You'd be so nice to come home to

一つ前に戻る

by.石礫


―これは、ほんのちょっとだけ過去の物語―


カカシと幼いナルトが、暮らし始めて、三日目


はじめて、カカシに任務が下される

 [任務ランク:A 任務内容:要人暗殺 予定日数:七日。出立(二日)→任務(三日以内)→帰還(二日)]

「………い…一週間予定ですか?長くないっすか?」
火影から渡された依頼書を見ながら、暗殺戦術特殊部隊所属のカカシは予定日数にぼやく
「なんじゃ文句あんのか?」
「ありありっすよ!ナルトと暮らし始めて…三日目で、これっていくらなんでも…」
「出発は今日の午後じゃ。メンバーの人選は部隊長のお前に任せる、なるべく足の早い奴を集めるんだな」

カカシはタヌキ爺な三代目にブチキレそうになりながらも、火影室から出るとメンバー人選を考える
「くっそ、速さなら、ガイなんだが、たしかアイツは別の任務で帰還は2、3日後……次点でアスマか」


「…と言う事で、アスマ、今回の任務の副隊長頼むわ。」と頼みこむカカシ
「まー。しょうがねぇなぁ」と、アスマも断る理由もないので頼みを引き受ける

「じゃ、副隊長!後の人選…ヨロシクねv」
「…はぁ?」

「オレは、ナルトに任務の事言って来ないといけないし、オビトのとこも行って来ないといけないしさー忙しいの。あ、なるべく足速い奴をねv」

そうして、その言葉を残し風の様に去っていったカカシに、あきれて物が言えないアスマだった。


「ただいま、ナルト!」
「かぁし!ただいまだってばよ」とナルトがお出迎え
「「ただいま」じゃなくて、「おかえり」でしょ!」

「ニンムだってばよ?」なんとも言えない顔をして、カカシに聞くナルト
「うん。これから、行かないといけないんだ」
「…そ」


「じゃ、いってきます、なるべく早く帰ってくるからね」
ナルトはじっとカカシの顔を見つめてる…その瞳は「行かないで」と訴えてる様だった
…『行かないで』とナルトに言われたら、『ホントは行きたくない』と抱きしめ様とカカシは思っていたのだが

「いってらっしゃい。」

カカシは思っていなかった言葉をナルトに言われて少し、驚く…が
自分に気遣って気丈に振舞おうとするナルトに、カカシは胸が痛んだ。ナルトがとても愛おしくて、思わず、抱きしめた。

「待っててね…イイ子にしてるんだよ。」
「…うん」


ナルトと、別れると、カカシはその足で慰霊碑の前に行きしばらく佇む。

集合に遅刻はしたが40分程度の事である
「じゃ、ととっと行きますか」
「…お前が遅刻しなけりゃ…もっと早く行けるんだ」とアスマのツッコミが入ってたのはお約束。



カカシが任務で出かけ…一人残されたナルト。泣きそうな顔をしていた
一人でいる事…決して、こういう事がなかったわけじゃなかった…

ただ、今まで、ナルトを世話してくれた人々は、
冷たい眼をして、
ナルトに戻ってくると言いながら、誰も戻ってきてはくれなかった…そんな事を思い出した

「ううん…ちがうってばよ」

カカシの色違いの眼は、三代目が自分に向ける様な暖かい眼だったのだ

「かぁしもどってくるってばよ」

『なるべく早く帰ってくるからね』と言ったカカシの暖かくて優しい目がその言葉を信じさせた


カカシが任務に出かけてから四日目
三代目が来たりして、寂しい数日ではなかったのだけど…世界は薄暗かった

「おお、カカシのスイートハート」とガイがやってきた。
「あーゲキマユ?」

「知らせがあるぞ、カカシは明日か明後日には戻ってくるぞ」
「ホント?」
「ああ。任務終わった知らせが来たからなぁ」
伝書の文に、カカシからの言付けが書いてあったのだとガイは説明する

「ありがとゲキマユ!」

カカシが帰ってくる、それだけでナルトは世界が変わったような気がした


そして、次の日

食事の時間以外はナルトは窓の外を覗き込んでいた。

パラパラ ザー

……強い雨が降って来た。窓を流れる水滴で外がよく見えない

「おむかえしなきゃ」
大きな傘を持って家の前に出る
「なるとってば!かぁしにおかえりにゃしゃいゆーってばよ!」と強く息巻くナルト


段々、暗くなってくる…夜の暗さに不安になってきて、しゃがみこんで、思わず俯いた

すると、目の前に、スパイク付きのサンダルを履いている足が見えた
ナルトが見上げると、カカシが目の前にいて

「こら、ナルト!こんな雨の日に外いたら風邪引いちゃうでしょ」と叱りつける…けれど、どこか優しい声

カカシなんだと認識すると、ナルトは、とても嬉しそうだけど、泣きそうな顔を見せ

「かぁしぃ!!」

傘を投げ出す様にしながら、カカシのほうに走り寄る
カカシは慌ててナルトを抱える為に手を差し伸べる。ナルトはカカシに抱きついた

「…お…かえり…にゃ…しゃ……かぁし…」

泣きながら、必死に「お帰りなさい」って言うナルトにカカシは優しい微笑みを浮べて、それに相応する言葉を囁いた。

「ただいま、ナルト。」


FIN

後書き:ガイとアスマ…暗部設定にしてしまいました(汗)いや〜ちまナルちゃん健気〜v カカシ五日で帰還…すげー(笑)05.05.31
あ、 ナルトが二人↑に知り合った切っ掛けか…(汗)カカシがナルトと暮らし始めて、すぐに遊びに来たのか?←疑問系かよ!(゚□゚)



ついでにおまけ↓

―二日前の出来事―

「カカシ」
「んー」
「普通、三日で終わる任務を一日ってな」
「え?出てから三日だから、計算あってるよね?」
カカシの言葉にアスマが頭を抱えた。
「往復に四日。任務に三日だろうが…。他のヤツラがこの強行軍にへばってんだ」
「へばるのは日頃の鍛錬が足りんからでしょ」
カカシは凄い冷たい眼で、疲労で声も出ない他の二人を一瞥して、何事も無かった様に
木ノ葉の方向に向って
「ああ、ナルト、もうすぐ帰るからね!まっててねーーvv」と叫ぶのだった。

「つーか、話聞け!」
性格的には楽天家のアスマではあるが、その時ばかりは胃の辺りがキリキリしていたとか、いないとか…

終わる…(笑)