しとしとしとしと。全くよく降るわね。
窓の外を眺めて悪態をつく。
梅雨だから仕方がないとはいえ、こう続くと気分も滅入る。
それにやつにも会えてない。
この前あったのは、いつだったっけ?
日にちを数えるのも億劫なほど前だったはず。
どうしてそんな男に惚れちゃったかね、自分。
今更後悔しても遅いんだけどさ。
このまま動かないでいるとカビてきちゃいそう。
意を決してケータイを手にとる。
雨の日曜日、私と遊んでくれそうな人は限られている。26歳という年齢からかボチボチ結婚する人も現れてくるし。
アドレスを確認しながらため息をつく。
ポイッとケータイをベッドの上に放り投げ、ついでに自分もダイブする。
まあいいや、このままごろごろしちゃおう。
毛布を抱え込んで昼寝の体勢に入る。
ドンドンドンドン。
激しいノックの音で目が覚めた。いつの間にか寝入ってしまったらしい。
(誰よ、近所迷惑じゃない)
心の中で呟きながら、玄関まで出る。
「どちら様?」
「おれ」
やつだ。今までほったらかしといて、今更家になんて入れてあげないんだから。
そう思いながらもチェーンをはずして彼を迎え入れる。
ああもう。本当にコレが惚れた弱みってやつよ。
「携帯なんででねーの?」
第一声がこれですか。今までごめんとかないわけ?
「ごめん、寝てた」
マナーモードになった携帯を指差し謝る。やっぱり立場が逆転している。
ちょっと不機嫌な顔をしながらも我が物顔で、私の部屋で寛ぐ男。
まあ、今のところ居心地がいいから、許してあげる。
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