ずっと友達だよ!・2
お正月も過ぎて、寒さも一段と増してきて。
私って寒いの大ッキライだから、冬休みが終わって再開された学校にも行きたくないっ!って思うことがある。
それに…学校に行けば、あまり会いたくない人がいる。
違う、本当は会いたいのかもしれない。きっとどんな顔して、何を話せばいいのかがわからないだけ。
でも、そんな私を支えてくれる人もいる。
「おはよう、くるみちゃん」
「あ、おはようっ!永野君!」
永野君にはあのクリスマスイブの日から、いろいろと私の心配をしてくれる。
それは、友達だから?それともただの同情?
私の頭の中であらゆる考えが浮かぶ。
「よ、よう、くるみ…」
しかしそんな私の憂鬱も、続いて聞こえてきたその声で吹き飛んだ。同時に反射的に「あ…」と声をもらしながら一歩後ずさってしまった。
「きゃはは、お兄ちゃん、おはようっ!」
とりあえず明るく振舞ってみる。いつもお兄ちゃんの前ではそうしてきたから。
「ねえっ!今日は里美ちゃんは一緒じゃないの?」
「え…か、風中か?ああ…特に待ち合わせはしていないからな」
今度は、お兄ちゃんのほうが焦る番だった。
そう、今話に出てきた風中里美ちゃんは、お兄ちゃんが選んだ恋人。
とても頭がよくて、人当たりもよくて、私から見ても里美ちゃんはかわいい。お兄ちゃんにはもったいないくらいの人。
その里美ちゃんの話を私の方から切り出したことに、お兄ちゃんは戸惑っているんだと思う。
『私は全然平気だよ』
それを私は暗に伝えたかった。きっとお兄ちゃんだって無神経だとは思わないから、私に話し掛けなくなってしまうのは仕方ないと思っていたけど。
さっき言った「あまり会いたくない人」というのはお兄ちゃんのことだけど、私はそのまま話もしなくなってしまうのはイヤだった。
私を選んでくれなかったのは残念だったけど、これからもお兄ちゃんと妹という関係は保っていきたい。
お兄ちゃんが本当はとても優しい人だということを私は知っている。だけど、その優しさが逆に辛くなってしまうことだってあるんだよ、お兄ちゃん。
「だめだよ、お兄ちゃん。朝に待ち合わせくらいしなきゃ。女の子ってとても傷つきやすいんだからねっ!愛想つかされちゃうよっ!」
「なっ…経験もないのにそんなこと言える立場かよ?」
そう…こんな何でも言い合える毎日がいい。
「私もくるみちゃんに賛成だけどね」
その時後ろから聞こえてきたその声に、私だけでなく2人とも振り向いた。
噂をすれば…里美ちゃんだった。
「か、風中…冗談キツイぞ」
すかさず、里美ちゃんが反撃する。
「くるみちゃん、空下君ってひどいんだよ。私とあまり会ってくれようとしてくれないんだから」
「あー、いっけないんだー!ちゃんと大事にしてあげなきゃ!それにお兄ちゃん、そろそろ里美ちゃんのこと名前で呼んであげたら?」
「えっ!?」
これにはお兄ちゃんも里美ちゃんも驚いたようだった。
「他人行儀みたいな付き合い方してたら、嫌われちゃうのも無理ないんだからねっ!」
「…くるみちゃん?私は別にそう思っていないつもりだけど…」
特に里美ちゃんは恥ずかしがっている様子だった。
でも、私は止めるつもりはなかった。
「さ、お兄ちゃん!早く言ってあげなきゃ!」
すると意を決したのかお兄ちゃんが、
「え、えっと…さ、里美?」
「あ…は、はい!」
そして、しばらくの沈黙。
私はその雰囲気からお兄ちゃんと里美ちゃんが今もうまくいっていることを悟った。
だってお互い顔を見つめあいながら動きが止まっちゃってるんだもん、とってもわかりやすいんだから。
「さっ、永野君!ラブラブな2人は放っといて、私たちはさっさと学校いっちゃお!」
「あ、ああ…」
どこか戸惑っているように見える永野君を連れて、私はいち早く2人より先の方に進んでいった。