007は2度死ぬ
(You Only Live Twice)
「007は2度死ぬ(You Only Live Twice)」
1967年作品
監督: ルイス・ギルバート
出演: ショーン・コネリー、若林映子、丹波哲郎、浜美枝 他
「007はどれも同じみたいでつまらない」という声を最近聞きますが
そのような方は「007は2度死ぬ(You Only Live
Twice)」を観ていない
人かもしれません。
とにかく、この映画は007シリーズの中で最高傑作(2000年2月現在)です。
(どういう意味で??)
見ていない人は生涯に1度は観るべきだと思います。
2度死ぬどころか、何度も死にそうになります
観ている自分が・・・。
−Story&コメント−
時代背景は宇宙の開発期、米国のアポロ計画の真っ最中の頃と思われます。
アメリカの打ち上げた人工衛星に、突然背後から国籍不明の
とても怪しすぎる人工衛星が近づいてきました。
その人工衛星は先端を朝顔のようにパッカっと開き、米国の衛生を飲み込んで
しまいました。
(でも先端より大きな人工衛星だったら?と当時の人たちは
考えなかったのだろうか?)
飲み込んだ衝撃で船外作業していた宇宙飛行士は命綱が切れてしまい
暗くて静かな宇宙の海へ・・
(あの人はどうなったのだろうか?)
米国はソ連の仕業と思いソ連に猛省を促しますが、身に覚えの無いソ連
「そんな言いがかりをつけられても・・」と困惑し無罪を主張します。
何でもソ連のせいにするなよ米国。と思って見ている人も多いでしょう。
段々と米国とソ連の仲は険悪な雰囲気になってきます。
その中でら国籍不明の人工衛星が東南アジアから日本迄の範囲のあたりで
打ち上げられたことを突き止めた英国は007を派遣することになるのだが
いきなり、何も根拠はないのに「打ち上げられた場所は日本だ」と決めつける英国。
根拠も無いのに言い張り通す英国。
実際は日本から打ち上げられたのだが、もし違っていたら国際問題だぞ英国。
コードNo.007 ジェームスボンド(ショーン・コネリー)は日本に行く前に香港で休養中。
女性とベットに入っているところにマシンガンを持った暴漢乱入。
ベットを畳まれて押し込められるわ、銃弾の雨霰を浴びるわで、
盆と正月が一緒に来たような慌ただしさのなかで殉職してしまう007。
新聞にデカデカとボンドの死亡記事が載せられ、英国海軍により水上葬儀が行われます。
ボンドの遺体は海に沈められますが、そのとき海底より2人のダイバーが
やってきてボンドの遺体を潜水艦に運び去って行きます。
その潜水艦は英国の潜水艦でした。
実はボンドの葬儀は偽装でだったのです。
ボンドを乗せ静かに日本に密入国する英国潜水艦。
(またかい!英国!いい加減、国際問題になるぞ!)
しかもボンドを魚雷発射口から魚雷のように射出。
普通なら死んでもおかしくないのに、ぴんぴんして岸に上がるボンド。
こんな扱いを受けても英国に忠義を尽くすボンド。
この映画を観た英国人はボンドを尊敬する人の第一位にするのでしょうね。
さて日本に密入国したボンドは東京の街を練り歩きます。
夜の街を歩くボンド、そのかたわら全速力で疾駆する人力車。
な、なんで?この時代に人力車??と思う日本人はほとんどだと思います。
牛車が出ないだけましかも?
日本をバカにしているのか、勘違いしているのか?、監督の趣味か?は
今となっては判りませんが、とにかく腰が抜けてしまいますが
この時は知る術もなかったのですが、この程度は、まだまだ序章だったのです。
ボンドは国技館で相撲を観戦します。
相撲を登場させたあたりは外人向けのサービスなのでしょうね。
国技館内で日本のエージェント(若林映子)とコンタクトを取るボンド。
わざわざ国技館でなくても・・。
そして英国政府の協力者として日本に在住している
ヘンダーソンさんの家に伺いますが、たいして話もしないうちに
ヘンダーソンさんは何者かに殺されてしまいます。
おそらく彼の部屋のインテリアの趣味がきわめてメチャクチャっだったから
殺されたのかも??
ヘンダーソンさんを殺した犯人を追いかけていくと、
オーサトという会社に辿り着きます。
この会社、会社なのに中には鎧は飾ってあるわ、仏像はおいてあるわで
本当に会社かい?と思うような作り。
しかも警備員はいきなり侵入者(ボンド)に発砲するし。
米国じゃないんだから。いきなり発砲はしねーよ日本の会社の警備員は。
それから、ボンドは日本のエージェントの親方である田中さん。
あだ名はタイガー田中(丹波哲朗)のアジトに案内されます。
案内というか誘い込まれます。
相変わらず偉い人の役しかしない丹波。
一度は下っ端の戦闘員の役でも観てみたいもんだ。
でも、日本側のエージェントは「キーハンター」では
ないですよ。
相変わらずサンバでなくタンバのリズムで偉そうにしています。
さて丹波のアジト。このアジトは、なんと地下鉄になっていて
つまり地下鉄の車両がアジトとなわけ。
毎日都内をグルグル回っているのだろうなあ・・。
の構内にあって(調べた所によると
しかも、その車両はオフィスの様になっているのですが
女性秘書は成人式のような振り袖姿で勤務しています。
そしてボンドは丹波の家に招待されます。
この丹波の家、大きな居間には大の字になった虎の毛皮が敷いてあるし、
刀はあるは、下働きの女中は全員ビキニだわで。
とんでもない家です。
しかも女中さんと風呂に入って極楽気分に浸るボンド。
湯の梵天の心地です。
風呂場で背中を流して貰いながら
「英国では女性がサービスしてくれないのか?」とかの台詞を
ぬけぬけとほざく丹波。
「あんただけだよ!こんなことさせるのは!」と内心ボンドも女中さんも
思っていたでしょうね。
当時の人は虎の毛皮にビキニの女中が豪華の象徴だったのでしょうな。
(なわけねーよ!)
ボンドは偽名でオーサトに向かい社長(会長かな?)と会見をします。
でも、あっさり見破られるボンド。
本当にMI6の情報部員かい!あんたは!
帰りに車に乗っているとオーサトの部下(結構ヤクザ者顔)たちから追われる
ボンドと若林映子。
ここからはお得意のカーチェイスなのですが、やはりいつもの007と違います。
若林映子は丹波に助けを呼びます。
しばらくすると丹波の部下のヘリコプターがやってきます。
そしてオーサトの部下達の乗った車の上にピッタリとつけ
爆弾でも落とすのか?と思いきやいきなり
大きな円盤形の磁石でUFOキャッチャーのように車をつり上げます。
なにがなんだか判らないオーサトの部下達。
観ているこっちも判からねーよ!
哀れオーサトの部下達の車は川にドボンと落とされてしまいます。
その後、丹波から神戸へ向かえとの指令が若林映子に。
指令の後のシーンはいきなり神戸の港。
東京から神戸まで、いきなりワープした2人。
どうやって行ったんだよ。短時間で。
そしてオーサトの所有するタンカーを見つけます。
そのタンカーの名前は「NIN-PO」。
なんで「忍法」なの?
普通、船の名前はヤマトとかタイタニックとか兄弟船だろ!
と思う観客を後目にどんどん話は進んで行きます。
また港ではボンドは捕まってしまい大騒ぎになります。
足をひっぱてばかりのボンド。
英国もとんだヤツを寄こしたものだ。と丹波も嘆息していたことでしょう。
オーサトの女性秘書(金髪)から飛行機に乗せられて
飛行機ごと始末されそうになるボンド。
なんとか脱出してアジトに逃げ帰るボンド。
ボンドが這々の体でアジトに逃げ帰ると丹波は敵のアジトは
神戸から上海迄の間の島だととつきとめます。
(範囲が広すぎるよ。おい!)
全然丹波の方がボンドより有能です。
別に英国からエージェント(ボンド)が来なくても解決したんじゃねーか?
丹波だけで。
さて、いよいよ敵のアジトも判った。とのことで
丹波は自分の部下達の訓練風景をボンドに披露します。
空手、柔道、剣道の訓練にいそしむ部下達。
しかも手裏剣の練習までしている。
何故に??手裏剣?
この訓練を頼もしげに観たボンドは夜になると若林映子と床を共に。
夜中、オーサトの刺客により非常にも若林映子は毒殺されてしまいます。
でも、何事も無かったかのように敵のアジトに潜入するためボンドは
敵に怪しまれないように日本人顔になるために整形手術を受けます。
でも、手術後のボンドは日本人どころか何人なんだよ?おまえは!と
いった顔になっています。
益々怪しくなったボンド。かえって目立つよこの顔だと。
そしてボンドは敵のアジトのある島に渡ります。
その島で怪しまれないように浜美枝と偽装結婚をします。
翌朝、海女の浜美枝と一緒に伝馬船を漕いで海に出かけます。
おそらく櫓を漕ぐショーン・コネリーを観るのは最初で最後かも。
敵のロケット発射基地は実は火山の火口にあったことを見つけたボンドは
単身、アジトへ潜入。
そして期待通りというか予想通り敵に捕まってしまいます。
敵に捕まっている間に米国の人工衛星を破壊すべく変な形のロケットは
飛び立ってしまいます。
「今度、人工衛星がやられると戦争だ!」と息巻いている米国首脳陣の
ことはつゆ知らずボンドは、捕まっても、のうのうとしています。
捕まり慣れているからでしょう。(慣れるなよ!)
そのとき、火山の火口付近には丹波とその部下達が颯爽と現れます。
その格好や否や日本刀に拳銃、マシンガンを携えしかも
「モジモジくん」のような格好で火口付近にたっています。
でも、ここはボンドと同じく敵に見つかってしまい
砲弾、銃弾の雨霰を受け、多大な犠牲者を出してしまいます。
モニターで丹波達がやられていく様を観るボンドと敵の黒幕
スペクターの幹部。
火山の火口は開閉式のハッチになっていてそこからロケットを発射していたのですが
どうしてもハッチが開かない。
ばたばた倒れるモジモジくん達。
そしてついに今回初めて活躍らしい活躍を見せます。ボンド。
うまいこと敵をだまくらかし、どさくさをついて、ハッチを開けます。
ハッチが開けばこっちのものとばかりに、丹波達は消防士のように
スルスルと降りてきて敵のアジトで大暴れ。
マシンガンは乱射するわ。手榴弾は後先考えずにボンボン投げるわ。
あげくに手裏剣や日本刀を使っての大立ち回り。
「もはやこれまで」と落城寸前にアジトを自爆させようとするスペクター幹部。
アジトが吹っ飛ぶ前、脱出を試みるボンドと丹波一味。
地下道から海まで通じる道を走り、泳いで逃げ出します。
アジトの爆発に誘発されて火山が噴火します。
しかも容赦なくドロドロと溶岩を垂れ流しながら。
でも、あれだけ溶岩が流れていても平気で海を泳いでいるボンド一行。
普通は海にも流れ落ちてとても泳ぐどころではないだろう!と
言う状況でもお構いなしに無事脱出します。
よっぽどの傑作なので、どの監督も迂闊に手が出せないのか
日本を舞台にするのがよっぽど懲りたのか
(おそらく後者?)
この映画の以降2000年迄に日本を舞台にして作られた
007シリーズは皆無です。
とても貴重な映画ですので最後にも言いますが見ていない人は
観る価値があります。
おそらくレンタルビデオ屋に行っても貸し出し中間違い無し
(本当かい!)
でしょうから気長に順番を待って観て下さい。