黄金の髪をした君の姿を心に思い描く

懐かしい思い出に痛みを覚える事もあるけれど…それは再びはじめる為に必要な痛み


ここは、偽物のガラクタだらけが溢れた世界だけれど
この世界の片隅に、君と言う一粒の黄金は確かにあるのだ


All that glitters in not gold 2−Presious gold―


一つ前に戻る

by.石礫


下忍担当者が、下忍候補生に会うのは、説明会後にある面接がはじめてとなっている
候補生の能力については、事前に渡されてる資料で、既に担当者は把握しているのはあるのだが

面接は、担当する三人の性格とその人となりという部分を見極めると言う意味合いで行われてる

額あてを与えられてから説明会の間までに下忍候補生の配属先は決まってるなんて知らない人が多い
その配属理由に、候補生を力で捻じ伏せ納得させる為に行われるのが、下忍認定試験

言葉に嘘は無いが、落ちると忍者学校に逆戻りと言う情報に三人は様様な反応を見せていた


「じゃ、本日は解散。 明日は大事な…下忍認定試験なんだから遅刻すんなよ。」
『アンタが言うな!!今日、アンタが遅刻したクセに!!』と三人は心の中でカカシの言葉にツッコミを入れていた

「サスケ君一緒に帰りましょ!」
「断る。」
サクラはそそくさとサスケの後を追った…その姿に小さなため息をついて…ナルトも
帰ろうとしていたが…カカシの元に戻ってきて、真っ赤な顔でカカシに話しかけてくる
「…あ、あのっ!カカシ先生。」
「え?」
真っ赤な顔して、モジモジしてるナルトが可愛くて『告白とか…いやいや、それは無いよな』とか、思いつつカカシは妙に焦る

「な、な、なに?なにかな?」

ナルトは、意を決した様に先ほど渡されたプリントを差し出して
「カカシ先生!こ、ここ、なんて読むんだってばよ?!」
ナルトの言葉に、カクッとするカカシだった

「ハハハ……で、どこかなぁ…?」
「…んと…」
プリントに視線を落してるナルトの姿…襟から見える鎖骨がカカシの目に止まる


…おいしそう

自分がナルトを抱いてるような幻想を抱く…ナルトが快楽に潤んだ青い瞳で自分だけを求める声で囁く。

『…カカシセンセぇ…

 ……先生?カカシ先生、話聞いてんの?」
現実に引き戻された
「え?あ?いや…こんな字も読めないのかって、しばし呆然と…」
「あんだって?」

「えーと、どこだっけ?」
「…だからね……なお、この…に落ちた者は忍者学校で…の後」

「「この試験に落ちた者は忍者学校での特殊技術学科を習得後、下忍候補生として後方支援部隊へと配属される」ね」
「後方しえん部隊?」
「つまり、忍者学校で勉強しなおし、下忍の見習いとして忍者を裏で助ける地味ーな部隊に行くって話」
「ふーん。って、下忍以下ーっ!!」
「うん。ま、そう言う事になるなぁ。それにしても、こんな字ぐらい読めなきゃ…」
「っんなの、いいだろ別にっ!」
ぷいっとそっぽ向くナルト

「…でもさー……地味ーな部隊…って…どんなんだってばよ」
ナルトの疑問にカカシはその部隊例を挙げはじめる
「暗号製作と解読・術の分析、技術開発研究・忍具作りと仕入れ・動物の世話・医療班の下働きに…」

「・・・・・・・・・・」ナルトは少し固まっていた
「だから…せいぜい落ちない様にガンバンな。」
そう言ってから見せたカカシの微笑みに、ナルトはしばし見蕩れた

「あー。お前にゃ無理かな〜?」
追加したイヤミな言葉にカチンと来て
「絶対受かるってばよ!!」と、叫ぶと、ナルトはプリプリと怒りながらテラスを後にした


「あーあ。怒らせちゃったなぁ」
テラスの所で帰って行く姿を見ながら…カカシは、落ちこんだ…フリ

「言っとくけど、お前が輝ける場所は正規部隊にしか無いんだよ…ナルト」そう、呟いて楽しげに笑うのだった


火影室。三代目は、担当者達が提出した面接結果の報告書を読んでいた
そこに扉を叩くノック音

「遅かったなカカシ。で…結果は?」カカシの言葉を聞く前に尋ねる三代目
「ここに」と火影の机の上に書類を置き、三代目のほうに押し出す様に滑らせる

「ご苦労。では、下がって良いぞ」
「はい、失礼します」

火影室から出てきたカカシの姿を見て、ヒソヒソ話が聞こえてきた
合格者を出した事ないカカシが担当なら、あれを合格にする訳がないとか…そんな声が聞こえてる


バカバカしい…それは、今までの話でしょ?
ナルトは試験なんかじゃ落ちないよ。…ま、別の意味では落すつもりだけどねv



ナルトの住んでいる建物は、彼に対する悪意を持つ者には建物を認識し難くなる結界が張ってあった
その結界を抜けナルトの部屋をのぞいてみると…カカシは頭を抱えた
「……ビ、ビミョー」
自分を模してるらしい人形を殴る蹴るのナルトを観て凄い凹むカカシ


「修行終了!」
ナルトは人形を抱え寝転がる…人形のモデルになったカカシの顔を思い出してみる
「カカシ先生…って」

目の前じゃ、嫌いだって言ってんのに、嫌いじゃないって眼で言ってて
冷たい言葉言ってんのに、本当は全然突き放してなくて
オレの事…周りの大人の様な冷たい眼でなんて…一度も見てなかった
…変なの…オレと化け狐の事…知らないって訳でも無さそうなのに?

「…ホント…だいぶ…変わってる……それに…なんか…………」

昔、自分にラーメンをはじめて奢ってくれた暗部の人とカカシが重なった
おじさんと呼ぶと…自分はお兄さんだと、必ず訂正していた暗部の……人…に


すうすうと寝息を立て出したナルト。
窓のすーっと開き、するりとカカシがナルトの住まいに上がりこむ

「…ったく、上ぐらいかけて寝なさいよね。そんな無防備に寝ちゃってたら…襲われちゃっても知らないよ…オレに」


翌日

太陽の光にナルトは気持ちよく目が覚めた
「あれ?上かけったけ…?」


「…んー。朝なに食うかな…あーそっか!!今日は朝メシ食べちゃダメだったんだってばよ」

演習の為の荷物を持ち集合場所に集まった三人は、
ちゃんとカカシの言い付け通り、真面目に朝ご飯を抜いてきていた…が…カカシは何時になっても現れず

「…もー!!カカシ先生ってば、全然来ないってばよ」
「どう言う事だ?」
「カカシ先生、本当にすごい遅いわよ!ま、まさか…」

あの上忍、また遅刻する気かよ!!そう思いはじめるとそれしか考えられないと三人は青くなっていった


その頃。
三代目の机の上には面接結果のかかれた書類がまとめて置かれてる
「随分と遅かったなカカシ」
ナルト達が演習所で待ってる筈の担当上忍が火影室に姿をあらわす
「いや〜すみません。話聞くのが怖くってぇ〜」
三代目はあきれた様な顔をした

呆れつつ三代目は合格予定者リストを見せる
そこには、『七班・八班・十班』の班員達の名前と担当上忍の名前が書かれていて、合格と言う判も押してある
それを見て、カカシの表情は真面目になり、頭を下げる

「仰せのままに」

カカシが去った後、三代目は、合格の判がついた書類を小さな火遁で燃やし証拠隠滅した


家に帰ったカカシ。鼻歌混じりで用意してなかった荷物をバックパックに入れ始めたのだった
「さーてと、ぼちぼち…行く準備しなきゃね♪」
ノンビリとやって、数時間後、カカシがナルト達のいる待ち合わせ場所に到着すると、思いっきり文句が飛んで来た

最初に、三人を一端、引き離し単独行動をさせる様に仕向け、
次に集めた際にヒントと言う網を仕掛ける
うちはサスケさえ、網にかかれば、後は勝手にチームワークを作り上げる…とカカシは考えた
そうして、カカシの言葉に突っかかってくるサスケに「かかった!」と、密かに笑うカカシ。

チームワークの必要性と言うヒント。そして、「逆らう」と言う正しい答えに三人は辿りついた

「ごーかっくv」

ナルトを置いて去っていった三人。
「あ、戻ってきた」
カカシだけが戻ってきた
「あれ?まだ丸太に縛られてんの?試験終ったんだからもう抜けて良いんだよ?」
「え?……」ナルトの目が泳ぎだした
「…もしかして…縄抜けが出来ない?」
カカシの問いにナルトは誤魔化し笑いを浮べた。それを見てカカシは思わず項垂れる
「お前なぁ〜それが出来ないなら、忍具使うとかさ…最悪、力でぶち切るとかあんでしょ」
「あ」
「ま、今回は解いてやるから…待ってな」
クナイで縄を切ってもらい丸太から介抱されナルトは安堵する

「はい、合格おめでとーさん」とポフッと頭の上に置くと、そのまま撫でるカカシの手

あれ?…卒業試験を受かったって言いに行った時…じいちゃんの所で…こんな…感じ?

ナルトは、自分を撫でるカカシの手に既視感を感じ…ポーとしてる
じっと見つめあう二人。ナルトに脳裏を過る記憶…記憶の中にいる狐の面をつけた暗部の人と重なる瞳


カカシ…センセ…やっぱ、先生が……?


ゆっくりと自分に近づくカカシの顔…自然と目を閉じていくナルト …まるで、引力か磁力があるように引き寄せられて行く唇


バサバサと言う音にビクリとして、思わす離れた二人…空を見上げると鳥が飛び出していた
二人は、鳥の姿に引きつり笑いを浮べた

「…ナ、ナルト。気を付けて帰んなさいよ」

「こ、子供扱いすんなってばよ!!オレってば忍者なんだぞ!!」
「あははは。わかったわかった。じゃな」

軽く手をふって去って行くカカシの姿に、ナルトは、すごく驚いていた…あの暗部の人にそっくりな後姿だったから
ナルトは噴き出してから、しばらくの間、くすくす笑うと…とても嬉しそうな顔になった

「んじゃ、帰りにイルカ先生にお祝いに一楽のラーメン奢ってもらおっと」


待機所に戻ったカカシは、試験結果の報告とチーム届けの書類を書いている。

『不覚にも後を取られた』と書いて、筆が止まる。

あの瞬間。オレに過ったのは…
舌っ足らずな幼い声で、オレの名前を呼んで背に抱きついてきた幼いナルトの温もり。

…オレだけが覚えている記憶に胸がイタイと思った。ナルトの記憶の中にオレの姿は無いのに
そんな事、わかっりきってた筈…理解してるつもりだったのに…


報告所にいた三代目にカカシは報告書を提出する。
「カカシ率いる第七班の認定試験結果を報告いたします。」
「して、結果は?」と尋ねる三代目。固唾を飲んでカカシの言葉を待つ周りの人々

「合格といたしました」


さーて…まずは、はじめの一歩から

FIN
後書き:さほど、裏事情って話でも無いけれど(苦笑)前の卒業試験裏事情のフォローしてみようかと…
あとは、随分前のラーメンの話の時に、なんで既にバレてたのかって言う…フォローも
昔、一緒に暮らしてて別れてから、23歳のカカシと名前は知らないまま知り合った事があると言う設定に繋がってる話06.06.14