9.予定 |
地道な努力が実を結んだのか、なんとか平均並には追いついてきたかもしれない。なんだかんだ言って今井君に感謝だね。 彼って、どうして同じ大学なんだろう?いや、違うな私がどうして同じ大学にいるんだろう、 ってぐらいアタマいいんだよね。説明も上手だし。教科書をフォローする参考書関係にも詳しい。 最近怒られる事が少なくなったからか、私の努力が少しは認められたのか、 以前から話し掛けてくれる先輩以外とも打ち解けてお話ができるようになった。 それは嬉しいんだけどね、聞くたび聞くたびネガティブな情報が! 「この間、女の子と歩いてたよ。すっげーかわいかった」 とか 「でも、なんか若そうだったよなぁ、まさか10代?」 だの 「最近の助教授って丸くなったよねー、雰囲気が。やっぱり恋人のせいかな」 なんて、次から次へと吹き込んでくれる。 若くてかわいいんじゃ勝ち目がないじゃないの。せっかく若さで迫ろうと思ったのに。 「いや、翼ちゃん若さって。そんなのにひっかるぐらいならとっくに既婚者だって、先生」 ぐぅ。そうですね、その通りですよ。今井君ってばいつも止めを刺すわね。 「はやいとこ諦めてもらって、俺のとこにきてもらわないといけないですから」 いかないいかない、あり得ないって。否定していたら、先輩方が皆一様に驚いた顔をしていた。 「ええ?おまえら付き合ってるんじゃないの?」 はいーー?なぜにそうなりますか。 「だっておまえらいつも一緒にいるし仲いいだろう?助教授だって今井君と付き合いだしてからはいい風に変わりましたね、 って言ってたし」 うそーーー 助教授にまでそんな誤解をされていたなんて。でも私のことも気にかけてくれているのねなんてちょっとだけ嬉しかったりして、 じゃなくて。 「全然、全くつきあってません!」 否定しとかないと。 「そうなる予定ですから、先輩方。翼にちょっかいかけんといて下さいね」 「予定は未定じゃ、ぼけ」 「未定なら可能性は残るし」 うわ、完敗だよ |