13.プール1 |
「晴れたな」 「晴れましたね」 イヤになるぐらい晴れた日曜日。私たちは昨年オープンしたばかりのプールにいる。 「渡会さん、どうしてビキニじゃないの?」 「あほなこと言わないで下さい」 斎藤先輩にからかわれる。いつもなら今井君の役なのに。どうしてか彼は不機嫌に押し黙っている。 研究室のメンバー総勢6名で乗り込んできたのはいいけれど、こう施設が大きいと助教授を探すのは難しいのじゃなかろうか。 「まあ、それが目的じゃないから、適当に遊ぼうよ」 そういう先輩が私をたきつけたんじゃないの! 文句を言いそうになるも、またも今井君に手を引っ張られ波のプールの方へ連れて行かれる。 「じゃ、別行動で」 って、今井君。それはないんじゃない?いやーー、先輩方も黙ってみてないで止めてください。 抵抗空しく私は先輩方と離れた方へ運ばれてしまった。 「今井君、どうしたの?」 ここまで強引に事を運ぶなんてあまりないことなので少しだけ戸惑う。 「なんで水着なんか着てるの」 「はあ?」 ここプールなんですけど。 「だって、足も腕もこんなに見えてるやん」 見えてるって言っても、私の水着はお腹の見えないセパレートタイプ。 しかもボトムは短パン仕様だよ?ここのプールにわんさかいるビキニの娘さんたちとは露出度が違うと思うんだけど。 「嫌だ。他の男にみられるのが」 真っ赤になった顔で俯きながら応える。 うわ、そうやってされると年下みたいじゃない。あ、年下だったっけ。 「特に斎藤先輩は、翼と仲がいいから・・・」 仲がいいって、アレは私をおもちゃにして遊んでるだけだってば。 あれこれ言い募ってみても、なかなか今井君のご機嫌は直らなくて、そんなことで朝から不機嫌だったのか、 と思うと嬉しいやらアホらしいやらで。 今度は私が無理やり引っ張っていってプールの中に引きずり込んだ。 浮き輪で浮いてりゃそのうち気分も良くなるよ。 そんなことを考えて、私は今日一日目一杯楽しむことに決めた。 |