Irony

一つ前に戻る

by,石礫


この世界は皮肉で溢れている


あの子との初めての出会いは、九尾の狐によって里が壊滅した日。でも、それは同時にあの子が九尾の器になった日でもある

九尾によって何かを奪われたと嘆き、九尾を憎む木の葉隠れの忍者と言うカテゴリーでの、仲間達を尻目に
既に全てを失っていたオレには、先生を喪った悲しみはあっても、九尾をそれほど憎いとは思えなかった

あの子の存在こそがオレを救っていたから


だから、人生って、皮肉だ。


あの子が好きになったら、好きになったらいけないなんて…

好きだと言うには強くならないといけないけれど…それだと、あの子に会えなくなる以外に選択肢がなくて…


いつも、矛盾だらけ


やっと、会えたら…前も何度も会ってたのに、あの子はオレの事、まったく覚えて居なかったり…
たくさん会ったのは、物心付く前だったから、仕方ないのかな?それとも、暗部の格好じゃないとわかんないのかな?

救いたいと思った時は、自分が救われてるし

あの子に「好きだ」と言う前に、あの子に「大好き」と飛びつかれったって…

嬉しいけど…嬉しくない…

だって、あの子の好きは一楽のラーメンや某中忍に言うのと同じ好きだから
ま、それでも、オレはあの子が好きなんだけど…なんか、オレって報われない…


ああ、なんて皮肉な世界でしょう


あの子を守る為に「里一の上忍」と称されるほど強くなってたのに、オレは弱いからあの子を守れないと言われてた
なんで、自来也のクソジジイに渡さなきゃなんねぇんだと思っても
弱いと言われて悔しいけど……オレも、もっと強くなろうと思うし…
所詮は、上役には逆らえない身の上だから、成長させる為だと自分に言い聞かせ…手放したら

あの子はオレが傍に居る時より成長してて…あの子は凄いなと思う反面、「オレって、役立たず?」と、少し泣きたくなった…
成長すると予想がついてた事だけど……どーしよう…目を離してたら、その意外性であっさり超えていかれそうだ。

それでも、守りたいと思ったら、やっぱり、結果的にオレの方があの子に助けられて

時間が無い時に限って、話せそうなのに話せる時間すら無くなって…
結局、クソジジイにあの子を任せるしかないと言う悪循環だ。
…と言うか、あの子と少しでも話したら、絶対、離れたくないと駄々こねそうで…任務に支障が出るからね。


オレの周りは異常なほどにたっぷり皮肉で溢れてる


それでも、引いてはあの子の為になる事なら、例え今、苦汁を舐める事になっても…頑張れる……筈…
ま、なんとかなるさ………なるのか?…なんか…えらい自虐的だ。

「あー。…もしかして、オレってばよ(口癖を真似てみた)…先生に呪われてんじゃねぇか?…………うわっ!…あ…有り得すぎっ!」

何せ相手はあの人だし…そう思うと嫌な汗が出て来るし…寒気がしてくる。


せ、先生…自分の生徒の幸せぐらい、大目に見てくださいよ。
あの子はオレが責任をもって幸せにしますから。だって、あの子の幸せはオレの幸せなんだもん
四代目の顔岩に「息子さんを下さい」と本気で拝み倒そうかなって思う始末だったりね

だけど…目の前では、
皮肉たっぷりに『カカシ君には、僕のナル君はあげないよ〜』なんて言いながら、あの人が殺気だった笑顔で笑って居る気がするよ。


−−−

後書き:カカシ先生の先生は四代目と言うのは公式設定。そして、四代目はナルトのパパとのもっぱらの噂。
このコンテンツの為のナル物初書き。カカシ独白のカカ→ナル…やっぱ、私が書くとカカシ先生、ヘタレ系だなぁ…
んと、カカシ先生が自来也様を「アナタ」としか呼ばないから…尊敬して無さそうで(笑)「クソジジイ」と呼ぶイメージなんですよ〜私的には