こんな恋の始め方vol7 5.31.2004
6.ともだち(1)

はあ・・・。
本日何回目かのため息。
となりのクラスメートもあきれてこっちを見ている。

一ノ瀬さんが旅立って今日で2日目。私はたった二日でギブアップしてしまった。
彼からメールがこないということが、自分自身をこんなにへこませるなんて。
きっと私の頭上にだけ雨雲が見えるだろう。
外は晴天、なのに私の心は土砂降りよりひどい。

「ちーちゃん、たかだか2週間じゃない。そんなに落ち込まないでよ」

友人のあきちゃんにクレームを入れられた。
いや、それは私が一番わかっているんですけどね。

「うーーん。わかっているんだけどね。うん。わかってるよ。でもね・・・」

その先は言葉にならなくて黙りこくる。
自分でも何をそんなに不安がっているのかわからない。
一ノ瀬さんを信用していないわけじゃない。ましてお仕事なんだし。

これでは駄々っ子と一緒だ。

あきちゃんはそんな私をみて心配そうに、でも少し嬉しそうに呟いた

「ちーちゃんがそんなに相手を好きになるなんて、私少し嬉しいかも」
「うれしい?って。どうして?」

ふふふっと、口元で笑顔を作って続ける
「だって、ちーちゃん最初に会ったときすごーーーーーく、暗かったもん。しかもフリーだからって、男を紹介するっていっても全然乗ってこないし」

うんまあ、入学した手の頃はそれど頃じゃなかったからね。つらくて。
でも、あきちゃんにばれてるとは!
そう言うと、あきちゃんは怒ったように

「あたりまえでしょ。ちーは私のことなんだと思ってるの。あー、もう。仕方ない。あんた全部吐いちゃいなさい」

え?はく?なにを?

「ちーは全部内にためるタイプでしょ?それって精神的に良くないよ。吐き出せるうちに吐き出しとかないと自家中毒起こすよ」
「だから、今日は私の部屋にお泊りね♪語り明かしましょう、ふふふ」

高らかに宣言して、わたしはあきちゃんに連れていかれてしまった。

彼女の部屋に行くのはこれが初めてだ。私は友人との間にも線を引いてしまうので、 部屋にお泊りするぐらい親密になることが非常に少ない。何も言えない癖が前面にでてしまい、友人間でも遠慮をしてしまう。 その結果、私が精神的に疲れきってしまう。常日頃から何でも言い合える関係を築けておけばそんなことにはならないのだろうけど、 私にはとても無理。最初から諦めている。
なので、この提案は嬉しくもあり辛くもあり、とても複雑だ。
そんな私の心を知ってか知らずか、あきちゃんはずんずん私を引っ張っていく。

一人暮らしの部屋にたどりついたとき、もう夕方になっていた。家には連絡を入れたので大丈夫。そうじゃなければ私の門限はとても早いのでもう帰宅しなくちゃいけない。

「どうぞー、狭いけど」

女性の部屋らしくかわいらしい小物が置いてあるけど、全体的にすっきりとした部屋だ。ぬいぐるみがごろごろしてる私の部屋とは対照的だ。部屋主の性格がでるのだろう。1DKって言うんだろうか、こういうのは・・・失礼だけど興味深く見渡す。

「適当に座ってて。飲み物持ってくる。お茶でいい?」
「うん、あ、おかまいなく」

型どおりの挨拶を交わすと、キッチンのほうから飲み物を入れて持ってきてくれた。
ガラス製のコースターの上にそれを置く。氷がとても涼しげだ。

「さて、ごはんはピザでもとってー。で、お風呂もちゃっちゃと入って告白大会といきますか。修学旅行みたいだね」

笑顔がとても怖いです。
どうあっても逃げられませんか、あきちゃん。


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