On a snowy day

一つ前に戻る

by.石礫


寒い日。朝からのだるさで修行が捗らなくて…寝転がったナルトは空を見る
一面、灰色の空は…今の自分の心を象徴してる様だった

その灰色の空から、白い物が舞落ちてくる

「…雪?」

凛とした静寂。目を瞑り耳を済ますと、雪が降り積もる音が聞こえてくる気がする。
身に降りかかる雪が、自分の温もりで解けて行く…この冷たさが気持ち良いと感じた

世界にぽつんと一人で、このまま雪にひっそりと埋もれたい…
そんな事をぼんやりと考えていると

「おーい。こんなトコで何やってんのよ」

頭上からカカシの声がした。自分とは別口の、数日間の任務が終わってから、すぐに会いに来たのだろうか…
嬉しい筈なのに…ナルトは、目蓋が重くて、身体が重たくて答えたくなかった

「ナルト?」

「…ほっといてってばよ。雪に埋まってしまいたいの」

今は、目を閉じたまま…雪を感じて居たかった


「わッ」
いきなり抱き上げられ、ナルトは声を上げる
「風邪引くでしょ」
本当に心配してる瞳で、口布を下ろしたカカシは顔を覗き込む
「オ…オレってば風邪引いた事ねぇし…」
そう言いつつ、鼻がムズリとする

「くしゅんっ」

くしゃみをしたら余計に心配をかけると、抑えようとして…逆に、可愛いくしゃみが出てしまった

「ほーら」

「こんなの、一楽のラーメン食えば吹っ飛ぶってばよ」
「…………お前さー」
「なに?カカシセンセー」

いきなり、カカシは口付けて来る…
口内に侵入して来たカカシの舌をぼんやりと感じつつ、口布を下ろしてたのはこうする為だったのかなと、ナルトは思った

「んー。やっぱり…熱あるじゃない!まったく、風邪引きが修行なんてしてるんじゃないの!」
「え?そりゃー出かける時、ちょっとダルかったけど、風邪なんて引いてないってばよ!…それに、なんで、熱って」
「口ん中、いつもより熱いよ…それに顔もいつもより赤いし」
その為のキス?…そう言う、熱の計り方は無いだろうとナルトは呆然とする

「さ、真っ直ぐ帰るぞ」
「ねー。そんな事言わないで、一楽〜」
「ダメ!!」


ナルトの家に帰るとカカシの分身が居て。ストーブで部屋を暖かくしていた
「ごくろーさま」と声をかけるとカカシの分身は、ボン!と言う音と共に消え
テーブルの上にはいつのまにか用意された温かいスープ。それをナルトが平らげると
有無も言わさず、パジャマに着替えさせられ布団に寝かされる

「暖かいほうが良いから一緒に寝たげるvそれに、風邪は人の移すってのもありだし?…大丈夫!今日は何もしないから」
にこにこと笑いながら、そんな発言をするカカシに、ナルトは明らかな不信の目で見る
「……それ、なんか信用出来ないってばよ」

「どこが?」と、カカシはナルトに尋ねながらベットに潜りこんできた

「何もしないってトコ」
「なんだ。してほしいの?」
「…い、いらないってばよ!」
「冷たいなぁ。先生イジケちゃうってばよ〜」と、ナルトの語尾を真似して、おどけて見せる


「雪がさ…冷たくて気持ち良かったんだってばよ…」
「…感じて気持ち良いのは、オレとシてる時だけにしてよね」


どちらともなく、互いを抱き寄せ合うと、くすくすと笑い合う

あなたの腕の中に居る事が、暖かな日常


FIN
後書き:冬の話を作りたかった…13歳のほうがしっくりくるので、アニメ版13歳設定で(なんでアニメ版なんだ?^^;)06.1.18