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一つ前に戻る

by.石礫


その日は朝からおかしかった

カカシは誰よりも早く集合場所についていたし
いつもなら、いかがわしい本を読みながら見守るだけしかしない任務を黙々手伝っている
そのお蔭か、まだ昼だと言うの任務は終わり
後は解散の挨拶のみだった

この状況に、サクラは「天変地異の前触れだわ」と叫び
「絶対、魂胆があるはずだ」とサスケは叫ぶ

「「「先生…?」」」
「ん?」
「今日はおかしくない?」

ふと、ナルトはなんとなくカカシのほんの少し晒されている額に触れてみた
ナルトは考えこんだような複雑な表情を見せる
「先生…熱ない?」
「…え?熱」
ナルトの言葉に驚いてカカシは自分で額を押えて見る

「……………そーいえば…あるみたい」と呟いた

「「「か、風邪引いてたんかい!」」」そんな状態なのに普通にしていたカカシに三人は呆れる

「だるいとかなかったんですか?」
「…そーだなァ」
カカシは考えこむ、そして、合点が行ったと言うカンジでぽんと手を叩く
「任務中だってのに、ナルトの事、今すぐにでも押し倒したいなァーってぐらいかな」

その問題発言に、素早く、三人はカカシから離れようと地を蹴ったが、その瞬間、ナルトだけがカカシに捕まってしまったので、彼だけが逃げる事もかなわず

恐怖で少々涙汲んだ瞳で見つめると、どうやら、カカシにはナルトの潤んだ瞳が誘っているように見えたらしく
「ナルト……そんな可愛い顔で誘われちゃったら、据え膳食わずは!って事で」がばっと素早く押し倒してる
「ぎゃーーー!やめてぇ、やだってばぁ!」

「「このヘンタイ教師やめんか!」」
サスケとサクラにダブルチョップでツッコミを入れられる


「えー、カカシ先生を、これ以上、暴走させるのは無謀なので、私達が付き添っていって、とっとと任務完了の報告しに行きましょう!」
場を仕切る智将春野サクラは七班に指示をする。サスケもナルトも意義もなく賛成する
「えー?何で、ついてくんの?報告なら、ナルトに付き添ってもらうから、おまえ等帰ってイイぞ」
「…アンタが、所で構わずナルトを押し倒すからだろ!」
サスケの言葉は、至極、もっともな意見だった


−−−

カカシが目を覚ますとナルトが彼の額に濡れタオルを乗せた所だった
「…あ、目が覚めた?」

「ナルトの部屋?」
「うん。みんなで報告しに行ったら、カカシ先生ってば、オレんち行くって、聞かなくてさ。仕方ないから連れて来たってば」

そこまでは記憶がない…とカカシは頭を抱えた

「か…看病してくれてたんだ…ごめんね」

「んな事よりもさ、カカシ先生!先生が寝てる間にお見舞い沢山もらったてば!!」
「はい?」ナルトの言葉にカカシは回りを見まわす。たしかに、色々な物が部屋においてあった

「先生って人気モノ〜」
にっこり笑うナルトにカカシは苦笑した
「(多分、それは違う……オレにナルトを一人占めさせない為とナルトへの点数稼ぎ)」

「そーだ!オレってばカカシ先生におかゆ作った!」
「おかゆ?」
「味は保証するってば!オレ、ちゃんと味見したし!持ってくるねー」

夢のようなシチュエーションである。
カカシは思わず、自分を思いっきりつねる何度やっても痛いのでやはり現実だった

お盆に載せられた小さな土鍋の中のおかゆは熱々。レンゲで鍋からおかゆを掬うとナルトは…
「熱いから、ふーしてあげるってば!」
「(え?これって、もしかして、食べさせてくれるの?)」
カカシは余り嬉しさに呆然としたまま
「はい。カカシ先生、あーん………ボーっとしてないで、口開けろってば!それとも食べたくなかった?」
「食べるっ!!」
カカシはあーんと口を開けるとナルトの手料理を本人に食べさててもらえるという幸せの味をかみ締める。
風邪のウイルスに、オレに風邪ひかせてくれてありがとー!!…と、感謝の言葉を叫びたいと思ったのだった

「オイシイ?」
「もちろん!!」

幸せってこんな事なんだな…とカカシはしみじみと思ったのであった
と言う事で、ここは甘えたおそうと決心し、カカシはナルトに甘えまくる事に

「もらってきた風邪薬なんだけど」
「飲まして〜」
「……分かったってば!口あけて!」
いきなり、カカシの口の中に錠剤をほうりこむと口移しで水を飲ましてくれると言う大サービス
「ん…(流石は意外性ナンバー1v)」

勿論と言うべきか、

そのまま、激しいキスに雪崩れ込んでしまうのは、仕方がない事だろうか…
気絶しそうになるほどの、熱く激しいキスに朦朧としつつナルトは自分が天井を見上げている事に気がついた

「え?えー?」

いつの間にかベットの上で…ナルトはカカシに組み敷かれている状態になっていた
「ちょっ!カカシ先生風邪ひいてんだろ」
「風邪薬飲んだから、治ったよ」
「ウソつけ!」
「オレが、いつナルトにウソついた?」
「今、ついてんだろ!!………ホントにま…」
「待ったは無し」
「カ、カカシ先生、風邪治ったら、ものすげーのシちゃってイイから!だから、今日はおとなしくしてろってば!!」
「…!?……い、今のホント?」
カカシは真面目な顔してナルトの顔を覗き込んだ
「へ?」
「だからぁ、治ったら、ものすげーのって」そう言いながら、何故か、かなりテレ気味である
「……おうっ、自分の言葉は曲げねぇ!!」
ナルトの言葉に満面の笑みを浮べ、ナルトを解放するとカカシは大人しくベットに潜りこんだ
「じゃ、おとなしく寝る事にしますか。そして、早く治さないとね!」
子供の様な大人をやっと宥められ、ナルトはホッと安堵する

「で、治ったら、ものすげーのシヨvv」
語尾にハートマークをつけながら風邪が完治した時の事を考えにや〜と笑うカカシに、猛烈な寒気を覚えるナルトであった


後日
カカシを「サイテーだってばよ!!」とシカトしまくるナルトと、平に平にナルトに謝りまくるカカシの姿が、里でしばらくの間、目撃されたと言う

FIN
後書き:なんか…変な展開になっていった話だった…それにしても、なにやったんだよカカシ!(笑)04.11.30