退屈な楽園 title11→list

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by,石礫

楽園と言う物は、大概に退屈な物だ
そして、それが楽園とは気が付かない



事件が起こらなくて、退屈を持て余す新一
しかし、蘭と居るとやはりと言うか警察から助けて欲しいと連絡が来る

彼を待つ事件、それは、彼にとっては魂の高揚…全ての事象に勝る好奇心に火を灯す
「待ってろよ、すぐ解決してやっから!」
そうやって、蘭という居場所から、飛び立って行く、鳥の様に…
でも、その鳥は必ず蘭と言う居場所に戻っていったのだ
「お帰り新一」


それが日常……

……日常だった


彼は、蘭と言う居場所に新一として戻れ無くなってしまっていた


どうして…あの時…黒い服の男を追ったりしたんだろう

それは、鈍い後悔…それでも、探偵の好奇心が招いた事
でも、探偵を止める事は…自分が死ぬと同じ事…


一緒に居られても…決して、触れ合えない

工藤新一が蘭と一緒の高校に通い、蘭と一緒に出かける事も、あの瞳を見つめる事も、まっててくれる事も…
退屈だったが満ち足りた日常すら…今のオレには無い


コナンは小さくなった自分の身体を抱える

「蘭……」

弱弱しく呟く声は闇に吸いこまれた


楽園を遠く離れて…
退屈だったあの場所が、始めて楽園だったと気が付く
そんな物だ

本当の楽園は大概に退屈な世界……


FIN


 浪漫人に30のお題の挑戦第1作目になります…今回のタイトルは「新蘭物」になりました