4.可能性 |
昨日の先生は変だった。いつもある意味変だけど。 ボケてる?って言うのが一番当てはまる表現かも。 資料を渡しに(開けっ放しだけど)扉をノックしたら、ものすごく慌てた表情でこちらを見るし。 何か見られちゃまずいものがあるのかしら。 助教授は入り口と対面式になるように机を設置しているので、パソコンの画面を覗き込むことはできない。 すごーーく気になるけれど。かといって聞くわけにもいかないし。 「ね、どう思う?今井」 「そりゃあ女宛でしょ」 「そんなにあっさり夢を打ち砕くようなことを」 昨日の出来事を今井君に話してみたら、あっさりこう言われてしまった。 「でも、実際このごろの先生ちょっとおかしいですよ」 「おかしいって?」 「最近日曜日来てないみたいなんですよ」 ええ!あの365日のうち360日は学校に来ていると噂される助教授が? あやしい。とてつもなく怪しいわ。 「だから、女でもできたんちゃう?って先輩方が」 「ですから、いいかげん僕と付き合いません?」 「ません」 うーー、いつもの今井君のセリフはいいとして、日曜日に来ない先生。なにしているの? 「それに、教授のお見合いの話しも断ったみたいやし」 「ええええええ?お見合いの話しがあったの?それって初耳なんだけど!」 「翼ちゃんは周りが見えてないからねぇ。情報が入ってこないんちゃう?」 むかつくわ。こいつに言われると、本当のことでも。 実際あまり研究熱心ではなく、不純な動機がバレバレの私は研究室でも浮いた存在なのだ。 こいつのおかげで少しは馴染めてきている、という事実も腹が立つ。 そんなことより、助教授のことよ。どうしようほんとに彼女ができた? 今までそんな気配なんて微塵も感じさせなかったのに。 どうしよう。 やっぱり可能性は1%未満? |