short story

一つ前に戻る

by.石礫


 今日も私は爽快におきた。
「昨日は、高木君と飲んだんだっけ。」
酔った後の記憶は無いけど、家に帰っているって事は、ちゃんと帰って来れたのね。

「おはよう、お母さん。」
 警察官だった父を亡くしてから、私は母と2人暮しだ。
「美和子!あんた、後で高木さんによく御礼を言っておきなさいよ。昨日、あんたをおぶって来てくれたんだからね。」
母の言っていることから、私は高木君に送ってもらったらしい。
「まったく、嫁入り前の娘が、はしたない。」
いつもの母の小言が始まった。…いいもん!私は仕事一筋なんだから。

 顔を洗い、いつもの様に母の用意した朝食を食べにリビングに行くと。
そこには、先客がいた。…ん、先客?それも、良く知っている…その人が振り向いた。

「さ、佐藤さん、お、おはようございます。あ!お邪魔してます。」
「なんで、家にいるの高木君。」
「佐藤さんのお母さんが……」
「夜も遅いから泊まってもらったのよ!本当、美和子が何時も迷惑かけてごめんなさいね、高木さん」
「そんな、迷惑なんて…」
「まったく、嫁入り前の娘が……ブツブツ……こうなったら、高木さん!」
「は・・・はい?」
「美和子の事もらってくれる。」

 まぁ、何てこと言う母親だろう。高木君の迷惑も考えてよね。
あらぁ、高木君てばっ、トマトの様に赤くなっちゃて…かわいいっ。
「母の言う事、本気にしないでね。」
「・・・・・・。」

 

 高木君は7時台の電車で帰っていた。なんだか、うなだれていた気もしたけど・・・気のせいねっ

終わる…