何の予定もない日曜日。いつものように予告もなしに彼女を呼び出す。
わがままを言って聞き入れられるのをみて、自分への愛情を確かめる。
錯覚かもしれないのに。
「何見てんの?」
熱心に専門雑誌の表紙を見ている彼女に問う。
「うーん、DNA?」
手元の雑誌に目を落とすと、それにはDNA二重螺旋のキレイなイラストが。
「おもしろい?」
「や、面白いって言うか。これって永遠に交わらないよね」
変なことを言うやつだ。怪訝に想いながらも螺旋構造を改めて見る。
確かに、この2本は永遠に交わらない、平行線のままだ。
「なんか私たちみたい」
ポツリと呟いた彼女の気持ちがなんだったのか。
心臓を鷲づかみにされたような気持ちだ。
彼女の本音が少しだけにじみ出たのかもしれない。
思わず後ろから抱きしめた背中の感触。
この暖かさは本物か?
眩暈がする。
お互いの肌の感触だけは確かなものだと。そう信じていたけれど。
それすらも幻かもしれない。
「いなくなるなよ」
初めて出す本気。
「うん、たぶん」
軽くかわされる。
のめり込むのも悪くないかもしれない。
>>次へ>>戻る