八つ墓村
「八つ墓村」 1977年年作品
監督: 野村芳太郎
出演: 萩原健一、渥美清、山崎努、
小川真由美、山本陽子 夏八木勲、市原悦子、ディープ・インパクト(田中邦衛 )他
横溝正史の有名な小説「八つ墓村」の映画版です。
小説が先に有名になったのか、映画になってから小説が有名になったのかは定かでは
ありませんが今回は、アクション映画しか観ていないのでは?と思われがちですので、
推理物(? ホラーじゃねーよなこの映画は)にしました。
−Story&コメント−
ストーリーは恐らくこの映画が公開された頃、昭和50年代頃と思われます。
羽田空港で働く萩原健一(流行ではないですよ。あの人も濃いよなあ・・)
新聞で自分を探している尋ね人の欄を見ます。
とりあえず尋ね人を出した諏訪弁護士の所に行ってみます。
この諏訪弁護士が大滝秀二です。
いつも、ちょくちょく映画に出ている秀二。
パッと観て関根努が出てきたのかと思った人は多いはず。(思わねーよ!)
秀二のところで自分のおじいさんと名乗るおじいさんと再会します。
萩原健一は岡山の山の中に有る村、八つ墓村の大地主、多治見家の血を引く者と判ります。
再会して泣き出したと思ったおじいさんは、いきなりゲロゲロ吐きまくって絶命してしまいます。
死因は感動のあまりの心臓発作でなく劇薬を飲まされて殺されたことが判明。
萩原健一でなくても、驚くよなあ・・目の前で再会したおじいさんが転げ回って死んだら。
身元引受人としてやって来た多治見家の分家の小川真由美に連れられて
八つ墓村に行く萩原健一。
岡山の山奥の山頂に着くと山の上で色々と小川真由美に説明を受ける萩原健 一。
村の名前は現在は変わっているが、昔は八つ墓村という名だった事を聞きます 。
なにかしらショックを受ける萩原健一。
そりゃ期待して行ったとたんに地名が八つ墓村と言われた日にはショックを受けるわなあ・・。
ついたとたんに変な、ばあさんが来て「タタリっじゃああ」と詰め寄ってくるし。
踏んだり蹴ったりな印象を持って多治見家に到着します。
この多治見家で双子のおばあさん姉妹 市原悦子と山口仁奈子と姉に当たる山本陽子と面会して、
食事を共にしますがなんともジメジメした陰惨な食卓です。
飯も喉にとおらない萩原健一。
そりゃあ普通は飯は食えんぞ、マンガ日本昔話のような口調でグチグチと
嫌みを話す市原悦子を観ると。
村のはずれにある八つ墓明神に行く萩原健一と小川真由美。
そこで野良仕事?をしていた渥美清と出会います。
そして萩原健一と渥美清は村の由来を小川真由美から聞くことになります。
毛利との戦に敗れた尼子義孝(夏八木勲)とその一党が落ち武者となって
この村に住み着きました。
段々と村の人たちに溶け込んだ尼子の落ち武者達。
村の祭りに招待され、いい気分になった頃に村人が酒の中に毒を入れていて落ち武者達を
弱らせた後に総出で虐殺を行います。
この虐殺シーンが、とても生々しく落ち武者達は火だるまになったり
鎌で腹を裂かれたり、さらに田中邦衛は縛り上げられて首をはねられるし、
そのはねられた首はヒューっと飛んで村人の腕に噛みつく有様。
(首をはねられた邦衛より噛みつかれた村人の手の方が痛々しそうに見えたのは
私だけではないはず??。)
暗闇から飛んでくる邦衛の首。
別にこの役は田中邦衛でなくてもいいのでは?と思いながら、
この虐殺シーンで一番印象に残ったのは、やはりディープ・インパクトの異名を持つ田中邦衛。
他の映画でも、(「椿三十朗」「新幹線大爆破」)ほんのちょい役で、
別に邦衛でなくても、いいじゃないか。という役でも最後には映画の内容より
「そういえば田中邦衛もでていたなあ」と見る人に強烈なディープ・インパク トを与える田中邦衛。
千葉ちゃん(千葉真一)とよくいろんな映画に出ている夏八木勲は普段でも濃いのに
更に濃い形相で村人達に恨みを残し、「たたってやる・・」と言い残し壮絶に絶命します。
多治見家に戻った萩原健一は親戚と兄にあたる多治見久弥(山崎努)に面会し
ます。
山崎努は病気の為、寝たきりの生活でしたが薬を飲んだ後、いきなり死んでしまいます。
唖然とする萩原健一。
そりゃそうだわなあ。こんなにタイミング良くボロボロ人が死んでいくと。
夜中に度々、双子のおばあさん姉妹が土蔵に入っていくのを目撃する萩原健一 。
奇妙に思い自分の中に入っていくと、その土蔵は地下の鍾乳洞と繋がっていま した。
鍾乳洞を奥に進むとそこには鎧武者姿の多治見要蔵(萩原健一や山崎努、山本陽子の父)の
ミイラが。
多治見要蔵のミイラを観ていきなり死んだはずの久弥(山崎努)と思う萩原健 一。
山崎努は多治見要蔵と久弥 一人二役。
そして山本陽子からこのミイラは自分たちの父である多治見要蔵と教わります 。
多治見要蔵がしでかしたことを萩原健一は山本陽子に聞きます。
桜の花が舞い散る中。
頭に懐中電灯をくくりつけて日本刀とライフルをもって疾走する山崎努(多治見要蔵)。
村の住人30人を次々に虐殺していきます。
この虐殺は実際にあった津山の30人殺し事件をモチーフにしていたそうです 。
(興味を持った人は調べてみてね。)
病気の殿様のようにハチマキをして色白い死にそうな顔で虐殺を続ける山崎努 。
当時の観客を震え上がらせ、志村けんに「たたりじゃー」とドリフで言われ
全国的に有名になったシーンです。
問答無用で村人を殺しまくる山崎努。
CMで豊川悦治と卓球にエキサイトするだけあって、村中を駆け回り、恐怖のどん底に叩き落とします
この話を聞いてそそくさと帰り支度をする萩原健一。
そりゃかえるわなあ。普通。
自分の父がどんな人かを捜しに遙々来たのに。いきなり大量殺人鬼だったのだから。
しかしながら、自分の父親は多治見要蔵では無いことを母親のお父さん、
おじいさんから話を聞きこの話は学校の工藤校長が知っているとのことなので
学校に行ってみますが、校長は教育委員会の為、細かいことを話さずに出張に出かけてしまいます。
渥美清(金田一)は事件を色々と調べますが、話す口調が寅さんと一緒の口調 。
そのうちバナナでもたたき売るのでは?と思うくらいの金田一ぶり。
四六時中、考え事をしている石坂浩二の金田一とは偉い違い。
そして日は多治見家の初七日の日になります。
親戚や近所の縁者が晩餐をしている最中工藤先生が急にズワイガニの様に
泡を吹いて死んでしまいます。
村人は萩原健一が犯人と勝手に思いこみ多治見家に押し掛けます。
山本陽子の計らいで鍾乳洞に匿われようとされますが
入ったとたんに這々の体で逃げ出していた市原悦子とバッタリ鍾乳洞の中で会ってしまいます。
市原悦子の双子のあばあさんの一人、山口仁奈子が鎧武者に鍾乳洞でさらわれたと聞いて
単身鍾乳洞の中を歩いていくと今度は行商中の寅さんに。
ではなく調査中の渥美清(金田一)と会います。
さらに奥へと歩いていくと警察が犯人と断定していた藤岡琢也(久野医師)が殺されていました。
殺されたと言っても、サッポロ一番みそラーメンに毒を盛られて殺されたのではないのですが。
警察は身辺保護のため萩原健一は鍾乳洞に隠れておくようにとの指示をします 。
小川真由美は鍾乳洞で身を隠している萩原健一を心配してノコノコと鍾乳洞に入り、
萩原健一が母親の中野良子(鶴子)から生まれた場所と言い聞かせられていた
「竜の顎(あぎと)」を探しに行きます。
途中にサッポロ一番みそラーメンの横で転がっている割り箸のように寝そべっている
藤岡琢也の死体や溜池で、サッポロ一番みそラーメンの器に浮かぶ「なると」のように
プカプカと浮いている双子のおばあさんの一人、山口仁奈子んも死体を見つけながら
芥川也寸志の音楽をバックに奥へ奥へと入り
ついに竜の顎を突き止めます。
金田一が事件を調べている間、
萩原健一と小川真由美は悠長にパコパコとしていました。
萩原健一残して小川真由美は立ち去りますがそれから助けを呼ぶ声がして、行ってみると
山本陽子が瀕死の体で横たわっていました。
死ぬ間際に萩原健一は多治見要蔵では無いことと自分に襲いかかって来た犯人の指を噛んだことを告げて死んでしまいます。
その間、渥美清と警察は鍾乳洞の出口で大滝秀二を待っています。
事件の真相を確認するために。
小川真由美は再び萩原健一の元に戻ってきますがその手には山本陽子が噛んでつけた傷が。
腰を抜かす萩原健一。そりゃそうだわなあ。
いきなり小川真由美が鬼女になって追ってくるのだから。
「週間女性」によく出ている「嗚呼・・鬼嫁!!」そのもので暗闇より萩原健一を追いかけます。
鍾乳洞の中を必死に逃げ回る萩原健一。
そのころ、のうのうと渥美清は村人や警察の人たちに事件の真相を話します。
犯人が分かっていたのなら、助けに行けよ。渥美清。
でも、見せ場なのに全然金田一らしくない渥美清。
なんで渥美清なの?金田一役が。と思う人は多いと思います。
ついに小川真由美に追いつかれて殺されようとしたとき不意に大きな地震が鍾乳洞を襲い
小川真由美は落ちてきた岩により絶命してしまいます。
さらに鍾乳洞から這い出してきたコウモリの群。
村中を飛び回り多治見家に飛来します。
萩原健一が這々の体で鍾乳洞から抜け出し村を観ると火事になっている多治見家。
火に包まれても経文を唱える市原悦子。
燃える家政婦状態。
のぞき見をするまもなく死んでしまいます。
最後は高台から多治見家が焼け落ちる様を高笑いしながら眺めている
夏八木勲やディープ・インパクト(田中邦衛)ら8人の落ち武者。
この濃い場面で観客達は帰る間際になっても強烈な印象を受けます。
いつもながら犯人が死ぬ間際に、のうのうと事件を解く金田一。
たまには事件が大きくならない内に解決しろよ!と思う人も多いと思います。