Time after time

一つ前に戻る
※ゲストキャラ:ナルトの母上→呼ばれ方や言葉使いはイメージであり捏造です

by.石礫


今日までを生きていた事に、明日からを生きていく事へ、感謝の言葉を
愛する我が子を遺し逝ってしまった人達の言葉と生き方を…そして、過ぎた日の約束を

オレは忘れはしない…


September,15

カカシにとっては師匠である四代目火影。その彼から渡される依頼書…
「カカシ君には、要人警護…をしてもらおうかな」その家に届け物があると荷物を渡され、依頼書にかかれた箇所へ行く

ある屋敷につき、ため息をつくカカシ。「公私混同…」

そして、鳴らすチャイム。「はいはい」と言う声と共に人の気配…その人がが扉をあける

「カカシ!いらっしゃい!!」 「…こ…こんにちは……クシナさん…」
赤い髪をした身重の女性が家に向かい入れた。


「これ、四代目から…お土産だそうです。」
「ありがとーね」カカシから大きな荷物を取り上げる彼女に、逆にカカシの方が慌てる
「ああ!もー!クシナさんは持たなくて良いですって!オレがやりますから!!」

「ねー。カカシってば、お昼、まだでしょ。」
「あ、はい。」
「うーん…じゃ、カカシは、てんぷらが良いかなぁ?」
思いっきり引きつるカカシ「……クシナさん…それ、知ってて言ってますよね?」
「あら?なんの事かしら?」とクシナはカカシから視線を逸らす

食事も済み、食器洗いしているカカシ(クシナがやろうとしたので、それを止め、彼が代わりにやっている)

「カカシって、もうすぐ誕生日だったでしょ!」とクシナが言い出してきた。
「そう言えばそうですね。…すっかり忘れてましたよ」
「…カカシは、誕生日プレゼントは何が欲しいの?言ってみてよ?」
食器を洗い終り、居間に戻ってくる
「プレゼント?……ああ。それで、先生はアナタを警護しろと…」
「そーらしいよね。ま、あの人には「それとなく聞いてみて」って、言われてたんだけどね」と、クシナは笑う

「先せー…いえ、四代目は、公私混同も甚だしいですね。……火影だってのに」
「そー言わないでって!これも、あの人なりの気配りなんだから…で、プレゼントは何が良いの?」
「…別に何も?…欲しい物があれば、自分で買えますから。」
「まったくもー。夢ない事言わないのっ!自分が買うのとは違う喜びがあるでしょ」

「だいたいねー。誕生日ってものは…昨日まで生きれた事と明日も生きられる事に感謝する日じゃないの?」
「そんなのはじめて聞きましたよ」

「……そーだ!おなか、ちょっと触ってみない?」
「はいぃ?」

さっきまで、プレゼントの事でおし問答してたクシナの突然の言葉にカカシは戸惑いを見せる
「でも、オレの手は…」
「そんな事ない!あなたの手は…守りたい人を抱きしめる為にあるの。…だから、そんな手に祟りも障りも無いのよ」


 ああ。そうか…この人の言葉を聞かせる為に…先生は……


おなかに触れてみて…この中にもう一つの命があることが、カカシにとっては、とても暖かく感じたのだ
「ちょっと、早いけど…誕生日おめでとうカカシ。生まれて来てくれてありがとうね。」
「え?」
「きっと、あなたのご両親もそう思ってたと思うよ。あなたは、みんなにちゃんと愛されてるんだから…甘えられる時は甘えときなさいって!」


「………ごめんなさい。……オレ…やっぱり、何も要りませんから」
「あのねぇ」
「…だけど、そ、その代わりって言っては、なんですが…オレの望みを一つ聞いてくれませんか?」
「望み?」

「オレ、この子の一番最初の友達になりたいんです。…それが、今、オレが一番、望むものです…ダ、ダメですか?」
「ダメなんかじゃないわよ!それ凄く良いと思う!…この子も喜んでる…。」

「じゃあ、カカシも、私に一つ約束してくれないかなぁ?」
「何を約束するんですか?」

「私の様に「生まれて来てくれてありがとう」って……この子に言ってあげてねカカシ」

クシナの微笑みと裏腹などこか不吉な言葉が、小さな棘の様にチクリと刺さった気がした


October,10

「準備段階から抹香臭くて…やんなちゃうね。」
ある家の屋根の上に暗部の青年は座っていた…

慰霊祭前日は、別に外出を禁じられてはいないが、何時の間にか出来あがった習慣で夜間を出歩いている人はあまりなく
……里を歩く人影は、殆どまばらだった。

「あらら……暇な人達だこと」

殺気を漲らせ…ある箇所の結界を探そうとしている、数名の人間
「九尾の家に張ってあるのは認識を妨害する類の結界の筈だ。存在してない訳じゃない」


「こんばんは。集団で何をお探しですか?」


突然、かけられた声に、その場の者達は固まっている「!?」

「すみませんが?こんな夜に…集団で何かを探しながらウロチョロされてるって事は
  アナタ達はこれから犯罪行為を行おうとしている?そう取ってもらっても構わないって事…なんですよね?」

現れた暗部の青年に、しどろもどろに、言い訳をしはじめた者達。
夜空を見上げていた狐の面をつけた暗部の青年は、焦れた様に声を荒げた
「あー、もー!時間の無駄!」

その瞬間、暗部の青年は、紅い色をした左眼を見せた


 その白刃に切り刻まれ、その身から噴き出す血飛沫に、迫り来る死の恐怖に、彼等は絶叫した


「…知ってる?幻術でも人は殺せるんだよ。…ま、そこまでやる暇も、細切れにする暇もないんで、今回は見逃すだけだよ」

写輪眼のカカシの前に、倒れてる者達は、ただ呻き声を漏らして居るだけだった

「あ。ゴミ回収してくれない?」
「御意。」
カカシの声に応えるように暗部が数名現れた。彼等は倒れていた者達を抱え去っていった


そして、静寂に…

「ヤ、ヤバイ!時間無いでしょ!」
急ぐ様に、上に飛び上がり、屋根の上を上がって行く
ナルトのベットが見える窓辺の横に到着し、星の位置を見て、それから、正確な時刻確認の為にカカシは時計を取り出した…

時計の針は11時58分20秒を過ぎた所を指していた。

「後1分32秒!アブなー…もー少しで、今年の分に間に合わないトコだった〜」


例え、この言葉はあの子に届いてないとしても…
その日になると同時に、あの人と交わした約束の言葉をオレは呟く

オレは決して、忘れはしない、心の中に生き続けるあの人達の思いを、過ぎた日の約束を…


FIN
後書き:母上はナルトの様な性格らしいが……だと、こんな感じかなぁ?※これは個人的なイメージに、すぎません。
カカナル的な思考で行くと…カカシはクシナさんの事が好きだったんではないかと…(※恋愛感情じゃないにしても)
15年前と彼の望みと、10月の彼の望みは変わってると思われるが…有言不実行の男なので、注釈なくてもOKだろう(笑)07.09.12
ちょっと、10月に文ミス…3を2に修正。クシナが住んでる所…今のナルトの家ってのもありなんだけど…屋敷イメージで(^^;)