ずっと友達だよ!・3
 
 
「しかし…くるみちゃんがあんなこと言い出すとは思わなかったな」
 その日の放課後、偶然門の前で見かけた永野君と、私は一緒に帰っていた。
「でもホントに里美ちゃんには幸せな毎日になってほしいからねっ!」
 そこにお兄ちゃんの名前は入れない。そうすることでこの恋の区切りをつけたかった。
 きゃはは…似合わないこと言っちゃったかな。
「あっ、永野先輩お久しぶりです」
 とその時、永野君を呼ぶ1つの声に気付いた。
 そこは街中のショッピングロードにある、けっこう女の子の間で人気の小物屋さん。
 そういえば里美ちゃんもついこの間からお気に入りの場所になったと聞いたことがある。
「お、彩か。久しぶりだな」
「ふふ…となりにいる人は新しい彼女ですか?」
「ったく…相変わらず人の恋愛事に口出す性格は変わってないようだな…違うよ、単なる知り合い。だいたい新しいも何も、今まで付き合ったことなんてないっつの、まったく…」
 そうなんだ、永野君ってまだ誰とも付き合ったことはないんだ…
 少し、そんなことが気になった。
「はじめましてっ!空下くるみって言うの、よろしくねっ!」
 永野君に促されるような感じで、私は真っ先に女の子にあいさつをする。
「くるみさん…ですね。私は今野彩。こちらこそよろしくお願いします」
 とても礼儀正しくて…といっても、永野君が先輩と呼ばれていることから、そういう言葉遣いをしているだけなのかもしれない。
 それにしても、くるみさん…か。今までそんな呼ばれ方をされたことなんてなかったから、少しだけ違和感感じちゃうなあ…
「そういえば永野先輩、彼女のいる前で悪いんですけど、少し相談があるんです…久しぶりに会ったのにそんなこと言うなんて変ですけどね」
 彩ちゃんはそう言って笑いながらも、申し訳なさそうに永野君を見ている。
「だから彼女じゃないってば。相談事?うーん、でも今日はな…」
 永野君が私の方を見る。その時私は、無意識のうちについて出てきた言葉を言ってしまった。
「ヘーキだよっ!私のことは気にしないで」
 後から考えてみれば、私自身そんなことを言うなんて思いもしないことだったのに…
 それでも私はそんなことを言ってしまう何らかの理由があったのだ。
 その答えは、私のすぐそこまで迫ってきている。
 だけどそれを見つけてしまうのが怖くて。
 まだそんな気持ちを抱いてしまっている自分自身に自信が持てなくて。
 私は1人、となりに誰もいないこの状況の中、ショッピングロードに背を向けた。