クリスマスの奇跡・11
何を・・・・言ってるんだ?しかし、相原は至って真剣な顔をしている。
これは、本気で言っているように見えた。俺の今までの期待は必ずしも外れというわけではなかったんだ。
だが、俺の答えはすぐには決まらなかった。まだ相原は俺をからかおうとしているんじゃないかとどこかで思っていたからだろうか。
俺は大して何も思いつかないまま、言い掛けてしまった。
「そ、それは・・・・」
しかし相原は聞いておきながら、俺の答えも聞かずに話を終わらそうとした。
「も、もう!河内君って本当にすぐに引っ掛かる!真剣な顔して・・・・もしかして本気にしちゃったわけ?」
その言動に無理が見え隠れ。だまされ続けている俺もそれだけは見破ることができた。
「な、なによぉ。私の顔、じっと見つめて」
そう考えているうちに俺は相原の顔をずっと見続けていたらしい。それに気付いた相原は俺から目線をそらした。
「なぁ、なんで目を合わせないんだ?まさか相原・・・・」
「や、やだな。そんなわけないじゃない!そんなこと・・・・」
まだ何も言っていないというのに。これは余計に怪しい。
それと共に、俺も相原と今まで一緒にいて、彼女との関係を単なる女友達とだけでは済ませたくないような気持ちが込み上げてきた。
これはクリスマスの魔力なのか、潜在してきた自分の本当の想いが今、見えてきた気がするのだ。
それは、俺が相原のことを好きになっていたということ。
コンビニであんまんをおごった時に見せた笑顔。そんなささやかな喜びでも笑ってくれる、そんな彼女の姿に心ひかれていたんだ。やはり彼女にはいつも笑っていてほしい。
突然かもしれない。確かな理由にはなっていないかもしれない。でも、相原が好きだということに、今気付いている。
俺は改めて相原の顔を見て、そう思っていたのだ。それでさっきも相原にじっと見てどうしたのかと言われたのかもしれない。
その瞬間から、俺は相原に話し掛けることさえ難しくなっていた。自分で勝手に今気付いてしまったにもかかわらず、照れてしまって彼女を直視することさえできない。
しかもそんな時に限って、相原も何も話してこないから不思議だ。
そのまましばらく俺たちは言葉一つ交わさずに、楽しそうにしている大勢の男女の中をかき分けて進んでいった。
するとやがてその必要もなくなってくるほど人気の少ないところへとやってきた。
「あっ、そうだ!」
相原は何かを思い出したように、ようやく間に流れていた長い沈黙を破ってくれた。
そして相原は、コンビニに来た時から自分の肩に掛けていた、相原には少し不釣り合いなくらいに大きく見えるハンドバックの中を、突然にあさりはじめた。
そんなに緊急なことなのだろうか。俺はその予想していなかった出来事に、相原への意識も空の彼方に飛んでいた。
「な、なんだよ、どうかしたのか?」
「うん、ちょっと・・・・あ、あった!」
そこから出てきたのは、丁寧な包装紙で包まれた、一つのビデオテープくらいの大きさの箱だった。