の方向へ行こうとする今井君を無理やり引き戻して、先輩方のところへたどりつく。 そこには憮然とした表情の助教授がたっていた。 うそ?あの後姿は助教授だったんだ。どーりで見たことがあるはずだよ。 本来?の目的である先生を見つけることができ、テンションアップの私は挨拶をしようと助教授の方へ近づいた。 「こんにちは、偶然ですね」 そういう私にえらくそっけなく返事をした先生の隣には小柄な若い女性が立っていた。 愛想のない先生に代わって変わりに返事をしてくれた女性は、とてもかわいくて私が男ならまず 間違いなくちょっかいかけるってタイプの人。 よーくみると助教授肩抱いてるし。 上着を羽織っている彼女をさらに見られまいと隠しているかんじ? 決定打。これ以上ないってぐらいはっきりとした証拠を突きつけられて、失恋決定。 だってあんなにかわいくってほっとけない雰囲気の人どうやったら勝てるの?私。 隣で今井君が「だから嫌やっていったのに」って呟いてる。 ああ、私に見せまいとしてくれたのね、彼女さんを。 でも、ショックなんだけど、そうなんだけど4年分の片思いが終わったにしては落ちこんでないよ、私。 本心から笑って見せた私を慰めるかのように頭を軽く叩く。 ありがとね、そういう心遣いがうれしいよ。 心の中で感謝した。 |