魔界転生
「魔界転生」
1981年
監督： 深作欣二
脚本：野上龍夫・石川孝人・深作欣二
出演： 千葉ちゃん（千葉真一）、ジュリー（沢田研二）、トミー(若山富三郎)
ミッキー(成田三樹夫)、佳那晃子、緒方拳、室田日出男、丹波哲郎
真田広之、松橋登 他
いつもは主役より目立つ千葉ちゃんが
珍しく「あまり」目立たない映画です。
周りの役者が濃すぎて。
−Story＆コメント−
時代は島原の乱の直後。
島原のキリシタン門徒を虐殺して、乱を平定した幕府軍は
島原で戦勝祝い(?)の能をぬけぬけと観ていました。
このときの幕府軍の中心は松平伊豆守(ミッキー(成田三樹夫))。
いきなりミッキーの登場です。
能を見る顔をも怖いミッキー。
もう少し緩めよ！って言いたくなるくらいの怖さ。
能の最中に突然の落雷。
その場の幕府の人たちが気を失っている中。
天草四郎時貞（ジュリー（沢田研二））が転生（復活）します。
幕府を倒すためにジュリーは仲間を集めます。
その仲間達が濃いんだまた！
やはり幕府を倒すのだからこのくらい濃い人達を集めないと
ならなかったのでしょうね。
其の仲間というのが
細川ガラシャ（佳那晃子）
宮本武蔵（緒方拳）
宝蔵院胤舜（室田日出男）
伊賀の霧丸（真田広之）
といったキワノモ揃いの集団。
さすがジュリー。この位のメンバーを集めないと
柳生十兵衛（千葉ちゃん）の「濃さ」には勝てないことを知っています。
しかしながら魔界転生を勧めるテクニックは並みのセールスマン
以上のテクニック。衣装も七五三みたいな衣装だし。
さて手始めに将軍家綱（松橋登）が日光にて参拝をしているときに
佳那晃子が将軍に取り入るために巫女に扮して近づきます。
まんまと取り入った佳那晃子。
しかしながら佳那晃子に不信を抱くミッキーは手下の甲賀者を使い
佳那晃子の素性を探らせます。
手下からの報告を聞き、益々怪しい所だらけの佳那晃子に不信を募らせる
ミッキー。
其のとき、ミッキーの前に七五三のような格好をしたジュリー登場。
キリシタンの恨みを晴らすべく参上しました。
しかしながらミッキーも簡単には、やられません。
殺されたキリシタンの女達の髪で編んだ鞭で首を締められ七転八倒。
しかも額に十字架の落書きをされて天井から吊るされる始末。
さすがミッキー。死に方も半端じゃない。
前半部分でミッキーが絶命してしまうのは残念ですが。
そうして上様（松橋登）は佳那晃子に溺れるあまり政道を怠り
幕府は、てんてこ舞いになってしまいます。
その元凶は佳那晃子とにらんだ柳生但馬守宗矩（トミー）は
佳那晃子を切るために江戸城へ登城。
江戸城内でジュリーと濃い仲間達はトミーの前に現れます。
手始めに室田日出男が得意の槍を使って攻め立てますが
さすがはトミー。
なんなく室田日出男を倒してしまいます。
しかしながら折りからの病のせいか、ジュリーと濃い仲間達を見たせいか
（おそらく後者？？）
トミーは吐血して絶命してしまいますが
ここでもジュリーの勧誘が冴え渡ります。
ころっとジュリーの勧誘に乗せられてしまいトミーも
魔界転生を果たし、濃い者軍団の仲間入りを果たします。
ジュリー、勧誘が巧すぎ♪
ジュリーの呪詛により穀物は実らなくなり
百姓達は困窮してしまいます。
一方、真田広之は、一揆で親を無くした娘に惹かれ、更には
自分達が行っていることについても悩んでしまいますが
そこはジュリー。さすがに巧いこと真田を丸め込みます。
悩む真田の口を封じてしまいます。
しかも文字通り「口封じ」で。
千葉ちゃんはジュリー達と戦うために刀鍛治の名匠
村正（丹波哲朗）の所へ刀を作ってもらいに行きます。
やはり出演者が濃いだけに村正も濃い俳優。
丹波哲郎です。
相変わらずのサンバ・・でなく丹波のリズムで偉そうです。
これには頼みに行った千葉ちゃんも「やれやれ」と思ったでしょう。
なんていったて丹波哲郎なんだもん。
でも太っ腹の丹波哲郎は病をおして千葉ちゃんに刀を作って上げます。
ある日のこと、将軍は大規模な鹿狩りを行います。
突然、茂みの中から御上への嘆願書を持った百姓達が出てきますが
かな晃子は彼らを見て「鹿だ鹿だ」と騒ぎ立て上様に
矢を射るように勧めますが、まだ正気を保っていた上様は
百姓達に矢を射かけることは出来ませんでしたが
正気を保っていないトミーは、のうのうと矢を射かけ、
百姓達を次々と殺していきます。
楽しそうに矢を射るトミーを観てついに感化された上様も
百姓達に矢を射かける始末。やれやれ・・。
幕府の圧政立ち上がった農民を相変わらずの口八丁で江戸に攻め上らせる
ジュリー。
其の合間、娘と駆け落ちしようとした真田広之はあえなく
ジュリーの黒髪鞭で殺されてしまいます。
（ミッキーを倒した鞭で。でも額に十字架は書かれなかったのは
まだ真田広之がミッキーの粋に達していない証拠でしょう）
刀が出来ると早速、宮本武蔵（緒方拳）と対決です。
海辺で戦う中年男2人組み。
大丈夫かい？そんなに暴れ回って？と心配する観客をよそに
緊迫した戦いの中。予想通りというか、当然のことながら
千葉ちゃんが緒方拳を倒します。
江戸の街に火の手が上がる中、幕府の重鎮達は右往左往しますが
上様はお構いなし。
佳那晃子と「やれやれ」な関係を続けていました。
そのとき寝言で「細川忠興」の名を呼ぶ佳那晃子に激怒する上様。
そして、わらわらと争っているうちに燭台が倒れて
部屋はあっという間に火の海祭りに。
それにしても火の周りが早すぎと思う観客を尻目に
佳那晃子のネジが２，３本飛んでしまって白痴状態。
上様も細川忠興も見分けがつかなくなり
上様を忠興と呼ぶ始末。
そらりゃあ間違えても仕方無いわなあ・・同じ顔出し。
（松橋登は上様と細川忠興の2役）
江戸城内が燃え盛る中、トミーも一緒に大暴れ。
刀を振り回し、上海雑技団のように飛び跳ねての大立ち回り。
今回は千葉ちゃん以上にアクションが目立つトミー。
もう江戸城内は盆と正月が一緒に来たような忙しさ。
焼け落ちようとする江戸城内についに千葉ちゃん登場。
体中に耳無し芳一のように呪文を書きまくっている千葉ちゃん
もともと濃い千葉ちゃんの顔が炎で更にギトギトに見えてきます。
ちゃんと耳迄呪文を書いたのか？と心配する観客を尻目に
トミーと剣を交えます。
濃い俳優2人の立ち回りに観客は片時も目を離せなかったことでしょう。
濃すぎるもん。
死闘の末、トミーを倒した千葉ちゃんの前に
いよいよ黒幕のジュリーがお目見えします。
相変わらずの七五三の格好で。
勧誘員の鏡というべきか、ここまで来てまたも千葉ちゃんに
魔界転生の勧誘をします。
しかしながら千葉ちゃんはジュリーの勧誘を跳ね除け
果敢にジュリーに挑みます。
ジュリーも例の鞭で応酬。
一瞬の合間をぬって千葉ちゃんの一貫がジュリーの首を飛ばしますが
なんとジュリーは首を刎ねられても死なずに
「また戻ってくるぞ！」と「ぬけぬけ」と「ほざき」ながら炎の中に消えていきます。
炎の中で呆然となる千葉ちゃん。
そしてエンディングの音楽。
・・って、それで終わりかい！！と納得がいかない観客は多かったと思います。