Untouched by his hands

※この話のナルトは、微妙な具合に少しだけスレてる?
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by.石礫


多様性なる分岐点の連続こそが歴史を作る
ほんの少しの分岐点の違いだけで、知られてる世界とは全く別の世界となる


『プロローグ編』

オレの名前はうずまきナルトという、10歳である。

オレを育てた三忍である綱手ちゃん(おばさんやばあちゃんと言うと怒る)から、
物心の付いたある日の事、綱手ちゃんからオレは九尾の人柱力という存在であること、
オレの生まれた里が九尾の妖狐に襲われ…父親(四代目火影)の手で九尾を封印されたが、
九尾を恐れた里の人間達に殺されかけた所を、自来也という三忍の一人が連れ出し、
綱手ちゃんに預けていったのだと教えられた。それが3歳の時である…

そうして、綱手ちゃんは、命を狙われる(可能性がある)非力なオレに身を守る為の忍術の基本を叩き込んだ。

基本はマスターし、綱手ちゃんは「お前は、そこらの忍には負けないぐらい強くなったよ」と言うが。
…でも、当時6歳だったオレは、まだまだ力が足りないと実感してしまい、
もし、これでオレ狙われたりすると…皆に迷惑をかける事になるなぁ…と思うと…

そんな所に尋ねてきた自来也に、オレは更なる強さを身につけたいと修行を頼み込んだ

当初、綱手ちゃんとシズネねぇちゃんは反対したが、オレの決意は変わらないとわかり、
綱手ちゃんから、縁起の悪い首飾りをお守り代わりに貰い
オレは旅に出た…そんな旅としてる内に…『自来也の付き人は腕の立つ子供』と言う噂がチラホラ出て来て…

コレはまずい…かなりの強さを身につけるまで、なるべく目立ちたくないのに…と思った10歳の日。

そして、自来也の提案である「ワシの傍をしばらく離れてみるかのぉ…いっそ、木ノ葉に身を寄せるか」


オレの命を最初に狙った木ノ葉の隠れ里か…

実は、里の長は…オレを殺そうとした里の忍達を始末し、自来也に里からオレを連れ出してくれと頼んだ人らしい…
…これ以上オレに危険が及ばない様…10年前に死んだって事にしてくれてるそうなのだが…


 ――――――

木ノ葉の里に付いたオレが、最初に思った印象は『環境は良さそうだが、住民は平和ボケ』


門番の忍者が、自来也の姿を見て驚いてたが、自来也もオレも気にせずに里の中へ、
そこを「自来也様?」と後ろのほうから声をかけてくる男が居た。
「よォ、カカシではないか?任務帰りか」
「ええ」
カカシと呼ばれた男はどうやら自来也の知り合いの様だ。

二人が話し込んでいるが、オレはそれを眺めつつ…黙ったまま佇んでると……
いきなり、オレの頭に、カカシという奴の手が伸びてきて、髪を撫でつつ聞いてくる。
「君、どこの子?…迷子かな?」
「はぁ?」どうやら、あまりにもボーとした感じに佇んでたので迷子かと思われた?
困ったもんだと顔を上げたら、カカシという男は、何故かオレを見た瞬間、ハッとした様な顔をしてた。

「迷子じゃないぞ!そいつはうずまきナルト。ワシの弟子だ」

「え?弟子?弟子って…もう取らないと思ってましたよ」
「それには色々と理由があってな。おおっ、すまん、三代目に用があるんでな。ナルト行くぞ!」



オレは呆然としたまま、自来也様に付いていく少年…うずまきナルトから目が離せなかった…


10年前の10月10日…任務を終えてオレが木ノ葉に戻った時、木ノ葉は壊滅状態だった…
そして、九尾の妖狐が里を襲撃した事、そして、師匠である四代目火影が犠牲になってしまっだと…

里が襲われた際、四代目火影が最後の手段として、自分の子供に九尾を封じようとしたが、
子供は九尾のチャクラに耐えられず…そして、名もつけられる事も無いまま死んでしまったのだと…

三代目はオレに話した。

「ありえない…そんなの嘘でしょ!先生に限って…失敗するような術を使う筈がない!!」
「守る為に隠してるなら、会わせてください!オレがあの子を守るから!オレは誰にも言いませんから!!」

オレはそう訴えたが…でも、三代目は悲しげに首を振るだけだった…

あれから、オビトへの後悔以上に、あの子への消えない後悔の塊がずっとあって…
ちゃんと、先生から彼女の名前を聞き出して置けば良かった、あの子につけられる筈だった名前を聞いておけば良かった…
そうすれば、…それを手がかりに探す事ができたんじゃないかと…今だって思ってる。
本当は、今も生きてるんじゃないかと…未だに諦めきれない思いは…10年たっても薄れる事は無かった…

だから、オレは、あの少年を見た瞬間にとても驚いてしまった…

彼の色彩が…あまりも、先生に生き写しだったから…


…うずまきナルト…あの子は本当に…本当に赤の他人?


報告書を持って火影室に向かったオレは、扉の前に居たナルト君を見かけ、声をかけた…

「ナルト君…だったよね」…この子の言葉の端から、何かを探り出せるだろうか?
「ああ、さっきの」

「オレは、はたけカカシと言って、自来也様の孫弟子に当たるんだけど」
「…と、言うと、…はたけさんは四代目火影様のお弟子さん?…ですか?」
「カカシでいいよ」
「では、…カカシさんと呼べば宜しいですか?」

ナルト君に自来也様の弟子になった経緯を聞くと、
自分は戦災孤児で…自来也様の荷物を盗もうとして捕まり(見た目と違って、意外とワイルド?)
そして、彼の強さを見て頼み込んで弟子にしてもらったのだという…が、
オレにはど−も、作り物の半生に聞こえていて…

「極めて個人的な質問だけど、ナルト君の年齢は?誕生日はいつ?」

「10歳、10月10日ですが」
 

え?…あの子と全く同じだなんて…

「君!生まれはどこっ!!もしかして木ノ葉じゃないの!?」



「………いや、オレの生まれは…

 (オイオイ、出身地まで聞いてきたよ!コイツ…もしかして、オレが人柱力か疑ってんのか?
 だから、自来也が作った、オレの設定はかなりベタだってんだ…
 ま…自来也は作家だから、そこんとこ抜かりないけど?そこそこ遠く治安が悪い地名設定してんだよ)

……という所ですが」

「そう…そうなんだ。ここからだいぶ離れてるね(…スラスラ答えてた…やっぱり違うのかな?)」



よしっ!カカシは信じたっぽい!上手くごまかせた!!

自来也は三代目に交渉し、オレを忍者学校に通わせると決めてきたそうだ。
忍者になる気は更々無いが…学校では、どんな術を教えてるのかちょっと楽しみだ…

自来也が「ワシが留守の間、ナルトの事を頼む。たまに様子見てくれ」とカカシに言ってた。
「…はい、わかりました。任せてください。」
「…………よ、よろしくおねがいします…カカシさん(自来也…勘弁してよ。コイツ疑ってんだぞ!)」


三代目が用意してくれた住まいに越し…初めての一人暮らし満喫しようと思ってワクワクしてたが…

えーと…確か…自来也は「たまに」…「たまに」って言ったよね…?


なんで、オレんちに入り浸ってんだカカシ上忍!!


「ナルトの手料理はいつも美味しいね〜」
「………どうも…アリガトウゴザイマス(…もう、頼むから来んな!)」

初めて来た時に作ってやったら、それ以来…
任務ある日以外、この人ほぼ毎日…通ってんデスケド〜オレんち来るより大人の付き合いのほーを重視しやがれ!

通いだした忍者学校は予想以上の低レベルでイライラするしよぉ!!

こっちとら、ストレスが溜まる一方だってーのっ!!!


カカシに任務入った時は修行だ!!と、ストレスをぶつけるような、高速な修行をしたが
イライラは解消されずに、思わず叫ぶオレ。
「……あんな基本以下で勉強できるか!…だいたい、あの妙な上忍どうにかしろーっ!!」

「妙な上忍で悪かったね」

………あのぉ…今、とても聞きたくない声を聞いた気がするんですけどねぇ。
恐る恐る、声が聞こえた方向を見た…
「うぉ!!………ハハハ(乾いた笑い)。カ、カカシさん何時から、いらしてたんですか?」

カカシ上忍が微笑んで、オレを眺めてやがりました!

「実は強いのに、オレの気配に気づかなかったんだ?…ま、オレも本気で気配消してたから、しょうがないよね」
「…………自慢デスカ…」
「任務早く終わったんでナルトんち行ったら、居なかったんで探しちゃったよ」
「……アンタさぁ…そんなにオレの料理食いてぇ訳?」
つい、敬語を忘れたが…もう敬う気も出ねぇ!という思いで、オレは頭を抱えた。

「へー。それが素なんだ?…オレ知っちゃったんだし、オレには素で接しても良いんじゃないの?」

カカシの思いがけない答えに、逆にオレのほーが面食らう「……いいの?」

「いいよ。…ストレス溜めてんなら、オレにぶちまけちゃったら?」

「だったら、遠慮なく言わせて貰うけどさ……カカシ、アンタって…」


とりあえず、カカシに対する不平不満をぶちまけてやったら、

「ひ、ひどいっ…そ、そこまで言う事ないじゃないっ!!」

あ。ちょっと涙ぐんでる…わかった!たぶん、コイツはヘタレだ!!
…人柱力って事さえバレなきゃ、別に気にする事ねぇか…ま、話し相手にはちょうど良いだろう。


続く?

後書き:礼儀正しい猫被ってるっていう微妙なスレ?…次回『下忍になりました編』に続く…のか?(゜_゜>)10.05.08