フード・フォー・ソート

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ちっこいナルト(ちまナル)出てきます

04/6/11 by,石礫


食べ物は重要なんだよ。例え、嫌いな物でも、必要なら、野菜も食べれるよーにしないとね。
あ、それで、てんぷらだけは止めてねv嫌いだから!え?言ってる事がバラバラ?やだなー。気のせーでしょ?


『野菜』

3歳〜4歳ぐらいの幼い金髪の子供は生野菜をバリバリ食べていた
「野菜好きなの?」
「んーん。でも、かぁしがくれたからたべるぅ」
子供の言葉にとても優しく微笑むカカシ少年。すぐ、申し訳なさそうで哀しいような表情になる

「兄ちゃんとは、しばらく会えないんだよ」

「なんで?」
幼くて、その意味が理解できない子供
「任務がねー。あるんだ」
彼の言葉に、子供は酷く、傷ついたような…泣きそうな顔をしている
『あ…泣きそう…マズイっどーしよー』と顔に出さず、内心焦ってしまうカカシ
「うん、わぁーた!にんじゃはニンムのほーがダイジだもんね!!」
所が、子供は泣かなかった。カカシは、どこかで、泣いて縋って欲しいと思っていたので肩透かしを食らってしまった

『…い、意外性…ナンバーワン……オ、オレの存在ってこんなモンなの』
ヘコんでしまうカカシ

「またあえるまでやさいたべないってばよ!」
意外な宣言だった
「………や、野菜断ち?…あのなー。野菜食べないと大きくなれないよ」
「いいもん!ちっちゃいまんまのほーがわかるもん」
頬を膨らませて、小さな我が侭。あまりにも微笑ましくてカカシは笑ってしまう

「そんな事ないんだけどねー…だいたい、ナルトがオレ見つけてよ」
「いや!かぁしがみつけてくんなきゃいや」

「はいはい…じゃー、見つけたら、野菜、無茶苦茶食わせるからね!覚悟しといてねー」
「じゃーやくそくー」
「うん、約束」
小さな手との指切りの約束


野菜がたっぷり入った籠を抱えているカカシは、ナルトの家の窓枠の所にいた
「んー――…ナルト。お前、ラーメンとおしるこばっかじゃ、マジ死ぬぞv忍者たるものもっと野菜を食せ」
「えーオレってば!野菜好きくねーもの!」

「…でも、なんで。野菜が嫌いなの?」
「何で…って………なんで?」
「………覚えてないの?」
「へ?」

「じゃー。野菜、無茶苦茶食わせるからね!覚悟しといてねー」

「あれ?」ナルトは、カカシの言葉に不思議なデジャ・ヴュを感じていた。


 −−−


食べ物は重要だってばよ。今日もラーメン食べれると思うから、任務も修行もバリバリするぞーと思えるんだってーの!
え。野菜も取れ?なら、大じょーぶ!ラーメンに野菜乗ってるから、じゅーぶん取れてるって!!


『ラーメン』

イルカ先生を見掛けたナルト
「イルカ先生ラーメン食べねー?」
「ナルト、任務終わったのか?あー先生、給料前だから」
「えー…わーったよ。オレってば、ラーメン代、稼いでるし、今日はワリカン!」

「それでも、行く気なんだ…」

解散直後で、7班のメンバーが居た。みんなもラーメン食べる?とナルトが誘って見ると、
サスケはオレはいらないと去って行き、サクラも、じゃ、私も帰るとサスケを追って行く

「じゃー、カカシ先生は?」
「んー、じゃ、たまに付き合いますか…」
担当上忍の色好い返事が返ってきて「やったー」とはしゃぐナルト
報告書を提出は忘れずにして、そして、ナルトと、イルカとカカシが一楽に向う

イルカとカカシの後ろをナルトがテクテクついて行く
ナルトは、ふと、ラーメンを初めて食べた日を思い出す


忍者学校に入ったばっかりの…当時、9歳か、10歳ぐらいだったとナルトは記憶している
綺麗な額当てをした三人組の子供達と道ですれ違う。ナルトに気が付いた子供達はとてもいやそうな顔をした。
ナルトの方はいつもの事だと大して気にも止めず、無表情で、子供たちを一瞥し、そこを立ち去ろうとした。
所が、その態度に頭に来たのか、そいつ等はクナイや手裏剣を、ナルトの背中に向けいきなり投げつけてきた。
それでも、ナルトがその投げつけられた忍具に当たらなかったのは、幸いだったが
「てめぇは、ビクビクと逃げ惑う方がお似合いなんだよ!」と、投げかけられる暴言。
自分に九尾の狐が封印されている事を知らなかった当時のナルトにとっては、謂れのない迫害。

強い怒りを感じ。いっそ、こいつ等を傷つけて、理由があって憎まれてしまえば、楽なんじゃないかと思った。
そして、下に落ちていたクナイを見つけ、それを手にもつと、それを…
次の瞬間。目の前には、黒い服の男がいた。その男は顔に狐面を付けていた…それが、初めて見た暗部だった
その男の手はナルトの持っていたクナイの刃の部分を握っていた。ナルトは凍えた様に動けなくなった…

「貴様等、忍具をなんだと思っているんだ!!」
「忍者学校からやりなおすか?」
忍具を投げつけた子供たちは、狐面以外の、暗部に囲まれ叱られていた

ナルトが持っていたクナイの刃を握っていた狐面の男の手から血が滴りぽたりと落ちる
「あ…」
傷つけた…それに気がついて、強張ってクナイを離す事の出来なかった手がやっと離せた。

「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさいってばよ!」
狐面に謝るとナルトは、とにかく、その場に居たく無くて逃げ出す様に走り抜けた。
走り抜けるナルトに、一瞬手を伸ばし、躊躇った狐面はナルトの走り去った方向を無言で見てる


傷一つない額当てをしていた子供たちも、暗部の登場に怖くなって、すでにそこを逃げ出していた。

暗部の者達は逃げ出した三人組みの子供たちの方に呆れて居る
「なんだありゃ?謝りもしねーで、あれで下忍か?」
「つーか、あれは下忍認定前だろ?」
「例の子供のほうが、よっぽど、ちゃんとしてるよね」


「じゃっ!オレ、直帰させてもらうねー。副隊長、報告ヨロシクゥ!」
狐面の男は突然、直帰の旨を伝えると、仲間に後を任せ、明るく去っていった

「あ、あのヤローッ!!に、逃げやがったな!!」
副隊長と呼ばれた男は、去っていった狐面に悪態を付く、実は狐面の男、この暗部小隊の部隊長だったのだ。
そして、副隊長はがっくりと肩を落した。そして、残った仲間達に、諦めろとばかりに肩に手を置かれていた。


「あんな事したってなんにもならないってーのに」
ナルトは、大きな木の影に隠れ、負けそうになった自分に悔しくて泣いていた
「なーんだ、ちゃんとわかってるんだー」
突然、声をかけられナルトの体はビクッと跳ねた。涙を乱暴に拭う
声の主に振り向くと、さっきの狐面の暗部がしゃがみ込んでいて、ナルトと目線が同じ位置になっていた。
ナルトがビックリした顔をしてると、何故か、面をしているのに彼がにっこりと微笑んだ気がする。

「…な…なんだよ、さっき謝ったってばよ!まだ、なんか用?」戸惑いつつ、そう、冷たく言うと。

「オレさー、今、モーレツにハラへってんのね」
「だから?」
狐面の暗部の男の言葉はいきなり過ぎてナルトには訳がわからない

「一人じゃ、入り辛いから付き合ってv」
「…はい?」
有無も言わせず、狐面に連れていかれるナルト。
「ちょっと、すげーメーワクだってば」
「いーから、いーから」

そして、狐面の暗部と、ナルトは一楽ののれんをくぐる

「ラーメンと子供用のラーメン。一つづつね」

ラーメンと言う食べ物が目の前に、周りの食べ方を見ながら、ナルトは見様見真似で初めてのラーメンを啜る

「す、すげー!こんなうまいもん、この世にあったってば!!暗部のおじさん!ラーメンってうまいね!!」

なせか狐面はナルトを睨みつける「な、なに?」

「オレは、お兄さん!おじさんじゃないのっ!!」
「えー、そーなの…あ、おじさん、ラーメン冷めるってば!!」
「だから、お兄さん!!…まだ、23なのに〜」とカウンター上に指で、のの字を書いてあきらかにヘコんでいる
「あのぉ?大じょーぶだってば?」ナルトが心配そうに尋ねると、
「うんv大じょーぶ!」なぜか、すぐに立ち直り、自分のラーメン食べるためその狐面を外そうとする

『でも、このおじさん…いったいどんな顔してるんだろ?』(9〜10歳の子供には、23歳でも充分年寄りに分類される)

「ボウズ、延びるぞ!」と一楽の店主テウチに声をかけられる
これはイケナイと思って、ナルトは一生懸命、麺を啜る。ふと、狐面のほうを見ると
狐面を再び付けてた姿だった。既に、彼のどんぶりには、スープ一滴残ってなかった
「早、もう食べ終わったってばよ?」

「あのさ、あのさ、…どうしてラーメン?」
「………も…………ったからね…」ナルトには聞こえない程の小さな呟き
「え?」
「何でもないよ。」
と言うと、ナルトの頭をポンポンと触り。彼は「じゃ」と、瞬身の術で目の前から居なくなった

「ホント、変な人……それに、すごい猫背だってば…」
自分を認めて居ると言うより、訳もわからず、かまってくれた人だった

その人にまた会いたいと思って、やりくりしたお金で大好きになったラーメンを食べに行っていた。
イルカにも、奢ってもらう様にもなった。


今にして思えば、その人は自分の初恋の人なのかもしれない…とナルトは思う

「…ぷっ」ナルトは思わず噴き出す。あの時とそっくりな猫背の後姿が目の前にある

「どうしたナルト?」とイルカは訝りながら尋ねる
「んーん。ただの、思い出し笑いっ」
「なーに…オレの事?」ナルトを訝しがる担当上忍。思い出し笑いが自分に対してだとは気が付いたようだった

「だから、なんでもないってばよ!」



「ナルトってさーラーメン、ホント好きだね」一楽でラーメンを啜っていると、ナルトの隣に座っていたカカシが尋ねる
「…なんとなく」
尋ねられたナルトはそっけなく答える
カカシの逆側に座っていたイルカは、少しだけナルトのラーメン好きの理由を知っていたので、
「あれ?ある人と食べたのが忘れられないからって言ってなかったか?」そのそっけなさに不可解な顔
「うわっ、イルカ先生!余計な事言わないでってばっ!!」
思わず慌てるナルト。

「ある人?」

「カ、カカシ先生にはカンケーない事っ」


一楽の帰りの分かれ道。
ナルトは、二人とここで別れ別れなんだと寂しく思う、そんな弱気な心を奮い立たせようとしたら
「あ、オレもこっちなので。じゃ、イルカセンセー、お疲れ様デス」と、カカシはにっこり
同じ方向。だと、まだ、一人じゃない寂しく無いんだと思うとナルトはすごい嬉しそうな顔をしてカカシを見上げる

「じゃな、ナルト。カカシさん失礼します。」
「バイバイ、イルカ先生!あ、カカシ先生待ってってばよ!」
何故か、さっさとカカシは先に行ってしまったので、急いで、カカシを追いかけるナルトの後姿を見つつ
「あれ?カカシさんの家って、そっち方向だったか?」と、イルカは首を傾げた。



ナルトとカカシは二人きりで夜道を歩く。

『ゴメンってば…イルカ先生、ダシに使ったみたいでー。』とナルトは心の中でイルカに平謝りしているが、
カカシと一緒に歩けるだけで嬉しいと思う。
でも、同じ班なので、任務の話をする意味もなく、結局、何を話して良いのか分からず、考えれば考えるほど、話しかけられなくなる

「…ある人と食べたのが忘れられないねー。」
突然、一楽で出た話題が蒸し返される。

「それって…どんな人?」
「ナイショ!カカシ先生には教えないっ」

「なんか妬けるね」
「自分に妬いてどーすんのって」
ぐいッとナルトの方を向くとその顔をじーっと見るカカシ
「へ!?」
ナルトは、自分の不用意な発言をした事に気が付いたが、
「ふーん」とそれに気が付いてないのか、カカシはそっけない口ぶり。…でも、相変わらず、ナルトをじーっと見てる

「な、なんだってば?」
さっきの言葉を聞いてたんじゃないかとビクビクしながらも、ナルトはその素振りを見せない様にしていた
…実際は表情も動きもギクシャクしていたが

「何でもないよ。」
カカシはナルトの頭をポンポンと触りながら、そう言うといつもの眠そうな顔をした。それに、ホッと胸をなでおろすナルト

「でも、ホント、あの時のラーメンうまかったよね」
「うん。うん。あんなうまいモンがこの世にあったのかーって思ったってばよ…んっ」

「「んー?」」
首を傾げるナルト。カカシも同じように首を傾げる

「今度は、ちゃんと二人だけで行こうね…サスケとサクラやイルカ先生はダシにしないで」
「えーっ」
「だって、先生一人じゃ入り辛いなー」
「…うん。わかったってば、今度、カカシ先生と行く時は二人だけっ」

ナルトの返事を取りつけて、カカシは満面の笑みでにっこりとするのだった


「ついでに、後はナルトんちに泊めてくれたら…もっと、いーのになぁ…で、………な事とか、……って事とか、させてくんないかな…」
と、ナルトに聞こえない様に呟いて、溜息一つ。


FIN

後書き:カカシ×ちまナルってジャンル…?野菜嫌いの理由をナルトは覚えてないってオチとか…
ラーメンでは、忘れられない人だとバレてるって?そのシーンは名前を全く出してませんが……たぶん、彼だと分かる感じに…
ただ、共通して、カカシはやっぱしヘタレ傾向になった(笑)まー、締める所は締める男…ってか?煤i締めてねーっ!゚□゚)