片岡君のびっくりな告白?をさっそく叔父さんに報告してみる。
「は?さくらちゃん、オトモダチになろうって言われたの?」
「うん、へへへーーー、嬉しいな」
心なしか複雑な表情をした叔父さんが、考え込むそぶりをする。
「で、オトモダチでいいわけね」
いやに友達の部分に力を込められているような気がする。
「へ?他になにがあるの?」
「いや、なんでもない」
腑に落ちないけれども、目に見えた反対をされたわけじゃないので、これでよしとしよう。
「良かったね、さくら」
私の大好きな温かい笑顔で迎えられ、胸にすっぽりと収まる。
頭を優しく撫でながら、穏やかな時間を過ごす。
こんな時間がどれほど大切で、場合によっては簡単になくなってしまうものか、叔父さんのアメリカ行きの話でよくわかった。
なくなりかけてわかるなんて、本当に間抜け、かもしれないけれど。
「叔父さん、もう少しこのままでいて?」
今この瞬間だけじゃなく、もう少しだけ。
「さくらが嫌っていうまでこうしてるから、俺」
クスクスとお互いの顔を見合わせて笑いあう。
大切な時、大切な人。
突き刺さるような視線を感じて、振り返ると、そこには臼井さんが立っていた。
片岡君の次は左京にちょっかいを掛けていると噂には聞いていたけれど、まさかまた啖呵をきりにきたんだろうか。お門違いなのに。
「何かよう?」
無言でこちらとの距離を縮めてくる。
彼女の迫力に思わず半歩後退してしまう。
引いた瞬間、彼女の右腕が伸び、私の眼鏡をひったくる。
「やっぱり」
あまりな出来事に声もだせずに立ちすくむ。臼井さんは驚いた顔を浮かべ、次にはっきりと納得したような自覚したような顔をした。
「しかも度が入ってないじゃん、これ」
それは、私のお守りだから。
彼女は何かに怒りながら、ポイっとこちらへと眼鏡を投げてよこす。
何がなにやらわからないまま、慌てて眼鏡をかけ直す。
周囲を見渡して、誰もいなかったことに安堵する。
良かった、他の誰にも見られなくて。
私は私の顔がニガテ、だから。
「あれ?咲良ちゃん?」
ふっと我にかえると、廊下の端に片岡君の姿を発見する。
「かたおか、くん」
「どうしたの?ボーっとして」
「ううん、なんでもない」
よりにもよって、臼井さんに素顔を見られたことに動揺する。
彼女は私のことを知っているのだろうか?
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