TearDrop

この物語は石礫の長編小説「Summer days」の続編です
映画「瞳の中の暗殺者」や原作「帰らざる刑事」などのお話も絡めて見ました
一つ前に戻る

by,石礫


僕は泣く事を恐れた

奇跡を願うには子供(ガキ)過ぎたのかもしれない。
忘れたかったのに…忘れる事の出来ない出来事、オレの前から居なくなった姿をいつも探してしまうほどに…

「忘れられないなら、忘れるな。大切な思い出が存在していたのは真実だから…否定はするな。…大切な人が居たのを否定するのは悲しい事だ」
オレを諭す様に言ったあの人の言葉に気づかされた。
あいつ等が居た時間は、確かに存在していたんだ。忘れたら…オレの中にあいつ等の存在が無くなってしまう。忘れる必要なんて無いんだ。
…それからは、ずっと、奇跡を願っていた…いつか、幸福に包まれたあの二人に再び会える事を信じていた。

友との苦い再会によって願っていた奇跡は有り得ない奇跡だったと知った時…あんなに泣きたかったのに…結局、涙を流すの事はなかった

今でも泣く事を恐れていた。……嬉しさでは何度も泣けるとしても、悲しい事ではオレは泣く事をひどく恐れた




ある小料理屋…隠れ家の様に思えてしまうような
女将の料理が目の前に出される

高木と中年の男…中年の男も刑事だった。
話しをしてくうちに、幼なじみの事件の話になって…そして、ある事件の話になっていった

「もしかして、…あなたの妻子の事件の事、調べていませんか?非番の日をつぶして密かに捜査してるんじゃないか?…と聞きましたよ」
「そんな訳無いだろ…、それに、だとしたら、本庁の刑事が所轄の刑事にかかわる事ないだろ…」
「…でも…」高木は納得がいかない表情を浮かべた

「まあ、明日は非番だから、何もしないでゆっくりするって」
お金を置くと、その中年の男はその小料理屋から出ていった
「ちょっと……」
「オレのおごりだから、何か食ってけ、ワタル」
中年の刑事の名前を呼ぶが…その彼はただ微笑んで小料理屋から出ていった

「いつも、ああなんですから…」
「うん…でも……配属は変わったとは言えども…あの人の事、心配になんですよ…あの人がやりそうな事…良くわかるから……」


「…でも、あの人も、高木さんの事をいつも気にかけていましたよ。」
「それは、あの人がオレを学生の頃から知ってるからですよ。…せめて、女将さんと一緒になってくれたら…あの人も、もう少し…あの事件を冷静に見られるようになるかな」
「…私はそう言うつもりはないのよ…」
「女将さん…」
隣に居た刑事の残した物を見る…

厨房から出てきた小料理屋の女将が刑事の残した食器を下げようと手を伸ばすとグラスが床に落ちて砕けた

高木は…ふと、嫌な予感がした

オレを警察官になるきっかけになったあの人との再会は、オレが刑事になった日だった。
あの人は何かを背負ってしまっていて、苦しんでいた。…あの人は悲しみを背負ってしまったんだど、知ったのはずっと後…




都内で起こった刺殺事件…被害者は直ちに救急車で運ばれていったが、病院に運び込んだ時には手遅れとなっていた
その中年の男性は身分を証明する物を所持していなかった為。まだ身元不明である

中年の男が若い男に何かを詰問していた。中年の男が若い男に殴りかかろうとしたので、若い男は持っていた刃物で中年の男を刺した。そして若い男は逃走した
そう言う目撃証言だった
被疑者の特徴が伝えられ、身元を割り出せと被害者の顔写真を捜査員達は見る

身元不明の被害者の顔写真に高木の表情が強張った。
「え?高木君…この身元不明の被害者の事知ってるんですか?」
「………合同捜査で会った事があります。所轄の警察官じゃ無いですか…」

被害者は…警察官だったのだ…捜査員達に衝撃が走る


千葉と話す高木の表情を見てる白鳥と佐藤
高木の表情は何処かか硬い…何所かがいつもと違うのだ

「佐藤さんちょっと」
白鳥に佐藤は声をかけられる。
「さっきから、高木君の様子が変だと思わないですか?……彼らしくない…。何となくそう感じるんですが…」
「あ、それ、私も気になっていたの…。何となく、きつい表情してるわよね。」


「で、高木君は彼が収容された病院に行きなさい。…佐藤さんに一緒に行ってもらおう」
「な、なんでですか?」
「警察官と言われ思い出したんですが、たしか、君は前にあそこにいたはず…つまり、被害者は、君の元上司ですよね」
高木の表情は一瞬なくなる…が、ふと、ニヤリと笑う
「………だからって、捜査を外されるほどの付き合いじゃないですが?」
「…良いから、君は行くんだ!」
「白鳥警部…」
「すこし、落ちついてから捜査に戻れば良いじゃないか……」
「……はい。わかりました…。」

…オレはどうすれば良いのだろう…オレの涙は止まったままで居る…

病院に向う車内の佐藤と高木は押し黙ったままである



病院に着き、高木はその寒々とした部屋の扉を開けた。佐藤は扉の前で待っている
二度と、温まる事が無いはずなのに…それを思わせない眠った様な顔に、高木の表情は硬くなる。

佐藤が誰なのか尋ねるのも聞かずに、突然、霊安室に入ってくる男。そして、被害者の名を呼ぶ、
その声に、高木は聞き覚えがあった。
そこに入ってきたのは、高木の所轄時代の元同僚で所轄の刑事だった。
「久しぶりだな」
「高木!!来てたんだな。」
「ああ」

そこで眠っている彼の顔を見ながら…高木は静かに呟く
「…手帳、持っていなかったから身元の特定が遅れたんだ…それに現場が管轄とは違う所だったのも…特定が遅れた要因だったんだけど」
「この人は物だけはよく忘れたじゃん……」
「そうだったな…」

記憶の中の…この人は、よく笑っていた。
この人は…オレ達を、時には放任していたが、実際はいつも暖かく見守っていて…
オレ達のどうにもならないピンチの時は、必ず、助けてくれた…そんな人だった…とても大きな存在だった

元同僚が事件への憤りを語り「この人が、こんな簡単に死ぬなんて、信じられない」と泣く。
高木は一瞬辛そうな表情を見せるが
「今は、被疑者を確保するのが先決だ。オレ達は刑事なんだぞ。悲しんでる暇なんてねーんだ」
「お前ってさ、強いよな」
「・・・・・・」

…強くなんか…無いのに…


高木が霊安室から出て来ると、あの小料理屋の女将が駆け付けて来た。高木は、女将に挨拶を交わすと、
踵を返し
「佐藤さん!僕達は捜査に戻りましょう!!」と佐藤に声をかける
思わず、驚く佐藤。
「え、ええ?高木君もう戻るの?来たばかりじゃ…そ、それにっ、今回の捜査は外れたほうがいいじゃないの。」
「いいえ、大丈夫ですよ。」
そう言って優しく微笑む高木に佐藤は更に驚いた。平然としている。彼女には、そう見えた。
状況が状況なのに、一つも取り乱してもしていない高木に佐藤は関心する。でも、高木が、一つも悲しそうな顔をしないのも気にかかった

いつもの笑顔で、いつもと変わらない高木である事が不思議でたまらない…
「高木君は強いのね。…でも、知ってる人が亡くなったのよ!少しは悲しんでもイイじゃない…どうしてっ悲しい顔一つ、しないのよ!!?それとも、全然平気なの!!」
高木の背に向けて、あびせかけた佐藤の強い言葉

……オレが刑事を目指すきっかけを作った…オレが憧れ理想とした刑事……それがあの人だった。
オレは幼なじみが捲き込まれた事件の事を誰にも語りたくなかった…あの事件を決して忘れる事はなかったけど…言葉にはしたくなかった。
だから、幼なじみの事件とあの人……その関り合いは、オレとあの人とあの小料理屋の女将さん以外知らない
あの人はオレにとって…どんなに大切だった人か………この事件だけは……

高木は壁を拳で叩く、思わぬ行動に、驚く佐藤

「平気な訳ないじゃないですか…でも…僕達は刑事です。…今、僕等がやらなければならない事は、事件を捜査する事でしょ…違いますか?」
吐き出す様にやっと出した言葉は感情を押し殺したような声だった…背を向けた高木の表情は見えないけれど、
彼が今どんな表情をしているか、手にとる様に分かる気がし…佐藤は切なそうな表情を浮かべる
「……そうよね、私達は刑事ね。…ご、ごめん。私のほうが取り乱して……」
「いいえ…。良いんですよ」緊張していたような雰囲気がほぐれる
「早く被疑者を見つけましょう!!それが先決ね!」
「はい。」
高木のしっかりした返事、佐藤は高木の後姿を見つめる

…でも……あなたには刑事である前に…ただの高木ワタルで居て欲しいのよ……せめて私の前でだけでも…

「え?なんです?」ふと、高木は佐藤の方に振り向く、

彼の瞳は…苦しみを秘めていて。言葉をかけられる事を強く拒んでいた。今、二人の間に壁が存在している。佐藤は、一瞬、何も言葉が出なかった

「…あ……い、いいえ、何でもないわ」

理解の出来ない理由で人は人を殺すのだ…それが、人殺しの真実の様な気がする。しかし、人はそれが何であろうと理由と言う存在を信じてしまう…それが真実でもある気がする
…あの人が追っていた事件はどうだったのか…
その事件の事は人から伝え聞いた…7年前、あの人の妻子は殺害された……発見の遅れ、目撃者なし、などの不運が重なり、被疑者はまだ確保もされていない…
その被疑者を密かに彼は追っていた。その追跡は、優秀な刑事だったあの人が、前の警察署から今の所に移動された理由でもあった。




目撃された被疑者の行方を負う捜査員達。いろいろ駆けずり回るが、なかなか被疑者を見つけられない。
被害者となった警官が、何故、その被疑者となる男を詰問していたのか、なぜ殴りかかろうとしていたのか、と、いう捜査のほうも行き詰まっている
7年前の事件と関り合いがあると思われても…その男が…何所で関わるのかも全くわからなかった…

「佐藤さん!僕、飲み物買ってきますね!!えーと、コーヒーがいいですよね。」
元気に走っていく高木。


本当は、自分の心を痛めながら…そんな素振り、一つも見せてくれないんだね。私には甘えてくれても良いのに…
あなたの本心が見えないよ。あなたの苦しみを教えてよ…あなたの心が見えないのが一番辛い


佐藤の目に涙がにじむ

ダメ、泣いたらダメ…辛いのは高木君のほうなのに…私が泣いたら…ダメよ
…でも、辛いんだったら、私の前では強がらないでほしい、私には辛いって一言でも言ってくれたら…良いのに。…そう思うのは、単なるワガママかな?



自販機の前で、「さ、佐藤さんが好きなのはこれだったな…」と、一つを選んで、そのボタンを押す。

思い出はフラッシュバックする様にオレの心に畳み掛ける…。これは夢なんじゃないのか?今の現実が夢の出来事だと思えてしまう。
佐藤さんがいつも言う言葉みたいに、居られるだろうか…?
オレは……被疑者を前にしてオレはオレでいられるのか……オレを保つ事は、はたして、出来るのであろうか…決して、そうしないと言う保証は出来ない…
それは…たぶん恐れ…きっと、あの時の…警察官連続射殺事件の時の恐れに似ている。
でも、あの時と同じ事は繰り返したく無い!ここで、立ち止まっちゃいけないんだ。…だた、前を進む事しか、今は出来ない。きっと、オレがそうする事を、あの人は望むから…


突然、佐藤の携帯が鳴った。その音で、高木は、やっと自販機の取りだし口に、缶が落ちていたのに気が付く。
「ったく、何、やってるんだオレはっ!……今はボケてる場合じゃねーのに!」
飲み物を抱え、佐藤の元に駆け付けた高木も、携帯で話す佐藤の雰囲気に、それがどう言う内容なのかは察しがついた。

事件の被疑者が発見されたのである



取り囲む様に集まる警官達
警察の素早い対応で被疑者は追い詰められたらしく、思わず刃物を持って人質をとったのである。

まさにそこは緊張状態で膠着状態だった

現場に到着して、銃をとにかく構えながら高木は、被疑者の真横の位置に行く事が出来た。

刑事達が男を説得しているが…
「うるせぇ!銃を捨てろ、人質を殺されたくなかったら道をあけろ!!」と、男は叫んでいる。
しかし、警官達のほうは銃を捨てたり道は開ける選択はなかなかとれない。遅遅として進まない状況に男もじれてくる…
「だったら、てめーらの目の前で殺してやる!!」男は人質に刃物を突き立てようと刃物を振り上げた

高木はその時、何の躊躇も無く、被疑者に向けて…銃を撃った

「!?」

その弾丸は被疑者の持っていた刃物の刀身に当たり、被疑者の手より弾け飛んでいく
被疑者は突然の出来事に、何が起こったのか、把握が出来ていない

次の瞬間、構えていた警官は男を取り押さえた。人質を被疑者から引き離す


被疑者をパトカーに乗せると佐藤は高木の姿を探す

その高木は、白鳥に叱られていたのである
「当てる自信が合ったのかも知れませんが、一歩間違ったら、人質に当たり兼ねないんですよ!だいたい、君らしくないじゃないですかっ!!」
「申し訳ありませんでした!」
謝る高木に、白鳥はふと…微笑んだ。
「まあ、あれが人質を守る最善の策だったのかもしれませんが……じゃあ、高木君には始末書でも、書いてもらいましょうか?」
白鳥の言葉に高木は少し苦笑して、きりっとした表情になると
「はい!わかりました!!」と答え、白鳥に敬礼をした



被疑者の取調べが始まった頃、あの小料理屋の女将が尋ねてきた
「高木さん」
「あ、女将さん?なんですか?」
「これ、彼の残していた捜査の事を書いてあったノートなんです。……もしもの時に、あなたに渡してほしいと言われていたの…ずっと、奥にしまってあったから…探すのに手間取ってしまって…ごめんなさいね高木さん。」

高木はそのノートを開いて、中身に驚いた表情をした


取調室で高木は机の上に数十冊とあるノートを置いた、被疑者は目を見張る
「これは君が殺害した刑事の残したある事件の捜査を記録したノートです」

「一つの事件の事が丹念に調べられていました……その事件は、7年前の殺人。被害者は、ある一組の母と子。被疑者今だに不詳…捕まっていません」
彼が残した物は…何もかもが、この答えに辿りつく物だった
「……君が…7年前、被害者の妻子を殺害したんですね。」


そして、彼の残していた事件が解決した。



捜査課の広いフロアーに高木はたった一人…何時も誰か彼かが居る部屋なのに…今は閑散としている。
……他の刑事達は、自分を一人にさせてやろうと気を使ったんじゃないかと、高木は思えてくる。
彼は自分の席につき、残っていた始末書を書き出す。


ふと、彼が残した捜査資料の中にあった写真を取り出す。その写真には幸せそうな母子の姿が映っていた…
その笑顔は壊れて弾け飛んでしまった戻る事の無い時間に存在していた…とても、悲しい写真だった。高木は涙が零れ落ちそうになった。
でも、涙は、いくら泣きたいと思っても…どうしても零れ落ちてこない…、高木はそんな自分に苛立ち、憎々しげな顔をする

泣いてしまえば、少しは…この苦しさから逃れられるかもしれないのに
オレは…あの人の死を…本当は認めたく無い……だからなのか?
死んだ人は思い出の中でなら生きている…そう言えたオレが、それを認められないでいる。…言ってる事と矛盾してる気持ち

本当にわかっていたのか…佐藤さんのあの言葉を…オレは理解していなかったんじゃ無いのか…佐藤さんの苦しみをっ
…刑事だから…人の悲しみの為に、今、出来る事を…。それしか、無かった。オレは進むしか術がなく、振りかえる事が出来なかった。
佐藤さんのあの言葉に支えられながらも、心配してくれていた事にも気づきながらも……前に進まないと、オレがオレでいられなくなりそうで苦しかったから

机を叩く
「ク…クソっ………なんで、あの人が死ななきゃいけないんだ…………どうして……どうしてなんだよ!……なんでなんだよぉっ!!!」
…堪えていた感情から…漏れた言葉…

あの人を、なんで止めなかった!?あれが、あの人の最後の笑顔ってわかっていたのなら……止められていたのなら…
オレは何度、繰り返しているんだ…取り返しのつかない後悔を

あいつの事件だって…オレは…あの時、あいつに、彼女の気持ちを伝えておけば…、あいつを捕まえる事になんて…ならなかったんじゃないのか?

あの警察官連続射殺事件の時だって、目の前で起こった出来事に刑事のオレは動く事が出来なかった…小さな少年は真っ先に動いたのに
確かにあの時、結果的にはあの二人は助かった…でも、オレには、守れなかったと言う真実が圧し掛かる息苦しい現実。
あの時の、立ち止まってしまった自分と刑事なのに動けなかった自分に、佐藤さんを思う自分と、刑事の自分が、相反する言葉を浴びせ掛ける。

…オレの心にある後悔は…オレの心をいつも苛むのに、どうして繰り返す。その苦しさを自覚しているのにっ、



「高木君…」

突然、自分の名前を呼ぶ佐藤の声に驚く

高木の目の前には佐藤がいた…一瞬、見間違いかと思うが、彼女は確かにそこに居た。
「あ……。ど、…どうして佐藤さん…。………ま、…まだ、帰られてなかったんですか?」

「始末書、書いてるの?」
「あ、も、もう少しなんですよ」



「ずっと心配してたのよ…高木君、何となく、危なっかしい気がして…。…らしくない…そんな感じで」
「なんですか、被疑者を撃ち殺すとでも思ったんですか?佐藤さんじゃあるまいし」
「ま、失礼しちゃう」高木の言葉に膨れる佐藤
「佐藤さんが言ったんですよ…恐れや憎しみに囚われるなって…だから、僕がそんな事するわけ無いじゃないですか」
高木は佐藤に微笑んだ

佐藤は高木の表情を見ていた…
高木の表情が今は痛々しいほどに泣きそうな顔をしてるように思えた、意地でも泣かない…そう思い込んでいるように見えていた

「ねぇ…高木君。」
「はい?」
「…泣いても良いのよ。」


何かが零れ落ちる

「あれ…?」

彼の頬を伝わり流れ落ちる涙が、彼は一瞬理解できなかった
「あれ…なんで?」

「別に泣くの我慢しなくても良いんだから」

佐藤の言葉で堰を切ったように高木は泣いてしまっていた


あなたの優しさも、強さも、弱さも…全部…全部ひっくるめて高木君なのよ。…そんな、高木君だから、私は好きよ…


彼女は彼の事を「好き」なのだと再確認する。


高木はひとしきり泣いて、落ちついて…やっと佐藤に謝る余裕が出来た
「すみません…オレ、泣くなんて…刑事失格かなぁ」
苦笑いを浮かべる高木に佐藤はずっと優しく微笑んでいる
「でも…本当の高木君の姿を見れた気がするから…」
「え…」
佐藤は高木をそっと抱きしめた

「……あの時、あなたは私を支えてくれたから、今度は私の番。あなたが悲し時、苦しい時…私が半分苦しんであげる。…どんな時でも、私があなたの傍にいるから…、泣きたい時は、私の前で泣けば良いじゃない。…一人で泣いたらダメ!許さない。絶対、許さないんだから…」
佐藤の言葉に、高木は、再び涙が零れそうになった

「佐藤さん…。ありがとうございます。……佐藤さんがいたから、きっと、耐えられたんですよ。…………あなたが傍にいてくれて本当に良かった」
高木のそんな答えに佐藤は赤くなった。

FIN

後書き:「帰らざる刑事」の逆パターン…高木君の方が大切な人を…だったら、以外に取り乱さないで居て…その後、一人で泣くのかなァ?と思ったり、
色んな話を絡めてみてみました。案外…ずっと、色々ひきずっていたりして…とかねっ(^_^;)あの話で彼を泣かせていないので…泣かすのが今回のテーマでした
これで、使えるネタ全部使いきったような気分(^_^;)…本当は「あの人」に名前をつけてあげたかった(^_^)
学生の頃からの知っている設定だと服務規定とかに引っかかるんでしょうかねぇ?言って無いって事で避けれているのかな?(゚_゚>)…ま、良いか…(苦笑)

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