Silent Night

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by.石礫


忍者学校での生徒達へのクリスマスパーティ。


溜息が出る


こんな中に居ると…ひとりってコトを実感する

似たような寂しさを味わっているライバルのアイツは
プレゼントを女の子から貰っても、そっけなく断ってて、そんな光景はいつもの事

オレ達みたいに親の無い子には火影のじーちゃんがサンタとしてプレゼントを配ったりする


また溜息が出た

オレのはオレの苦手な忍術指南の巻き物で


さらに溜息が出た


こんなの欲しくないのに…じーちゃんは、こういう事は、何にもわかってねーってば


パーティが終わった帰り道…空を見上げると、もう少ししたら暗くなりそうで
修行も無理だし一楽行く気も出なくて


…寒い部屋に帰ると途端に寂しくなる

家族の暖かなパーティ…なんか縁がないオレの家でのクリスマスらしい事って言えば
特別に豪華なカップラーメンを食う事


窓を空け、
「寒っ」
カップ麺を啜りながら、冬の星空を見上げてみてると、影が近くの屋根にトンと着地した
任務が終わった忍者が屋根の上を飛んでるのはよく見るけど

「あ」おれは思わず叫んでしまった、前にラーメンを奢ってくれた狐面の暗部の人だったから

「言っとくけど、オレはお兄さんだから!」



暗部の人は、オレの家だとわかると、ずかずかと窓からオレの家に上がってくる
「そこ、窓だってば!」
「いーから、いーから。勝手にやらせてもらうから、お前は星見てな」
「…?うん……」

麺を啜る様な音が聞こえる
「ごちそーさん」
振り向くと、暗部の人の前には…
「そ…それってば、正月に食おうと思ってたオレの限定版の味噌ラーメン!!」
「へー?限定版なんだ?」
「か、勝手に人のラーメン食うなァ!!!」


「おじさんは、クリスマスなのに任務だったってばよ?恋人とかは」
「恋人って言える人はいないんだよ…お兄さん以外にモテなくてさぁ」
「そーだってばよねぇ。変な人だモンな…オレに構うよーな…」
頭に手を置かれ髪をぐしゃぐしゃにされた
「なにすんだってばよ!」
……が…う………変なのは、…さ……のほう
声がちいさくて、よく聞き取れない
ただ、何故だろうか、この人といると不思議と温かかった

音がなくて静かな夜だった


「あれ?雪降ってる…どうりで静かな筈だ…」
窓の外はいつのまに降り出したのか白い雪が降ってた

「わー。キレイ…初雪だってばよ」
窓を空けると、真っ暗な空から真っ白な物が舞落ちていた、綺麗で寒さを一瞬忘れてた


「んー…さーてと、…そろそろ帰らないと火影サマにどやされるからね」

うん。じーちゃんに怒られるんだったら仕方ないね

「うん、バイバイおじさん」
「…お兄さんだってぇの」


去る前にオレのほうを見た


「オレさ、来年度から、下忍担当になったから……お前が来るの待ってるからね」


何かを言っている気がするけど全然聞こえない

「なーに?」

「なんでもないよ…じゃあな。」

あの時と同じ様に手を振ってあの人は瞬身の術で居なくなった
居なくなって寂しいのに…会えた事に不思議と温かさが胸にあって

「………ありがと…」

アナタはオレにとって、そっと胸の奥にしまっておくよーなクリスマスの奇跡。



それから、顔も名前も知らなかった暗部の人には会えなくなったけど、…きっと、また会えるって思ってた

そして、アナタは…

「ナルト!メリークリスマス!」
そう言いながら、カカシ先生は、ずかずかと窓からオレの家に上がってくる
「カカシ先生!そこ窓!!」
「いーから、いーから」

「今日休める様に、キツキツで任務受けてたから、もークタクタ…」

「………カカシ先生ありがと」

アナタにあのクリスマスの時は面と向って言えなかった感謝を…


FIN

後書き:クリスマス話。「フード・フォー・ソート」でのカカシ23歳設定パターン続き?(04.12.21)
恋人と呼べる人は…ナルト以外に作る気は無いが…ま、当時はそう言う事出来るオトモダチなら、いっぱいって事で(オイオイ)どう言う裏設定だ!
修正:呼称の間違いを修正、聞こえなかったセリフを少しだけ見えるように…折角修正したのでタイトルに合った追加シーン…なども…
来年度から…というのは、アニナル「茶国編」での年代設定を利用(笑)…あの人が里抜けし下忍担当の人員に空きが…と(笑)(04.12.23)