8.さみしさ? |
新しい助教授情報。若い女性と一緒に歩いていたんだって・・・。 いや、わからん。妹さんかもしれないし。助教授の口からはっきり確かめるまで諦めないもん。 「ええかげんにしとき」 今井君も呆れているのかしら。でもね、そう簡単に振り切れるもんじゃないのよ。 「やだ、彼女かどうかわかんないし」 「はあああああああああ、なんで、そんなに頑固なの?」 「頑固ってわけじゃないけどさ、しつこいのよ私」 「どっちも性質悪いって」 百歩譲ってその女性が彼女だとしても助教授とお似合いかどうかは、わからないじゃないの。 すごく性格が悪いとか、裏表が激しいとか、純情な先生がたぶらかされているかもしれないし。 「いや、31にもなってたぶらかされるって、あんた」 「なによ、可能性の問題でしょ」 「翼ちゃんの好きな助教授はそこまでアホやないと思いますけどねー」 その通りかもしんないけど、納得はしないもんね。実際に助教授の口から説明を聞かない限り。 でもどうやってそれを確かめるか、だよね。 助教授のガード固いしなぁ、お酒飲ませてというのも使えないし、敵はざるだから。 というと、今度の夏セミナーがチャンスかな。先生も参加するって言ってたし。 よし、そこだ。 「俺らも参加するんやけど」 「邪魔する気?」 「まあ、ほどほどにしとき」 そう言って今井君は帰宅してしまった。時計を見ると夜の9時。 今日はやけに早いんじゃない?あの子が何をしようと関係ないけどさ。 話し相手がいないのはすこーーし寂しいなって感じるだけだよ。 一生懸命教科書を目で追うんだけど、いまいち集中できないや。 ちょっとは今井君のことが気になるのだろうか・・・・・・・・・まさかね。 |