インプレッサのタイミングベルト交換
(GC8なんだけどエンジンはSF5?)


タイミングベルト交換をやってみたので、やった手順を書いてみる。

お約束の注意
私自身は、整備手順書を持っておらず、Web上等で情報を収集した上で作業しただけなので、このページをみて作業を行い、何らかの損害等が生じてもページの主は責任を負いません。また、手順に間違いがあっても、実際に私がそうやったと言うことを書いているだけなので、間違いがあっても責任は負いません。

使用部品

    数量 単価 金額 備考
タイミングベルト&ラベル 13160AA110 1 14100 14100 タイミングベルトです
アジャスタアセンブリベルトテンショナー 13033AA042 1 9630 9630 テンショナー(アームについた奴)
プーリー (13073AA142) 2   7500 互換品の為正確な値段は分からず。
間違えて購入した13073AA200相当
のものと合わせた金額 
プーリー (13085AA080) 1
           
オイルシール 806733030 1 360 360 オイルポンプのシール
シールOリング 10991AA001 1 130 130 オイルポンプのOリング
           
ウォーターポンプ (X2111AA082) 1 7250 7250 これも互換品
サーモ&ガスケット アセンブリ 21210AA030 1 2060 2060 これは純正
             
Vベルト 5PK877、4PK885 1 2450 2450 互換品。2本での価格
           
合計       43480  

この他、液体ガスケット(約1000円)、ホースバンド3個(150円*3くらい)、クーラント2L(480円…クーラントは抜いたものを再利用したので2L)購入
※クーラントは全量だと、6〜7L必要になると思われます。

工具っぽいもの…60cmのパイプ(300円くらい、クランクプーリーボルト用)。30mm塩ビ管ジョイント(100円くらい、クランクシール打ち込み用)

1000+450+480+300+100=2330円

全部純正だと、5万円超えて6万近くになりますが、所々互換品で抑えて、全部で消費税やら送料もありますが、5万円は行かずに47000円程度で済んだようです。まあ、ベルトとテンショナーで約24000円ですから、これ以上安くは難しいかもしれませんね。

その他必要なもの、あれば便利なもの
工具。特に必要…22mmのソケット。クランクプーリーボルト用。
あれば便利…17mmのメガネ2本(普通あるかな)。小さい鏡。




作業手順
 1、ラジエターを外す
 2、Vベルト等余計なものを取る
 3、クランクプーリーを外す
 4、Tベルトカバーを外す
 5、クランクプーリー、カムプーリーの合わせマークを合わせる
 6、プーリー類を外しTベルトを外す
 7、オイルポンプのシール打ち変え
 8、ウォーターポンプの交換
 9、プーリー類の装着
 10、Tベルトの装着、位置合わせ
 11、Tベルトカバー装着、クランクプーリー装着
 12、Vベルト装着
 13、ラジエターの装着
 14、冷却水補充
 15、エンジンをかけてみる


1、ラジエターを外す


これは、比較的簡単。冷却水を抜き、ラジエターを外す。冷却水を抜くのは、どの道WP交換するので、WPのところからがいいと思う。キャップを外し、暫く待つ。ラジエターのホース(大2本、小3本)を外し、ファンコネクター(2本)も外し、上側のステー2本を取れば、そのまま抜けてくる。
苦労するところや、変わったところは特にない。

↓の写真、赤い丸が細いホース。紫の丸は太いホース。点線は裏側と言う意味。緑丸のボルトを2本外し、水色の部品だけでラジエターは固定されている。黄色四角は、ファンコネクターの意味。ファン下側についていて、下側から覗き込めば直ぐ分かる。それも外す。






2、Vベルト等余計なものを取る

ラジエターが外れて、大分作業しやすくなったところで、Vベルト周りを取り外す。オルタネーターパワステベルト(5PK877)は、オルタネーター左側のロックボルトを緩め、上のボルトを緩めて取る。クーラーベルト(4PK885)はテンショナーがあるので、それを緩めてベルトを取り外す。クーラーベルトのテンショナーも根元3本のボルトを外し、取り外す。
苦労するところや、変わったところは特にない。

↓の写真。まず、緑丸のボルトを外し、水色のカバーを取る。点線と矢印はもっと左にあるという意味。ベルトを緩めるには、赤丸のロックボルトを緩め、紫丸のボルトで張りを緩めて、ベルトを取る。クーラーベルトのテンショナーは黄色のボルト三本を外して取る。





3、クランクプーリーを外す

これは、SSTが必要なところだが、SSTがない場合は、セルモーターで緩めることを考える。俺の場合、60cm程度のパイプでレンチを延長し、その先端を地面につけておいてセルモーターを回した。セルを回すのはカチッとほんの一瞬。エンジンはかけない。それでも反動でレンチやパイプは外れてカランカランいうと思う。エンジンかかってボックスレンチがどこか飛んでしまったりしたら、大変なことになるので、気をつけましょう。ちなみに、クランクプーリーボルトは、22mm。1/2+22mmコマで外れた。ボルトを外したら、クランクプーリーは手前にゆすりながら引っ張ると外れる。

SST(クランクプーリーホルダ)がない場合→セルモーター+棒で延長したレンチ

↓の写真。簡単な図ですが、こんな感じで行います。図のような感じで固定して、セルモーターを一瞬回します。




4、Tベルトカバーを外す

左右を外し、真中を外す。左右のボルトは3本ずつで一緒だが、真中のカバーのボルト(上側5本、下側3本)が下側1箇所違う。その場所を覚えておく。確か、下の向かって左側(運転先側)だと思う。
苦労するところや、変わったところは特にない。



5、クランクプーリー、カムプーリーの合わせマークを合わせる

重要なところ。クランクが2回転する間にカムは1回転するので、クランクの合いマークだけあわせればいいのではない。クランクプーリーを嵌め(ボルトは締めなくてもよい)、カムの合いマーク、クランクの合いマークをあわせる。SSTがなくても、どうにか手で回すことができる。時計回りに回す。前述のとおり、クランクだけあわせても、カムがあっていないときがあるので、多い時で2回転近く回す事になる。ここはしっかり確認してあわせる。カムが上側2本が上に来てればほぼ間違いない。ちなみに、きっちり正確にあわせなくてはいけない、と言うことではないので、クランクが大体真上を向き、カムが2本とも大体真上を向いていればよい。
下の写真は新しいベルトの取り付け後ですが、古いベルトには恐らくマークはありません。緑丸の位置が真上に来るようにします。





6、プーリー類を外しTベルトを外す

合わせマークを合わせたら、プーリー、テンショナーを外す。向かって左下(運転席側下)のから外すのが良いだろう。プーリーが外れると、当然ベルトも外れる。プーリーがどこについていたか良く覚えておくと良い。
↑の写真の赤丸4つを外す。



7、オイルポンプのシール打ち変え

ここはちょっと長いが、オイルポンプを外し、シールを打ち変え、組み付ける、と言う部分である。ベルト交換自体には関係ないが、やったほうがいいらしい。
オイルポンプを外すには、9本程度のボルトを外し、こじって外すが、こじる場所は、下側を裏からが良いだろう。オイルパンをてこに何かでこじれば外れる。外れるときには、オイルが出てきますので、覚悟ましょう。液体シールで付いているはずなので、外れにくいかもしれない。こじって浮いたら、クランクシャフトが通っているので、丁寧に引き出す。
外れたら、パーツクリーナーなどで洗浄し、液体シールのくずも取った方が良いと思う。エンジンブロックの方は、オイル穴があるので、それには気を使ってパーツクリーナーを使った方が良いだろう。液体シールで貼り付けるので、脱脂は十分に。
シールは、打ち込まねばならないが、SSTがない場合、代用品は、塩ビパイプの30mmのジョイントかキャップが外径的に丁度よい。100円程度のものなので、買っておけばよいだろう。塩ビでも、シールには負けないで打ち込める。作業前に、新しいシールとあわせてみると良いと思う。
Oリングの方は、嵌めるだけのようなので、然程難しい事はないが、忘れそうなので、組み付け前に確認しましょう。シールを打ち変えたら、オイルポンプの貼り付け面に、液体シールを塗って組み付ける。平らなところにことごとく塗ればよい。
組み付けだが、クランクシールがめくれないように注意しつつ、組み付ける。液体シールが塗ってあるので、できれば一発で組み付けたい。まあ、クランクシールがめくれなければ、そう難しいことはない。

シール打ち変え…SSTがなければ、30mm塩ビ管用ジョイントかキャップ

使用部品 シールOリング(10991AA001)、オイルシール(806733030)、液体シール


すいません。ここは写真がありません。



8、ウォーターポンプの交換

ウォーターポンプは、交換したほうがいいらしい。交換自体は、ホースの脱着が多少面倒ではあるが、そう難しいことはない。しかし、位置的にちょっと厳しいので、助手席下にジャッキをかけ、少々あげてやったほうが作業はスムーズ。このとき外す前に、ホース周りからクーラントがもれているか確認し、漏れているようならホースバンドも交換してしまったほうが良い。
ホース(大1本、小3本)を外し、ボルト(6本)を外せば、ウォーターポンプ自体は外れる。交換なので、清掃等はしなくても良いが、新品の方には、サーモスタット、その蓋のホース口を組み付けてしまってからの方が楽だろう。また、先に小さいホース(特に2本)を接続した方が楽だと思う。少々面倒なのは、ウォーターポンプのガスケット。ウォーターポンプの取り付け位置自体奥まっているので、うまく嵌めることが難しい。なので、先にウォーターポンプにボルトを通し、その先にガスケットをぶら下げてから、対角線上の2本程度を手で嵌めてしまうのが良いだろう。そして、6本が入るか手で嵌めてみる。嵌まらない場合はガスケットがおかしい。そうすれば、いうほどの苦労はない。
ボルト6本を確実に締め、ホースを接続し、ホースバンドを締めて終了。

使用部品 ウォーターポンプ(X2111AA082)、サーモスタット(21210AA030)、(ホースバンド)


すいません。ここも写真がありません。


9、プーリー類の装着

さて、いよいよプーリーを装着する。この車の場合、部品は
 プーリー(13073AA142)*2
 プーリー(13085AA080)*1
 テンショナー(13033AA042)*1
 の3種4点。車によっては、プーリー(13073-AA200)が必要になったり、テンショナーとアイドラーが別々に必要なものもある。
このうちのテンショナー、丸いプーリー1個、ギザギザのプーリーをとりあえず組み付ける。向かって左下(運転席側下)のプーリーはベルトをかけてから装着する。ちなみに、あんまり強烈に締めずに、ただとりあえず装着するくらいでよいと思う。ちなみに、テンショナーのピンは触らずにそのままにしておく。
↓の写真の赤丸3つをつける。

使用部品  プーリー(13073AA142)*1、プーリー(13085AA080)*1、 テンショナー(13033AA042)*1






10、Tベルトの装着、位置合わせ

さて、とうとう装着である。先に、小さい鏡を用意しておくと良いだろう。下側のカムの合わせ位置は鏡でないと見れないので、あると便利です。17mmのメガネを2本用意して、向かって右側(助手席側)のカムに2本かけておく。バルブスプリングが利く位置にあるので、結構回しにくいが、メガネをかけておけばかなり楽である。
おもむろに新しいTベルトを取り出し、先ず、クランクプーリーの合わせマークを合わせる。次はある程度プーリー沿いに装着し、向かって右下(助手席側)、同上をあわせる。先ず下を合わせないと、下側プーリーはベルトが外れないようになっているので、ずれるとかなりやり直しになる。そして上を合わせる。この時カムが回りにくいので、メガネの力を借りる。ちなみに、クランクと右上の間はテンショナーがまだ効いていないので、ある程度余裕があるので、そう慌てなくてもかかります。左が合ったら、クランクのマークがずれていないか確認し、向かって左側上(運転席側)をかける。そして向かって左下をかける。ここも、上からかけないと、上がずれるとかなり外さなくてはならないので、上が先。ここも、向かって右下のプーリーをつけていない分、右側下後には余裕があります。
かかったら、鏡などで5点(クランク*1、カム*4)のあわせマークとベルトのマークが合っているか再確認する。確認できたら、右下のプーリーを装着し、プーリー3点をしっかりと締め付ける。
プーリーを締め付けたら、そこでまたあわせマークを再確認。この時、テンショナーを押して多少テンションをかけてみれば、カムの上下2本の合わせマークが合うはずである。ほぼと言うのは、合わせが真上でない場合はずれるかもしれない。これは、再確認と考えた方が良いか。
問題なければ、テンショナーのピンを抜き、ベルトにテンションがかかったのを確認して、テンショナー取り付けボルトをしっかり締め付ける。
これでタイミングベルトに関する作業は終了。しかし、あわせマークがずれたりしているととんでもないことになるので、何度も確認してやるのが良いと思う。

使用部品 プーリー(13073AA142)*1、タイミングベルト(13160AA110)

マークを合わせる場所は↑の写真で、緑丸の位置。左(運転席側)は見えていないが、反対と同じ位置にある。合わせる順番は緑色の数字の順番。最後につけるプーリーは紫色のものです。合っていれば、水色丸の2本線が上下合うはず。



11、Tベルトカバー装着、クランクプーリー装着

逆手順での組み付け。難しい所はないと思いたいが、私はクランクプーリーの締め付けで失敗しました。クランクプーリーが合っていなく、斜めになってしまいました。ですので、クランクプーリーの合わせはしっかりとやりましょう。ちょっと分かりにくいです。
さて問題は、SSTがない場合のクランクプーリーボルトの締め付け。かなり締めないといけないのだが、取り合えずなら以下の方法がある。まず、ギアを入れ、ブレーキを踏んだ状態にする。ブレーキべダルとフロントシートの間に何か挟めばよいだろう。この状態であれば、クランク軸→ドライブトレーン→ブレーキ、となり、クランク軸自体は回らない。しかし、ドライブトレーンの分たわみは出てしまうが、この状態で締め付けるのが一番締まると思う。たわみが出て、それ以上締まらなくなったところで、しつこく何度も勢いをつけて締め付ける。この時にも、セルモーターで外すときに使った60cmパイプがものをいう。とりあえず、それで結構締まるはず。その方法で締めて、後にスバルに行って増し締めをお願いしたら、SSTを使ってもちょっとギッと締まった程度だったので、ほぼ問題ないと思われる。
この方法で締めて、SSTのあるところまで行って増し締めをお願いする、と言うのが良いだろう。



12、Vベルト装着

これも逆手順だが、クーラーベルトテンショナーを取り付け、クーラーベルトを装着し、パワステベルトを取り付ける、と言う手順なのだが、パワステベルトは結構かかりにくい。かかったら、張りを調節し、ロックボルトをちゃんと締めて終了。

使用部品 Vベルト (5PK877)(4PK885)



13、ラジエターの装着

まあ、これも逆手順。ホースバンドはちゃんとかけましょう。ファンコネクターも忘れそうになるので忘れずに。



14、冷却水補充

EJ20は時間をかければ結構入るようだ。エンジンをかける前に何度もいっぱいまで入れ、入らなくなったら、キャップをし、リザーバータンクに多めにクーラントを入れておきます。



15、エンジンをかけてみる

とりあえずエンジンをかけるのだが、ここでタイミングベルトを交換した、と言うことを思い出してください。エンジンがかかって何も異音がなければいいのですが、かからなかったり、異音がある場合は、どこかで間違えたかもしれません。そのときは振り出しに戻ります…。しかしまあ、そんな事もないと思いますが。あったら、もしかしたら、バルブ類駄目、ってことになるかもしれません。
何事もなくかかったら、暖まる前に一度止め、再度クーラントを補充しましょう。まあ、クーラントの補充はうるさく言うまでもないですね。暖めて、下回りを覗き込み、オイルポンプ付近からオイルが漏れていないか、ウォーターポンプ付近から冷却水が漏れていないか確認しましょう。確認できたら終了。漏れていたら、再度最初からになるかもしれません。
まあ、部品が新しくなっているので、100〜200kmくらいは慣らしをした方が良いと思われます。。



やってみた感想
ざっと書いてみましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
やってみると、「そんなに難しくない」と思います。所要時間も確認しまくって、段取りが悪いところがあって、初めてやって約4時間半くらいです。交換後も調子よく走っております。
合わせも、カムが4本あるから面倒くさいような気もしますが、それより何より、ベルトが水平に広がっていて、ラジエターがなければ作業スペースもかなり広いので、下手なFF車や、他の車より随分楽かもしれません。あわせ自体も直ぐ終わってしまいます。
他の部分も、下から覗き込んで行うのは、ラジエターのホース、ファンコネクター外し、やり方によってはオイルポンプを外すとき、ウォーターポンプ周りくらいな物で、そんなに下から覗き込む必要もありません。実は、作業した駐車場は、下が砂利で、下から覗き込むのは結構嫌なんですが、それでも難なく終わりました。
ですから、要領よくやれば、2時間はオーバーにしても、3時間くらいで済むのではないでしょうか?
大体の作業がエンジンルーム上側から行え、やりようによっては特殊工具も殆ど必要ない、となれば、そんなに大変な作業でもないと思います。力も言うほどいりません。
ただ、ネックはやはり部品代。5万近くかかるのはやっぱり痛い。しかし、10万キロでのイベントなので、それくらいは我慢しましょう。
整備性はかなり高い車なんだな、とか改めて思いました。