short story8

一つ前に戻る

by,石礫


≪整然とした部屋≫

「ええ、明日、お会いする日を楽しみにしていますわ」
携帯で先坂栞は彼女の婚約者林有吾と話し、明日の会う事を確認をして、それを切った
都内のマンション、自分の部屋に帰ってくると「…」

不倫相手の梶口均が扉の前に待っていた。
「ひと…梶口さん、なんでここに……」
「合い鍵が無かったから、ここで待っていた。…お前との、手切れ金をを持ってきた…」

「栞…、俺達やりなおすって事は出来ないのか…あいつとなんて結婚なんてするなよ。」
「…悪いけど、無理ね。不倫なんて何時までもやってられないもの…。それに、梶口さんは、どうあっても奥さんと別れられない。
あなたは結局自分の地位を保つ事が大事……いいえ、お金が大事よね。でも、これ以上しつこくする様だったら、あなたが迫った…と、でも言うわ、
そうなると、彼、お父様に言ってあなたを首にさせるわよ!…だから、とっとと、手切れ金払ってよ。払ってくれさえすれば彼には何も言わないわ。」
「最後ぐらいだ、何か飲まないか…」
「じゃ、ビールで良いわ」
「冷蔵庫から持ってくるよ」
彼は冷笑を浮かべる。彼は彼女の後ろに回り…持っていたタオルで首をしめた
「……お前が悪いんだ。」


そして、その部屋の扉に鍵を閉める。



”ピンポーン”

何度も呼び鈴をおしても・・・林の婚約者、栞が出てこない。いくら電話しても、連絡がつかないので、直接来たのだが…
埒があかないので、合い鍵を使って栞の部屋にはいる事にする。

何時にも増して整然とした部屋だった…林は首をつった状況の栞を見つけてしまう


変死(病院以外で亡くなると、全て、変死扱いになります。)と言う事で、
鑑識が入って部屋を調べるそして、捜査の為に部屋に入った警視庁の捜査員達

やってきたのは、トレンチコートに、頭に帽子をかぶった目暮と言う警部達。

「亡くなったのは、先坂栞さん25歳。職業は会社員。第一発見者は、先坂さんの婚約者であり同僚の林有吾さんです。」
電源の入ったパソコンのスクリーンセーバーを解除して見るとメモ帳が開いており、そこに遺書らしい内容があった…

  ―私は、あなたの会社のお金を横領していました、責任を取ります。― と書いてあった。

死亡した栞は、経理の仕事をしていた。突然、林の携帯電話から、流行の歌の着メロが鳴る。
「はい、林です。あ、梶口さん?・・・・…あ、…あの、…………」死亡した栞の話をする林。

「林さん、今の電話の相手は?」
「あ、今のは部下の梶口で…。オレ、会社に連絡入れるのを忘れていまして…今のは、無断で休んでいるのを心配して…。」
 恋人の死などや裏切りなどのショックに憔悴しきっている様な林…。
「高木君、千葉君、林さんを、別室に…」と、目暮警部が指示を出す。千葉は、第一発見者二人を別室に連れていく…

「林さん昨日は婚約者に、会われましたか?」
「いいえ、昨日は携帯で話しただけです、あんな元気だったのに」


先坂栞の勤めていた会社に来た高木達に、梶口均は名刺を差し出す。

「梶口さん、亡くなられた先坂栞さんは、どんな方だったんでしょうか?」
「…あんな仕事が出来た娘が、…今も信じられません…。…まさか、栞君が自殺だなんて…ん、刑事さんが調べられるという事は自殺じゃないんですか?」
「いえいえ、自殺にしても…色々と、自殺である裏を取らないといけません物で……大変ですよ」

「…フン、ばれるわけが無い」窓から見えた、帰って行く高木達の姿に、にやりと笑う梶口



数日後、梶口の目の前に刑事達が来る
「梶口均さん、あなたに、先坂栞さん殺害容疑で逮捕状が出ています。」
「…なんで?」
逮捕状を見せられた。確かにそこにはそう書いてあった。

取調室で…調べられた
「愛人を殺したようですが…あなたの犯行は明白です」

「確かに、あの女はオレの愛人だった…あの女と俺の関係は人には見られていないはずだった…」
「彼女があなたと撮った画像データがCD-ROMに残ってました。だから、わかってしまったんです」


「…刑事さん…なんで、あれが殺人とわかったんですか?自殺にしか見えない筈だったのに…
自殺に見えるようにパソコンで遺書を書いたんだ……証拠が残らない様に背負って首をしめたんだ。部屋の指紋も全て消したんだ!!」

目暮と高木は…なんとも言いがたい表情を向け静かに言う
「梶口さん…あなたは、部屋を片付け過ぎたんですよ。」
「え?」


「彼女の指紋が、彼女の部屋に無いなんて…」



FIN

後書き:今回は高木君達を出さなくても、内容は成立したお話でした(滝汗)