7.勉強中 |
あれからと言うもの、前にも増して今井君がひっついてくる。下心とかじゃなくって見張りだね、あれは。 学部生の頃からのやり直しと今の研究の下調べなどをやっているんだけど、これが半端じゃなく大変。 で、ついついさぼっちゃうんだけど、それをすかさず見つけて怒るわけ、彼が。 「翼ちゃーーん、なにしとんの?」 へへへ、ばれてます?とぼけたフリをしていたら叩かれるし。 でもなんとか勉強をするっていう状況に慣れてきたかもしれない。助教授に見直してもらえる日も近いぞ、 そうしたらもしかして恋愛対象に格上げしてもらえるかもしれない。 そうよ、そうに違いない。なんて一人で意気込んでいたら 「絶対ないない」 先輩からも突っ込まれた。 そんなに望み薄でしょうか。 「一ノ瀬先生って女性に興味ないの?」 「いやー、そうじゃなくって学生に、特に渡会さんに興味がないんじゃないの?」 そんなにあっさりきっぱりと。 「だから、卒業してもダメだと思うよ」 一縷の望みを砕かないでーーーーーーー。 「まあええやん。翼ちゃんには俺がいるし」 「いや!あんたはいっぱい女の子がいるでしょう。そっちいきなさい」 「なんだ、ヤキモチ焼いてたのかー、かわいいなあ、つばさ」 いや、呼び捨てで呼ばないでよ、って言うかどうしてあんたは私を抱き枕みたいに抱えて満足そうにしているのよ。 「天誅!」 「っっいったーーーーー、舌かんだらどうすんの」 たかが頭突きぐらいで大げさな。だいたい乙女に気安く触る方が悪い。 毎日毎日言っていて飽きないのかね、この人。人のこと言えませんけどね。 なにせ4年越しの片思いですから。 |